「トランプの新しいサイバー戦略で政府がサイバー兵器を使いやすくなる」?

トランプ政権が、公表した「NATIONAL CYBER STRATEGY(国家サイバー戦略)」に関して、Tech Crunchは、「トランプの新しいサイバー戦略で政府がサイバー兵器を使いやすくなる」という記事をあげています。

この記事の内容としては、現政権としては大統領指令PPD-20を破棄して「“攻撃の最優先”(offensive step forward)」という表現をとるようになった。“大統領の指示はこれまでの抑制を逆転して、実質的に、関連部門からの攻撃的なサイバー作戦を可能にするものだ”。ということだそうです。

このような記事を読むと、すぐにトランプ政権は、サイバー攻撃に対して、サイバー的な手法を用いて、攻撃者に対して、実際の被害が発生するような攻撃的な手法を採用するようになったというイメージを持ちそうになります。はたして、そうなのか、いままで、特にソニーピクチャーズやNotPetyaなどの事件において国家実行として行われてきたものを変更するのか、それについては、実際の文章をみていかないといけないような気がします。

戦略自体は、序と4つの柱からなりたっています。

4つの柱は「アメリカ人民、国土、生活様式の保護」「アメリカ反映の促進」「強靱さによる平和の保全」「アメリカ影響の進展」です。

序は、ここに至る道筋と前進とにわけて論じられています。前者においては、オープンなインターネットの考え方をもと米国は、これを発展させてきたが、競争者/敵(ロシア・イラン・北朝鮮)は、インターネットを米国の軍事、経済、政治力の及ばないところとみて主権の影に隠れて、他の国の法を侵しているとしています。
前進においては、サイバースペースを確保することが戦略の基礎であり、技術の進展と政府や民間部門の効率的な運営が必要なるとしています。また、ポリシとしては悪意あるサイバー活動やそのエスカレーションを防止するために、コストを賦課することを採用しなければならないとしています。このコスト賦課は、サイバー/非サイバーを問わないということも記載されています。

さて、どうも文章の上からは、「サイバー兵器」を使ってどうの、ということは感じられません。次では、具体的な柱を見ていくことにしましょう。

関連記事

  1. 英国のスエラ・ブレイヴァーマンQC法務長官の「将来のフロンティア…
  2. データ主権維持のための公的データの域内保存-フランスの国家クラウ…
  3. スケートボードの脆弱性
  4. 米国における「脆弱性の協調された開示」(CVD) の歴史と現在
  5. EUにおけるアクティブサイバー防御の概念と是非の質問の無意味さ
  6. 機器干渉、国家トロイ、ボット武装解除、ビーコン-警察庁の新組織と…
  7. 続・アクティブサイバーディフェンスの概念
  8. 3ラインモデルと監査等委員会設置会社の法
PAGE TOP