宇宙ドメインと国際法-McGillマニュアル(ルール編)翻訳

宇宙ドメインにおける国際法のルールとその解説をまとめたMcGillマニュアルが公表されました。リリースは、こちら。本文はこちらです。

このMcGillマニュアルは、52のルールを定めるものです。ルールの解説は、ボリューム2として公開される予定とのことです。

アイキャッチ画像は、分厚い書籍ですが、ルール部分(ボリューム1)は、薄いです。

本体としては、プロローグのあとは、

  • ビジョン
  • なぜ、国際法のマニュアル?
  • ルールの条文化のプロセス
  • 解説
  • レックス・ラータ(現状の法)
  • 国際宇宙法
  • 想定読者
  • MILAMOSプロジェクトの参加者

についてそれぞれの解説がなさています。

ビジョン

ビジョンにおいては、2016年からMILAMOS Projectとしてはじまったこと、MILAMOSプロジェクトは、平時における宇宙空間の軍事利用、および平和への挑戦となる緊張期において適用される既存の国際法を客観的に明示し、明確化するものであること、すべての宇宙活動が国際的なルールに基づく秩序に従って行われ、現在および将来の世代の人類の利益のために宇宙空間を持続的に利用することを妨げず、できればそれに貢献するというビジョンを持って開始されたことが記載されています。

(高橋)緊張期について論じられており、その一方で、武力紛争時が意図的にふれられていないところに特徴があります。

なぜ、国際法のマニュアル?

現代社会においては、宇宙の探索と利用における軍事的宇宙活動を含む、すべての宇宙活動について適用される法をすることは重要であること、McGillマニュアルは、軍事宇宙活動を含む宇宙活動に関係する様々な問題に適用される国際法のルールを決定し、明確にするための初の国際的な共同かつ献身的な試みであること、このマニュアルは、国際法の漸進的発展に関わる全ての関係者に情報を提供し、国際平和と安全および宇宙の持続可能性を促進するための国家のさらなる努力を支援し強化することを目的としていること、などがふれられています。

(高橋)ちなみに、国際法のマニュアルについては、Oxford manual, San Remo Manual、タリンマニュアルなどがあって、宇宙のドメインに関するマニュアルが追加さるというのは、非常に興味深いところです。

ルールの条文化のプロセス

8回にわたる専門家会合、12回の編集会議によって作成されたこと、世界的な専門家の見解を統合していること、協同の成果であること、などがふれられています。

解説

解説は第2巻で公表されること、解説は、宇宙環境の特殊性と現実に対する関連規則の実際的な適用を強調するために、合意点、不一致点を反映し、可能であれば仮定の事例を提供するものであること、また、宇宙空間の様々な軍事利用に関して、現在進行中の問題や将来の課題も明確に示していることが述べられています。

さらに、専門家グループが合意に達することができなかった3つの「重要な問題」である「環境保護」、「レーザーダズリング」、「地球航法衛星システムの干渉」についての議論も収録されていることは、興味深いです。

レックス・ラータ(現状の法)

McGillマニュアルは、宇宙空間の軍事利用を含む宇宙活動に適用される lex lata、すなわち現状の法律を特定し、明確化するものに過ぎないこと、法がどうあるべきか、どうなるべきかを述べようとするものではなく、また、宇宙の探査と利用に関わる特定の国や利害関係者が好む政策や慣行にしたがって法律を再表明するものでもないこと、その代わりに、独立した専門家グループによって分析された現行法を明確に反映し、国家の実践を反映した一次資料と公文書の使用にのみ依存していること、がふれられています。

サイバーに関するタリン・マニュアルも同等のアプローチです。

国際宇宙法

国際宇宙法とは、軍事宇宙活動を含む宇宙活動を特に規定する国際法の一分野になります。。

国際法の一分野として、国際宇宙法の伝統的な「源」は、他の国際法の分野と同じです。すなわち、国際条約(treaty)、国際慣習法の規則、法の一般原則になります。1969年の「条約法に関するウィーン条約」で体系化された条約解釈の国際慣習法も、宇宙法に関する国連条約に等しく適用されます。

