外為法の居住者への特定類型アプローチの導入

好評発売中「シン・経済安保」(132ページ)では、

従って、この場合、もし、日本の大学などに所属する外国人留学生や研究者が、計画的に6カ月以上滞在し、重要技術を取得していたとすれば、この外為法の規制が及ばないことになります。この点に
ついて、長期滞在の留学生であっても年間所得の25%以上を外国政府から得るなど「外国の影響下にある」場合については、短期滞在の非居住者の場合と同様に扱われるように通達が改正されます。

としていたところですが、この点について、

輸出者等遵守基準を定める省令の一部を改正する省令(経済産業省令79号)

「外国為替及び外国貿易法第25条第1項及び外国為替令第17条第2項の規定に基づき許可を要する技術を提供する取引又は行為について」等の一部改正について(20211102貿局第1号 輸出注意事項2021第30号経済産業省貿易経済協力局)

がでています。

経済産業省のホームページとしてはこちらです

「経済産業省 貿易管理部・「みなし輸出」管理の明確化について」が全体像を把握するための資料となります。

内容を紹介する論考としては

大川信太郎「外為法に基づくみなし輸出管理の明確化について―パブコメ回答を踏まえた解説―」(CISTEC Journal 2021.11 No.196)

大川信太郎「経済安全保障と外為法に基づくみなし輸出管理の明確化について」(経団連タイムズ)

「外為法に基づくみなし輸出管理の明確化について-安全保障貿易管理の基礎から解説」(NBL2021 年 12 月号)

があります。

要点としては、まさに、

「特定国の非居住者に提供することを目的とした取引」にかかる概念を明確化し、居住者への機微技術提供であっても、数のように当該居住者が非居住主へ技術情報を提供する取引と事実上同一と考えられるほどに当該非居住者から強い影響を受けている状態(特定類型)に該当する場合には、「見なし輸出」管理の対象であることを明確化する

ことから、

入国から半年経過した場合に居住者と判断されていたのに対して、

  1. 契約に基づき、外国政府・企業・大学等の支配下にあるものへの提供
  2. 経済的利益に基づき、外国政府等の実質的な支配下にあるものへの提供
  3. 上記の他、国内において外国政府等の指示・依頼のもとで行動するものへの提供

という特定類型に該当する場合に、短期滞在の非居住者と同様に扱われるようになりました(令和3年11月18日 役務通達による明確化 )。

図としては、こんな感じです(METIページより)

 

ということになります。

 

 

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