ソフトウエア開発のトラブルについて

ソフトウエア開発のトラブルについてですが、ある意味で、ソフトウエア開発については、種々の面でトラブル化しやすい要因を備えているということができるでしょう。
具体的には、対象物の抽象性、プロジェクトの流動性、情報の非対称性と協力の必要性、不具合の不可避性などがあげられます。
これらの要因から、どのようなトラブルが、発生するのかというと、
「日弁連特別研修 ソフトウェア開発に関する法的紛争処理について」(日弁連コンピュータ委員会)では、判決例を
A:契約の成否
B:遅滞と未完成
C:瑕疵
D:帰属
E:知財権侵害
にわけて検討しています。
(なお、東京地裁「ソフトウエア開発訴訟の手引」(判例タイムズ1349号)は、契約の追加・変更の有無、完成の有無、瑕疵、遅延、契約の性質(請負・準委任)、出来高にわけて論じています)
ちなみに、この資料は、平成19年11月27日付けでまとめられていたものですが、参考になるものと考えられます。この5つの分類は、現在でも有効なものと考えられますので、ここのエントリで、どのように判決例が進展しているのか、というのを検討していきたいと思います。(高橋も、当時、コンピュータ委員会で研究させていただきました)
また、METI「情報システム・ソフトウェア取引トラブル事例集」もあります。
IPAの「障害事例の分析に基づく教訓 (ITサービス編 概要)」もあります。
この10年の間に重要な判決例が増えてきているということもいえるでしょう。セキュリティ対策をどのレベルで対応しているのか、というのは、一つの重要な判断(SQLインジェクション判決 東京地判平成26年1月23日)になるでしょうし、また、協力義務についても判断が繰り返しなされています(代表的なものとしてのIBM対スルガ銀行事件 東京高判・平成25年9月26日)。

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