宮下紘先生より岩波新書「プライバシーという権利-個人情報はなぜ守られるべきか」を献本いただきました。
岩波新書のページは、こちら。
アマゾンは、こちら。
この本で注目すべきところは、そもそも、「プライバシーって何故に法的に保護されるの?」という根本的な問に答えようとしているところだろうと思います。「プライバシー保護の存在理由」になります。
この点について、宮下先生は、「自らの情報に関する決定の利益」が保護理由であるとしています(20ページ)。
個人的には、その「利益」って何?という意識が常にあって、プライバシーってわかっていますという人は信用しないのですが、まさに、その根本的な問にチャレンジしているという意味で、非常に貴重な本であると考えます。
データ保護とプライバシーを厳密にわける用語法を選定にそれぞれのアプローチを見ていくのは、厳密ですし、得られるものは、非常に大きいと思います。
ちなみに、ケッブリッジ・アナリティカ事件やシュレムス1・2事件について、日本語で解説がなされているというのも、助かります。
あと、第5章は、Covid-19対応とプライバシーの問題、アルゴリズム、GAFAの問題など、最新問題の紹介もなされています。
法的なアプローチの本ではありますが、ナッジについてのコメントがあったりなどと、行動科学や経済学などから、個人データ保護を研究するという研究者の人にも興味深いだろうと思われます。
ということで、一般の方から個人データ保護についての研究者の方まで、読む人にあわせていろいろな気づきがある本だろうと思われます。ぜひとも手にとって読まれることをおすすめします。