通信にかかるデータをクラス分けしましょうという考え方は、e証拠規則および指令でも、明確になるわけですが、その前にe証拠規則および指令をみてみましょう。
e証拠規則および指令についての一般的な情報は、EU委員会の移民・内務総局の「組織犯罪および人身売買」対応のなかで、e証拠として、説明されています。
このような規則および指令の提案にいたった理由としては
「欧州委員会は、法執行機関や司法当局が犯罪者やテロリストを捜査し、最終的に起訴するために必要な電子的証拠を入手するのを容易かつ迅速にするために、2018年4月17日に規則と指令の形で新しい規則を提案した。」
とのことです。
そのために(1)提出命令の創設(2)欧州保全命令の創設(3)個人データ保護措置(4)プロバイダに欧州連合内に法的代理人を指名することを義務づけ(5)企業やサービスプロバイダーへの法的確実性の提供が提案されています。
具体的には、
(1)欧州提出命令
これにより、ある加盟国の司法機関は、他の加盟国におけるサービスプロバイダ/法的代理人から電子証拠(電子メール、テキストまたはメッセージ、アプリ内の犯人を識別する情報など)を直接入手することができます(10日以内/緊急事態の場合には、6時間以内)(既存の欧州捜査命令の場合は120日以内、相互法的援助の場合は平均10ヵ月間)
(2)欧州保全命令
欧州加盟国の司法機関が、他の加盟国のサービスプロバイダまたはその法定代理人に、その後の相互司法共助、欧州連合捜査命令または欧州の提出命令を通じて提出してもらうことを念頭に保全命令をなすことを認めるものです。
(3)強力な保障措置
新しい規則は、個人データの保護のための保護措置を含む、基本権の強力な保護を保証する。データが求められているサービス提供者および個人は、様々な保障措置の恩恵を受けるとともに法的救済措置を講じる権利を有します。
(4)欧州連合における法的代理人指名の義務づけ
その本部が第三国にあるとしても、連合でサービスを提供するすべての提供者が、決定や命令の受領、遵守、執行のための同じ義務を負うことを確かにするために、法的代理人の指名を義務づける。
(5)企業やサービスプロバイダに法的確実性を提供する
現在、法執行当局は、その必要とする証拠を渡してもらうのに、サービスプロバイダの善意に依存しているが、将来的にはすべてのサービスプロバイダへのアクセスに同じ規則を適用することで、法的確実性、明快さを向上させる。
この提案に至る過程も案内されています。
(1)2015年4月-欧州連合(EU)「セキュリティ調査の欧州議題にに関するコミュニケ」
(2)2016年4月20日「テロリズムと闘うための欧州の安全保障上の課題に関するコミュニケ」で確認
(3)2016年6月9日「サイバースペースにおける刑事司法の改善に関する結論」
(4)審議会は、委員会に対し、2016年12月までに中間結果を報告し、2017年6月までに成果物を提示するよう要請した。
(5)2017年7月に欧州委員会は、諮問プロセス開始
(6)12月8日のJHA理事会-第1次進捗報告提供。
(7)テクニカルドキュメントの準備
(8)2017年6月8日の司法・家事審議会において、委員会に対し、一連の実践的措置の実施を進め、具体的な立法案を提出するよう要請。
(9)ジュロヴァ委員は、2018年初めに欧州委員会の立法措置を採択する意思を表明。
(10)欧州委員会は2017年8月4日にインパクトアセスメントを発表
(11)パブリック・コンサルテーション開始(質問事項書はこちら)
が、主な公表されているドキュメントということになります。