IPAの報告書を書いたときに「プライバシーはなぜ難しいか」という論文を書きだしたことがあります。
基本的に認知が不可能であること、プライバシ情報は、主たる財の取引についての従たるものであること、取引をめぐる公正の概念が明確でないこと、などを書いたのですが、議論が煮詰まっていないとしてダメ出しを受けたのでお蔵入りしてしまいました。
そしたら、「プライバシーの自主管理と同意パラドックス」
Privacy Self-Management and The Consent Paradox
Daniel J. Solove という議論が出ていることに気がつきました。
「当該モデルは余りに多くの障害に直面している。(1)人々はプライバシーポリシーを読まない。(2)たとえプライバシーポリシーを読んだとしても、彼らはそれを理解しない。(3)たとえ、それを読み、理解したとしても、十分情報を与えられた選択を行うに十分なバックグラウンドの知識をしばしば欠いている。(4)もし、人々がそれを読み、理解し、十分情報を与えられた選択をしえたとしても、彼らの選好を反映する選択をしばしば提供されえない。」
というのは、本当にそのとおりですね。
実証的考察という観点から、大変いい論文であると評価しています。
今書いたら、二番煎じといわれかねないですが、やっぱり、きちんと論じておくべきですね。