e証拠指令案の検討 as 通信のデータについてのクラス分け(6)

e証拠規則については、特に、国境をまたぐ警察権の行使とかの問題もでてきて、非常に重要な問題を提起していたわけですが、e証拠指令についてもみてみましょう。
e証拠指令は、「刑事手続において証拠を収集するための法的代表者の指名に関する調和されたルールに関する欧州議会および委員会の指令」(DIRECTIVE OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL laying down harmonised rules on the appointment of legal representatives for the purpose of gathering evidence in criminal proceedings)ということになります。原文は、こちらです。
構成は、
前文
1条 対象および範囲
2条 定義
3条 法的代表者
4条 通知および言語
5条 制裁
6条 調整メカニズム
7条 移行
8条 評価
9条 施行
10条 名宛人
となっています。
この指令は、題名のとおり、刑事訴訟において管轄国の当局による証拠収集を目的とする決定を受領し、遵守し、執行するための法的代表者を指定することを加盟国に義務付けています。
この指令の趣旨を要約すると、

現在、サービスプロバイダーに課された義務、特に刑事訴訟では、加盟国間でさまざまなアプローチがあります。特定のサービスプロバイダは、犯罪犯罪の調査と遂行に関連する情報を格納しているため、特に、電子的な証拠に断片化が出現しています。この断片化は関係者に法的な不確実性をもたらし、サービス提供者を国家間、国境を越えて、または連邦外から提供するかどうかによって、サービス提供者を異なる、時には相反する義務および制裁制度に置きうることになってている。

という事実認識のもと、

この指令は、連合において、サービス提供の自由の障害を軽減するために、刑事訴訟において管轄国の当局による証拠収集を目的とする決定を受領し、遵守し、執行するための法的代表者を指定することを義務付けている。障害を減少することによって、自由、安全、正義という共通の領域が発展するのと、一貫性のある方法で、内部市場がより良い機能を果たすことを確保することができる。

ということになっています。
2条の定義では、「法的代表者」「サービスプロバイダ」「加盟国におけるサービスの提供」「企業」「グループ」が定義されています。
3条では、刑事手続における証拠収集のために、権限ある当局からの決定・命令を受領し、遵守し、執行する法的代表者を選任することを加盟国は、確かにすると定めています。これは、加盟国内において設立されていないプロバイダであっても、欧州連合でサービスを提供している場合には、同様であるとされています。
あとの規定については、省略します。

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