eシールと英国のコモンシールの歴史

法人の電子署名としてeシールがあるわけですが、なぜにeシールというのでしょうか、という議論があったので、英国におけるコモンシールの歴史のメモを公表します。
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英国の歴史的には、コモンローのもと、蝋でシールを作成していた。歴史的には、そのシール(コモンシール)が会社の書類のための意思表示の方法として定められていた。現在でも、その歴史は残っている。
英国においては、コモンシール(公的シール)が会社関係の書類を実行するのに用いられている。2006年会社法45条は、以下のように定めている。
45条 コモンシール
(1)会社はコモンシールを持つことが可能である。ただし、持つたなければならないというわけではない。
(2)コモンシールを持っている会社は、シールにその名前を読みやすい文字で刻印するものとする。
(3)会社が(2)項を遵守しなかった場合、
(a)会社、そして
(b)懈怠をした会社のすべての役員。
は、有罪である。
(4)会社の役員、または会社を代表して行動する者は、その名が(2)項で要求されているように刻印されていない会社のシールを、会社のシールであると使用し、または使用を許可することは犯罪である。
(5)本条に基づく罪を犯した者は、標準的な規模でレベル3を超えない範囲内で、略式判決による責を負う。
(6)(略)

会社の意思表示の方法としてのコモンシール

このコモンシールは、英国において、会社において、意思表示の主たる方法の一つである。
2006年会社法44条は、以下のように定めている。
(1)イングランドとウェールズまたは北アイルランドの法律に基づき、 文書は、
(a)コモンシールが押捺されること、または、
(b)以下の規定に従って署名すること。
によって、会社によって実行される
(2)文書が会社のために、署名されている場合、文書は
(a)2名の承認された署名者による
または、
(b)署名を証明する証人の前にいる会社の取締役による
場合に、会社によって有効に実行される。
(3)(2)において「承認された署名者」とは、
(a)会社の各自の取締役、および
(b)非公開会社の場合は、会社の秘書、公開会社においては、会社の秘書(または任意の合同秘書)。
(略)
である。
このように英国においては、コモンシールが会社の意思表示の伝統的な手法として利用されてきたし、現在でも利用されている。
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となります。私の説としては、EUにおいて、コモンロー国は、存在感が薄いのですが(というか、いまはない)、上のような意味をもつ国内法規定に接続しやすくするように、eシールという名称にしているというものです。
 
 
 

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