国際宇宙法の最も具体的な一次資料は、国連の後援の下で交渉され採択された5つの宇宙法条約である。

  •  1967年 月及びその他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家の活動を律する原則に関する条約(宇宙条約)
  •  1968年 宇宙飛行士の救助、宇宙飛行士の帰還及び宇宙空間に打ち上げられた物体の帰還に関する協定(救助・帰還協定)
  • 1972年 宇宙物体によって生じた損害に対する国際責任に関する条約(責任条約)
  • 1975年 宇宙空間に打ち上げられた物体の登録に関する条約(登録条約)
  •  1979年 月及びその他の天体における国家の活動を統制する協定(月協定)

これらの条約は、他のいくつかの拘束力のある国際条約や国際機関の規則、またいくつかの拘束力のない国連総会決議やUNCOPUOSの加盟国の合意によって採択されたガイドラインによって補完されています。

McGillマニュアルでは、文脈上別段の指示がない限り、「国際宇宙法」という用語は主に国連の5つの宇宙法条約で規定されている法律を指します。これらの条約は、現在適用されている国際宇宙法の基礎となる重要な原則と規則を定めています。

これら5つの条約に加え、軍事宇宙活動に適用される最も重要な条約は、1945年の国連憲章、1963年の部分的核実験禁止条約、1979年の環境改変技術の軍事的またはその他の敵対的使用の禁止に関する条約、および最新の改正後の国際電気通信連合(ITU)の憲章と条約(およびITU無線規則)からなる国際電気通信法(付録Iに記載)で、これらの条約は、軍事宇宙活動に適用されます。

武力紛争が存在する場合にのみ適用される国際人道法の規則は、「McGillマニュアル」 が特定に注力している点とは関係がない、とされています。

想定読者

  • このマニュアルは、政府、国際機関、非政府組織、市民社会のメンバー、宇宙事業者、研究者、利害関係者、その他の利害関係者が、前提条件となる法的知識や訓練を受けていなくても使用でき、明確な指針を与えるための包括的参考資料として意図されていること
  • この対象者は、宇宙空間の安全、セキュリティ、持続可能性、グローバルガバナンスに関心を持つ政府高官、政策立案者、軍事・商業宇宙事業者、学者、市民社会、その他のステークホルダーであること

MILAMOSプロジェクトの参加者

世界中の文民、政府、軍の専門家、学者、オブザーバー、ステークホルダー機関の意見や参加を得て、MILAMOSプロジェクトはその期間中、地理的、性別的な代表のバランスと、世界各地の多様な視点からのインプットを包括的に維持しています。

McGillマニュアルのすべての専門家と貢献者は個人の資格で参加しており、専門的な所属や出身国、国籍に関係なく参加しています。このような参加により、マクギル・マニュアルはその独立性、公平性、そして世界的な関連性を維持しています、とされます。


ルール編 逐語役(感想つき)

ということで、翻訳を載せます。速報版ですので、感想の正確性等は、ご容赦ください。

1章 定義規則

 

規則101:宇宙活動宇宙活動とは、月やその他の天体を含む宇宙空間を探査し利用する活動をいう

宇宙活動は、

a.月やその他の天体を含む宇宙空間で、

b.宇宙インフラの運用に、

c.宇宙空間から他の領域へ、

直接的な影響を及ぼす、または及ぼすことを意図している場合がある。

ここで、宇宙条約1条が参考になります。

月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用は、すべての国の利益のために、その経済的又は科学的発展の程度にかかわりなく行われるものであり、全人類に認められる活動分野である。

 

規則 102 国家宇宙活動

a. 当該国の政府機関により実施される場合
b. 当該国の国民(自然人又は法人)である非政府組織により、それぞれの国内法の下で各事例の特定の状況に応じて実施される場合
c. 当該国と領土的な関連性を有するか、その他当該国に帰することができる場合
宇宙活動は、特定の国の「国家宇宙活動」である。

これは、宇宙活動のうち、国家に責任を帰属しうるものをいうと考えられると思われます。宇宙条約6条によって(対応)責任の一元集中方式が認められており、各国は、国内法によって非政府組織の活動に対してもコントロールの枠組を有しています。また、そのような国内法がコントロールしていない国民でない場合でも、その国の領域からなされる宇宙活動(例えば、領域からの衛星に対するコントロール通信の例)があることになります。

規則 103 – 軍事的宇宙活動

本マニュアルにおいて、軍事的宇宙活動とは、軍事的性格を有する宇宙活動をいう。宇宙活動の軍事的性格の決定においては、活動に関与する行為者、活動の目的及び活動の効果を適宜考慮しなければならない。

