第3回 デジタルガバメント ワーキング・グループの議論を見ていきます。
資料3-3です。もともとは、東京都や茨城県から立会人型の利用はできないのか、という要望について、資料をもって回答がなされている形です。
この資料は、論点と回答という形になっています。論点としては、地方自治法第 234 条第5項について(便宜上 論点1とします)
電子署名法2条第1項で定められている電子署名の要件に追加的な要件を課すものか。例えば、「相手方とともに、」及び「確実に示す」(上記下線部)という要件は、いかなる措置を求めるものと考えられるか
とか
国の契約手続においては、電子証明書に関する規定は設けられていないところ、地方公共団体の契約手続において電子証明書の送信とその種類を定めているのはなぜか。(論点2)
国の契約手続においては、電子署名法第2条第1項の電子署名を用いればよいとされているところ(契約事務取扱規則第28 条第3項)、地方自治法でも同様の取り扱いとすべきではないか。そのため、必要に応じて、法令解釈の明確化のための通知の発出、あるいは、法令の改正を検討すべきではないか。(論点3)
という論点が提示されています。回答になりますが(論点1)について
電磁的記録の措置についても地方公共団体の長等と契約の相手方の双方に講じることを求める
のが、相手方とともに、の意味であることとされ、また、「確実に示す」というのは、
電磁的記録による代替措置の定性的な定義規定を置いた上でその詳細を
省令に規定することとしたことによるものであり、他の法令の規定の例(商業登記法等)に倣って定めたものです。
とされています。地方自治法第 234 条第 5 項の規定は、
電子契約において、(略)他の法令の規定や同条を改正した時点の一般的な商取引における電子契約の取扱いの例等を参考として、これらと同等の取扱いとなるように規定したものであり、更に厳格な取扱いを求めることとする趣旨ではありません。
としています。論点2については
インターネットを経由することによるなりすまし等を防止するために、地方自治法施行規則第 12 条の 4 の 2 を新設した当時の一般的な商取引における電子契約の一般的な取扱いとして電子証明書を使用することが求められていることを明確にするために規定したものです。
とされています。そして、これは、
現在、国が法令において電子証明書を要することとはしていないものの、運用上、国の政府調達システム(GEPS)において電子証明書を必要とすることとしている取扱いと同じ趣旨によるものと考えています。
となっています。GEPSにおいては、法令の根拠はないものの、実際のシステムで、電子証明書をもとに仕組みが構築されています。たとえば、この頁ですね。設定するためには、インターネットエクスプローラーの設定をかっちりしないといけなくて、しかも、どこでエラーするかが、あまりよく分からなかったりします。法令の根拠がなかったのか、と思わず、突っ込みたくなるところです。
それでもって、論点3については
総務省としては、現在の商取引における電子契約の一般的な取扱いの進展を十分に踏まえ、国における電子証明書の運用の見直し等の状況や、電子取引についてのなりすまし防止の対策の進展、電子証明書を必要としない場合の電子取引におけるなりすまし防止の対策に関する所管省庁による運用指針の明確化等の対応状況等を踏まえ、必要に応じて地方自治法施行規則の改正を検討する等、適切に対応してまいります。
とされています。
国の仕組みについては、日経新聞で「国と企業の電子契約、民間サービスも可能に」という記事がでています。国の契約システムと民間の契約システムとが同等であるようにということで、ここも見直しがなされるということになるということかと思います。