「データ戦略と法律 攻めのビジネスQ&A」を中崎先生より献本いただきました。ありがとうございます。
一弁 IT法部会の最初の企画の時から、この本については、知っておりまして、「データ戦略」という観点から、編集され、しかも、データというもっとも重要な経営資源を、積極的な機会(オポチュニティ)として捉えていくというのは、非常にいい企画であると思っておりました。がきわめてお忙しくしているのを横目でみながら、完成は、遠くなるのかなと思っておりましたところ、怒濤のラストスパートで、10月に公刊されたということで、非常に、すばらしいと思っています。
なんといっても、IT関係の書籍は、生鮮食料品ですので、企画から、公表まで、如何にタイムロスをなくせるのか、ということが重要ですし、特に「データ戦略」という、さすが日経さんの企画、という感じを与えるためには、適時であることがもっとも重要と思います。帯にも「日本企業よ、後れをとるな!」とあります。
内容についてですが、
- 1章 総論
- 2章 積極的なデータの利活用
- 3章 経営管理等とデータの活用
- 4章 セキリティ管理、有事対応
- 5章 データ戦略と関連する法律
となっています。
データ戦略という用語の解説が、最初にないので、ちょっと、とっつきにくいかもしれませんが、データマネジメント(1-3)の説明は、理解を進めてくれるでしょう。「デジタル証拠の法律実務Q&A 」などを読んでいる人は、理解が進むかとおもいます。フレームワークの説明(1-5)、法務との関係(1-6)は、基本的な知識として重要ですし、また、データのライフサイクルに関連してのまとめのアプローチ(1-7)は、参考になります。個人的には、文書の電子化についてのまとめは参考になります(1-12、13)。
2章では、データのライセンス契約(2-3)、企業ポイントの利用(2-5)、DMP(2-7)などのテーマは、きわめてオリジナルなテーマ設定、解説といえるでしょう。
3章以降についても、きわめてタイムリーなテーマが選ばれており、購入を強くお薦めします。
私的には、日経さんに、むしろ、この本と対になるような「データ戦略」の実務として、
- 企業におけるデータには、どのようなものがあるのか
- それをどのような手法で取得できるのか
- 分析の手法はどのような原理/プロセスか
- それを経営にどのように役立てているのか
というのを説明する本を作ってもらいたいと思いました。
そのような実務の手ほどきを受けながら、それらの法的な裏付けを、この本で補充するというのが理想的な使い方になるのではないか、と考えたところです。