個人情報保護委員会から、「「デジタル・プラットフォーマーと個人情報等を提供する消費者との取引における優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方(案)」に対する当委員会の考え方について」という報道発表がでています。
もともとの「公正取引委員会からの考え方(案)」については、一つ前のエントリで、メモをしておきました。要点は、「優越的な地位の濫用」を「優越的地位」という微妙な判断基準のもとに「競争」概念とは、違う観点から、市場の競争状況を具体的に考えないで、「プラットフォーム規制」という流れのもとに適用するというのは、注意すべきであるということです。
それは、さておき、そこでは、「個人情報プラス」に対する規制が意味されているのではないか、ということを示唆していたのですが、まさに、この考え方において、この「プラス」部分に対する規制であることが、確認されています。
この「プラス」規制であることがよく分かるのは「消費者に対して優越的地位を有するデジタル・プラットフォーマーにあっては、個人情報保護法に違反する場合だけでなく、個人情報保護法に違反するとはいえない場合であっても、消費者に対して、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることとなる場合がありうる。」という部分です。
前のエントリで、これをどのように位置づけるのか、ということを指摘しておきました。いわゆるプライバシ・アドブォケイト諸氏におかれては、個人の「何を」を保護法益としているのか、具体的に、この「不利益」とされるのは何か、さらに、個人のプライバシの買いたたきにたいして、このようなパターナリズムを正当化するのは、何なのかというのを明らかにしてもらいたいなあ、と思っています。
まあ、反語的な表現にしましたが、要は、今回の公正取引委員会も個人情報保護委員会も、「プラットフォーム規制」という流れの中で、「優越的地位の濫用」の理論を濫用しているなあ、というのが私のエントリのまとめということになりそうです。