EUの目標と競争法
EUの目標は、域内において商品が国境を越えて自由に流通する経済的で効率的な単一の市場を完成させることにあります。
欧州連合条約(リスボン条約) 3条3項は、
「同盟は域内市場を設立する。同盟は、均衡のとれた経済成長と価格安定、完全雇用と社会的進歩を目的とする競争力の高い社会的市場経済、ならびに環境の質の高水準の保護および改善を基礎とする、欧州の持続可能な発展のために活動する。同盟は、科学と技術の向上を促進する。」と定めています 。
この理想が、競争に関する法的な規制ときわめて密接な関連性を有することはいうまでもありません。
欧州委員会の競争ポリシのページでは、「競争は、事業に一定のプレッシャーをかけ、もっともいい商品をもっともいい価格で提供する。もし、そうでなかったら、消費者は、ほかから購入する選択肢を有するからである。自由市場において、ビジネスは、消費者を受益者とする競争ゲームであるべきである。」と述べています。
EU競争法の実体的枠組
上述のEUの競争に対する理念は、EUの運営に関する条約(Treaty on the Functioning of the European Union、以下、TFEUという) 3編(Part Three) タイトル7(Titlte VII 競争、税務の法(Common Rules on Competition, taxation and approximation of laws)) 1章 競争のルール(RULES ON COMPETITION) 1節(企業に適用される規則)の二つの規定に展開されています。
101条は、協定(agreement)・(企業団体による)決定(decision)・協調行為(concerted practices)が禁止されています。
また、
102条は、支配的地位にある企業の濫用行為が禁止されています。