軍事的というのは、一般的には、その性質上、人の生命・身体に対する障害・業務遂行の重大な阻害の性質を有するということになるかと思います。

規則 104 – 宇宙物体の特性

宇宙損害責任条約及び登録条約に規定されているように、宇宙物体には、宇宙物体の構成部品並びにその発射体 及びその部品が含まれる。

Liability Conventionといわれているのですが、日本語訳は、宇宙損害責任条約というのが一般的なそうですね。一方、登録条約は、こちらです。

規則105 打ち上げ国(Launching State)
1.打ち上げ国とは、次のいずれかの国をいう。

a. 宇宙物体を打ち上げる国

b. 宇宙物体の打ち上げを調達する国

c. 宇宙物体がその領域から打ち上げられる国

d. 宇宙物体がその施設から打ち上げられる国

2. 国際機関は、打ち上げ国としての資格を有することができる。

規則 106 – 登録国
「登録国」とは、宇宙物体を含む宇宙物体が登録されている国をいい、軍事宇宙活動に使用される場合を含む。登録条約に定める一定の条件に従い、「登録国」への言及は、宇宙活動を行う国際機関にも適用されるものとする。
規則107 -地上宇宙インフラストラクチャー
地上宇宙インフラストラクチャーは、宇宙活動を直接支援する地上施設から構成され、その活動は、軍事宇宙活動を含む。
規則108 :宇宙空間の定義及び境界線 宇宙空間の定義及び境界線は、国際法において確立されていない。

第2章 国際法と国内法の適用

規則 109 -宇宙活動に対する国際法の適用性

軍事宇宙活動を含むすべての宇宙活動は、国際の平和及び安全の維持並びに国際協力及び国際理解の促進のため、国際連合憲章を含む国際法に従って行わなければならない。

規則110  – 宇宙活動に対する国内法の適用

国は、軍事宇宙活動を含む宇宙活動に関する国際的な義務を遵守しないことの正当化として、国内法に依拠してはならない。

国際法と国内法は、別のバースにあるとでもいうべきでしょうか。SF的には、この二つのバースは、お互いに微妙な関係にあるという説明がされたりします。

規則111 – 国際組織に対する国際法の適用性

軍事宇宙活動を含む宇宙活動を行う国際組織は、一般国際法、当該組織の構成文書及びその他の規則並びに当該組織が拘束されることにつき同意を表明した国際条約に従わなければならない。

規則 112  宇宙活動を構成するサイバー活動

軍事宇宙活動を含む宇宙活動を構成するサイバー活動は、一般国際法の適用規則と同様に、国際宇宙法に準拠する。

国際宇宙法って何?というのが、根本的な疑問ですね。特に、デューディリジェンスあたりと、対応責任の国家への一元集中は、交錯しそうなので、興味深いです。まずは、マニュアルの解説待ちということで。

第3章 主権および管轄権

規則  113 – 占有禁止
月及びその他の天体を含む宇宙空間は、いかなる国、国際機関又は非政府団体によっても、 いかなる方法によっても、国家による取得( appropriation)の対象とされてはならない。

宇宙条約2条は、

月その他の天体を含む宇宙空間は、主権の主張、使用若しくは占拠又はその他のいかなる手段によっても国家による取得( appropriation)の対象とはならない

とされています。ということで、宇宙条約2条を再度、表現しているものと理解します。

規則 114 宇宙物体の管轄権及び管理

1.宇宙空間に発射された軍事宇宙活動に従事する物体を含む物体が登録されている国は、宇宙空間又は天体上にある間、当該物体及びその人員に対する管轄権及び管理権を保持するものとする。

2. 国際宇宙法及び一般国際法に基づき、宇宙物体が登録されているか否かにかかわらず、宇宙物体に対する管轄権を生じさせることができる他の根拠又は指標も存在する。

宇宙条約8条は

宇宙空間に発射された物体が登録されている条約の当事国は、その物体及びその乗員に対し、それらが宇宙空間又は天体上にある間、管轄権及び管理権を保持する。

とされています。宇宙物体への管轄権というのは、どういうものか、ということですが、排他的にコントロールする権利という感じかと思います。

 規則 115 外国領空における通過又はトランジット

軍事宇宙活動に従事するものを含む宇宙物には、関係国との協定を害することなく、外国領空を通過又はトランジットする場合には、通過権又はいかなる形式のトランジット権も適用しないものとする。

