電波法の「窃用」と警察の犯罪捜査

通信の秘密関係でよくいわれる窃用ですが、国会審議で見つけたので、メモしておきます。
平成16年04月13日衆 – 総務委員会 – 13号で、審議録は、こちら。
「窃用とは、正当な理由なく発信者または受信者の意思に反して利用することということでございまして、警察が犯罪捜査のために暗号通信を復元するということは、今申しましたような漏らすとかあるいは窃用する目的があるというふうには言えないと考えておりまして、本罪の対象とはなりません。」と表現されています(有冨政府参考人 149番発言)。
ところで、暗号通信のなかには、犯人の通信も、正常な通信も含まれているわけですが、「漏示、窃用の目的がないことになりますから、この場合は罰則の対象とはならないものと承知いたしております。もちろん、捜査機関であるからといいましても、無限定に暗号通信を復元できるわけではありませんし、あくまで捜査の必要性が認められる場合に限って復元を行うことが許されるのでありまして、そのような必要性がない場合にまで暗号通信を復元することができないのは当然であります。 したがいまして、捜査機関が暗号通信の復元を行う場合には、捜査の必要性を十分に踏まえる必要があるものと考えております。」というコメントがなされています(実川副大臣 155番発言)。
このような場合に、令状がいるのではないか、という山花委員と議論は、平行線をたどるのですが、すくなくても、「法執行のため」というのは、解釈でいう「自己または他人の利益のため」という用語には、含まれないということがはっきりした、ということかと思います。
「窃用」が用いられている審議録は、48件しかないので、他にもおもしろいのがあったら、クリップしたいです。

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