プラットフォームサービスに関する研究会(第5回)配布資料が公開されています。
特に、今回は、新聞的には、GAFAに「通信の秘密の保護規定」の適用を図るということが議論されています(例えば、日経新聞「通信の秘密」海外企業適用へ プラットフォーマー念頭)。
この点については、「従来、電気通信設備を国外のみに設置する者であって、日本国内に拠点を置かない者に対しては、同規定による規律は及ばないものとして運用されてきた」という整理自体が、よく分からないところです。(表現については、 プラットフォームサービスに関する研究会 主要論点(案) 24ページなど)
「通信の秘密」の規程自体は、「電気通信事業者の取扱中にかかる通信」において秘密が保護されるという趣旨の規定ですが、そこでの「電気通信事業者」は、電気通信事業法の第九条の登録を受けた者及び第十六条第一項の規定による届出をした者をいうわけです。
なので、外国の電気通信設備から自己の設備に通信を受信し、その設備で取扱い、他者に送信する事業は、上の定義に該当しないので、規律が及ばないということになります。
が、これって、外国の電気通信設備からの受信だから、適用がなされないということもいえそうですが、その一方で、自己の設備での処理だから、適用されないということもいえます。送信者と取扱者がいて、その送信・受信は、その取扱に関する規程でさだめればいいわけです。宅内については、通信の秘密の規程の適用外です、といわれるのがそれです。
プラットフォーマーは、むしろ、その取扱は、法的には、宅内で処理しているように思えます。すると、電気通信事業法4条の解釈でいじるのは、また、違法性阻却自由の拡大同様に、「大英断」ということになりそうです。
中間伝達者という表現があって、まさにそれらのものは、伝導官(conduit)でなくてはならず、秘密の保護は、そのための規定かと思います。
結局、この資料をみても、上の取扱が、法的に、どのような根拠で、規律が及ばないとされているのかは、整理されていません。
「通信の秘密」は、その保護対象をコンテンツのみではなく、通信データまで肥大化させてきたといってきたのですが、今度は、宅内まで、適用の範囲を広げてきそうかもしれません。判断の安定性のために法的な根拠を詰めて考えてみたいところです。
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