 規則116 宇宙空間における物体の所有権
1. 軍事宇宙活動に使用される物体を含む、宇宙空間に打ち上げられ又は宇宙空間に建設された物体、天体に着陸し又は天体に建設された物体及びその構成部品の所有権は、それらが宇宙空間又は天体に存在すること又は地球に帰還することによって影響を受けることはない。
2. 当該物品及びその構成部品の所有権は、適用法令に従い、宇宙空間又は天体上にあるときに移転することができる。
規則 117  不干渉(Non-Intervention)
宇宙活動(軍事宇宙活動を含む)は、国際法上の不干渉の原則に従って行わなければならない。

第4章 国家・非国家主体の権利と義務

規則118 探査及び利用の自由

月その他の天体を含む宇宙空間は、いかなる差別もなしに、平等を基礎として、国際法に従って、すべての国が自由に探査及び利用できるものとし、天体のすべての区域に自由に立ち入ることができるものとする。国家は、国際宇宙法を含む国際法に従って、軍事宇宙活動を含む探査及び利用の自由を享受する

規則 119  – 平和的目的

1. 国際宇宙法は、平和目的のための宇宙空間の探査及び利用の進展に関する全人類の共通の利益を認識する。このような共通の利益は、軍事的宇宙活動を含むすべての宇宙活動を包含する。

2. 宇宙活動の軍事的性格は、国際宇宙法の原則及び規則を変更するものではない。

3.月及びその他の天体は、平和目的のためにのみ使用されるものとし、そこでの軍事活動は、宇宙条約及びその他の適用される国際法の定めるところにより禁止される。

4.科学的研究又はその他の平和的目的のために軍人を使用することは、これを禁じない。

規則 120 – 協力、相互援助及び正当な理由
軍事宇宙活動を含む宇宙活動の実施において、国は、協力及び相互援助の原則に従わなければならず、かつ、他のすべての国の対応する利益を十分に考慮して当該活動を行わなければならない。

 

規則 121 -事前協議
1. 国は、自国又は自国民が宇宙空間で計画する活動又は実験が、宇宙の平和的探査及び利用における他の国の活動に有害な妨害を与える可能性があると信じる理由があるときは、その活動を進める前に、適当な国際協議を行うものとする。
2. 国は、他の国が宇宙空間で計画した活動又は実験が、宇宙の平和的探査及び利用における活動に有害な妨害を与える可能性があると信じる理由がある場合には、その活動に関する協議を要請することができる。
規則 122 -情報の提供
1. 国は、月その他の天体を含む宇宙空間で発見した現象で、宇宙飛行士の生命又は健康に危険を及ぼすおそれがあるものについては、その宇宙飛行士が軍事宇宙活動に従事しているか否かを問わず、直ちに他の国又は国際連合事務総長に通報するものとする。
2. 宇宙空間の平和的探査及び利用における国際協力を促進するため、宇宙条約の締約国は、国際連合事務総長並びに公衆及び国際科学界に対し、実行可能かつ最大限に、軍事宇宙活動を含むその宇宙活動の性質、実施、場所及び結果について通報することに同意する。
規則 123  – 権限及び継続的監督
軍事宇宙活動の支援を含む非政府組織のすべての宇宙活動には、適切な国による権限付与と継続的監督が必要である。
規則 124 – 宇宙物体の国家登録

1. 登録条約の締約国で、発射国としての資格を有するものは、宇宙空間に発射された物体の適当な登録簿を作成し、かつ、維持しなければならない。

2 宇宙物(軍事宇宙活動に使用される宇宙物を含む。)が地球周回軌道又はそれを越える軌道に打ち上げられたときは、発射国は、その宇宙物を自国の適当な国家登録簿に記載することにより登録しなければならない。

3. この規則は、登録条約に基づく権利及び義務を受諾することを宣言した国際機関に適用される。

規則 125 -国際連合への宇宙物体の登録
1. 登録条約の締約国である登録国及び登録条約に従って「登録国」の資格を有する国際機関は、軍事宇宙活動に使用される宇宙物体を含むその登録簿に記載されている各宇宙物体に関する情報であって登録条約に定めるものを、できるだけ早く国際連合事務総長に提供するものとする。
2. 登録条約に拘束されないその他の国は、国際連合総会決議第 1721B(XVI) に従って、軍事宇宙活動に使用される宇宙物体を含む自国の宇宙物体に関する情報を自発的に提出することができる。
規則 126 宇宙飛行士の待遇
1. 宇宙飛行士(軍事宇宙活動に従事するものを含む。)は、事故、遭難、緊急事態又は国の管轄区域、国の排他的経済水域、公海上その他国の管轄権を超える場所における意図しない着陸の場合には、すべての可能な援助を受けなければならない。この場合、宇宙飛行士は、安全かつ速やかに関係国に帰還させなければならない。
2.宇宙空間及び天体における活動を行うに当たっては、宇宙飛行士は、互いに可能な限りの援助を与えなければならない。

