第3回 デジタルガバメント ワーキング・グループの資料の分析の続きになります。
テーマは、公文書管理法であり、資料は、資料4です。
論点としては、
電子署名が行われた文書がサービス提供事業者のサーバに保存されるとともに、そのコピー(署名付き文書)が事業者から契約者である国の行政機関に送付されることが想定されるなど、従前の紙媒体での契約書とは異なる文書管理が求められることになるため、サービス利用の際の留意点について、確認させていただきたい。
<論点>
クラウド型電子署名を用いた場合の契約文書の扱いについて、適切か
つ効率的な行政文書の管理の観点からは、どのような対応を取ることが
適当であり、どのようなことに留意する必要があるか。
ということです。「即実践!! 電子契約」において電子情報管理をふれましたが、公文書管理法との比較という視点は、見逃していました。改定の際には、そのような視点も踏まえて、さらによいものにしたいと思います。
さて、公文書等の管理に関する法律の条文はこちら。
行政文書は、「当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう」あと、法人文書・特定歴史公文書等があります。
ところで、立会人型電子契約サービスを利用した場合には、正本というのは、どうなるのか、という問題があります。この資料の回答では
当該電子媒体が契約書の正本になるものと考えられる。また、その上で、Cが管理する正本と同じ内容の電子媒体が契約の当事者であるA及びBに送付されるとともに、Cが管理する正本への閲覧のアクセスが可能になるものと考えられる
とされています。「デシタル証拠の法律実務Q&A」(デジタル証拠本)では、デジタル証拠における正本については、Q22 デジタル証拠の法的性質のところでふれています。そこでは、
従前の原本に関する定義にあてはめると、「最初に、かつ、確定的に作成され」、かつ、「記載内容たる思想の主体自身によって作成され」たオリ
ジナルデータこそが裁判官の感得の対象であるといえるでしょう。その意
味で、オリジナルデータが原本としての性質を持ち、そのオリジナルデー
タとの内容の同一性が保たれているか、すなわち「物理的同一性」よりも
「論理的同一性」が、原本性の判断要素として重要となると考えられます。
と解説されています。この資料の解釈は、デジタル証拠本と同一になります。もっとも、
AがCから最終的に取得した契約文書の電子媒体(副本)を行政文書として管理する方法が考えられる
という表現がなされています。媒体を基準に整理されている法律の仕組みから、なかなか困難な問題になりますが、媒体というとハードディスク(もしくはSSD)自体が、行政文書になるのでしょうかという問題が起きてきますね。
今後の検討課題です。