情報ネットワーク法学会誌である「情報ネットワーク・ローレビュー21巻」に、論文「比較法的にみた電子署名法の解釈」が掲載されました。
リンクは、こちらです。
内容としては、
- 2020年
- 2条Q&A、3条Q&Aをはじめとして、熱心な議論
- 同法の電子署名の概念や推定効の意味
- 制定時における比較法的な分析について配慮がなされていない
- 制定時において十分な比較法的な分析がなされていた
- 電子署名の解釈は、国際的な定めと整合性に注目してなされる必要
- 署名者から分析がなされるべきこと
- 3条の本人とは、署名者をいうこと
- 推定効については、UNCITRAL電子署名モデル法の4要件の解釈と整合的な解釈がなされるべきこと
- 電子署名の概念は、実在人との同一性の論点は含まないこと
- 現在においては、電子取引における実在人と同一性の確認に関する法的規制等についての議論のほうが有益
などを、比較法の見地から検討しています。きちんとアカデミアのお作法でも原稿が書けますことを証明できたかと思います。
電子署名の概念は、実在人との同一性の論点は含まないこと
というのは、このような感じです。
また、内容についても、
1990年代のデジタル署名法ブーム(注 電子署名法!ではない)を知っているひとには、そうだったよね、近頃の若者はなんなんだろうね
と同意してもらえるのではないかと思っていたりします。
現在においては、電子取引における実在人と同一性の確認に関する法的規制等についての議論のほうが有益
という指摘は、BotExpressの判決でも提起されている問題であると考えています。この点のブログについては、こちらです。
もはや、重要性がほとんどないことが明らかになってしまった電子署名法の2条や3条の論点ですが、それでも、立法にあたった、先人の労苦は、きちんと記しておくべきだろうと考えていたりします。