この条文については、「宇宙飛行士の救助、送還並びに宇宙空間に打ち上げられた物体の返還に関する協定 (1967年12月12日採択、第22会期国際連合総会決議2345号、1968年12月3日発効)」も参考になるかと思います。

規則 127 -宇宙物体の発見、回収及び返還
1.軍事宇宙活動にかかわるものを含む宇宙物体が、自国の領域内、いずれかの国の排他的経済水域内、公海上又は国の管轄権を超えるその他の場所で地球に帰還したとの情報を受け又は発見した国は、打ち上げ機関及び国際連合事務総長に通報するものとする。
2. 発射当局の要請があったときは、国は、自国の領域内で発見された宇宙物体を回収するために実行可能であると認める措置をとるものとする。当該国は、発射当局に当該宇宙物体の回収のための援助を要請することができる。
3. 打ち上げ当局の要請により、打ち上げ当局の領域外で発見された宇宙物体は、打ち上げ当局の 代表者に返還されるか、又はその代表者の手元に置かれるものとし、打ち上げ当局は、要請に応じて 宇宙物体の返還に先立って識別データを提供しなければならない。
4. ある国が自国の領域内で発見し又は他の場所で回収した宇宙物体が危険な性質又は有害な性質を有 していると信じるに足る理由を有する場合には、その国は、発射当局にその旨を通知することがで きる。発射当局は、当該国の指示及び管理の下に、起こり得る危険性を除去するための有効な措置を 直ちに講じなければならない。

 

規則 128 -宇宙空間の天然資源
1. 月及びその他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用に適用される国際法の規定に従うことを条件として、国は、軍事宇宙活動を含む宇宙活動を行う際に、宇宙空間の天然資源を探査し、及び利用することができる。
2. この場合において、国は、月及びその他の天体を平和目的のためにのみ使用する義務を考慮しなければならない。月及びその他の天体の天然資源は、月及びその他の天体における軍事基地、施設及び要塞の設置、あらゆる種類の兵器の試験並びに軍事作戦の実施のために使用してはならない。

月資源については、具体的な議論があります。特に、当社では、アルテミス計画と法(1)ないし(5)までまとめています。
(1)は、こちらです。

規則129 スペース・デブリ
国際法は、スペース・デブリの生成に関する明確な権利および義務を含んでいない。しかし、国際法の他の規則を遵守するために必要な限度において、国及び国際機関は、軍事宇宙活動を含む宇宙活動を行う場合には、スペースデブリの発生を制限しなければならない。

スペースデブリの問題は、大きな問題です。ケスラーシンドロームの危険性は、いうまでもないところです。

第5章 対応責任および損害賠償責任

規則130 国家宇宙活動の対応責任(Responsibility for National Space Activities)
国は、次のことについて国際的対応責任を負うものとする
a. 政府機関によって行われるか又は非政府団体によって行われるかにかかわらず国家宇宙活動(軍事宇宙活動を含む) かつ
b. その活動が宇宙条約に定める規定に適合するように行われることを保証すること。

これは、宇宙条約6条の規定に対応するということができます。

条約の当事国は、月その他の天体を含む宇宙空間における自国の活動について、それが政府機関によって行われるか非政府団体によって行われるかを問わず、国際責任を有し、自国の活動がこの条約の規定に従って行われることを確保する国際的責任を有する。月その他の天体を含む宇宙空間における非政府団体の活動は、条約の関係当事国の許可及び継続的監督を必要とするものとする。国際機関が、月その他の天体を含む宇宙空間において活動を行う場合には、当該国際機関及びこれに参加する条約当事国の双方がこの条約を遵守する責任を有する。

このブログでは、責任という用語には、レスポンシビリティとライアビリティの二つの場合があるということを強調してきています。特に、人気のあるエントリである「責任分界点」で、

そもそも「責任」という言葉自体は、(1)行為をなすべき義務を負う、という場合と、(2)一定の問題が起きたときに、誰が責任を負うか(liable)か、という場合の二つの場合があります。

と明確にしておきました。

宇宙条約の6条が、「(1)行為をなすべき義務を負う」場合であって、国家は、その領域内の行為がかかわる「宇宙活動」に対して、宇宙条約に適合するように国内法を整備するという「対応」をなす責務を負っているということになります。

もっとも、ここで、対応すべきものは、「国家宇宙活動」であるということになります。この点は、定義に関する規則102で定義されているところで、特に非国家主体については、「それぞれの国内法の下で各事例の特定の状況に応じて実施される場合」とされているところです。要するに、国内法の枠組でもってなされるように確かにしているよね、ということなのだろうと思います。

規則131 宇宙物体による損害に対する国際損害賠償責任(International Liability for Damage caused by a Space Object)
軍事宇宙活動を含む宇宙活動を行う場合において、国は、宇宙物体又はその構成部分により生じた他の国又はその自然人若しくは法人に対する損害について、国際宇宙法を含む国際法の規定に基づいて国際的に責任を負う( internationally liable for damage)。

この規則131は、宇宙条約7条の

条約の当事国は、月その他の天体を含む宇宙空間に物体を発射し若しくは発射させる場合又は自国の領域若しくは施設から物体が発射される場合には、その物体又はその構成部分が地球上、大気空間又は月その他の天体を含む宇宙空間において条約の他の当事国又はその自然人若しくは法人に与える損害について国際責任を有する

に対応しています。さらに、宇宙損害責任条約 でもって、詳述されているということはこれまでにもふれているところです。

「国際宇宙法を含む国際法の規定に基づいて」というのが、国際法の国家責任に関する法理の発展と宇宙損害条約の規定との交錯について、どのような解説がなされてくるのか、という問題があるように思います。

規則132 国際機関が遂行する宇宙活動に関する責任
1.国際機関は、軍事宇宙活動を含む宇宙活動に関する国際的違法行為(internationally wrongful acts)について国際的な対応責任(international responsibility)を負わなければならない。
2.国際機関に参加する国は、軍事宇宙活動を含む宇宙活動を行うに当たり、当該機関が宇宙条約の規定を遵守することを確保する対応責任(responsible)を負う。

 

規則 133 国際的違法行為に対する国家の責任(Responsibility)

国家の軍事宇宙活動に関連するものを含む国家の国際的違法行為(internationally wrongful act)は、国家責任法に基づ き、当該国家の国際的責任を伴うものである。

国家責任法(the law of State responsibility)といえば、国際違法行為に対する国家責任(国家責任条文草案)国連総会決議第56会議報告(UN GAOR 56th Sess., Supp. No. 10, at 43, U.N. Doc. A/56/10 (2001) )が参考になります。Wrongful Actではありますが、「違法行為」と訳すのがお約束なので、以下、そのようにします。

規則134 – 違法性(Wrongfulness)を阻却する状況
軍事宇宙活動を含む宇宙活動に関連する国の行為の違法性は、同意、対抗措置、不可抗力、自衛、遭難(distress )又は緊急避難(necessity)という特定の状況において、宇宙空間に適用され、阻却(precluded)される。

国家責任条文草案にもあげられているあげられている違法性阻却事由が整理されています。

相手方の行為を理由とするもの

  • 同意(20条)
  • 自衛(21条)
  • 対抗措置(22条と49条ないし54条)

外在的な事情によるもの

  • 不可抗力(23条)
  • 遭難(24条)
  • 緊急避難(25条)

にわけられます。上の括弧内に国家責任条文の条項をあげておいたので、ご参照というところでしょうか。

規則135 – 国際的違法行為によって生じた損害の賠償(reparation)
国家が軍事宇宙活動を含む宇宙活動に関連する国際的違法行為に責任を負う場合、その行為によって生じた損害に対して完全な賠償(full reparation)を行う義務がある。

reparationというのは、どうもニュアンス的に、回復・修復というイメージがありますが、「賠償」と訳されています。

完全な賠償といえば、国家責任条文草案の31条

第31条 賠償

1.責任ある国家は、国際違法行為により生じた損害の完全な賠償義務を負う。
2.損害には、国際違法行為により生じたいかなる損害(物理的・倫理的を問わず)も含まれる。

となります。

賠償(というか回復)というのは、国家責任条文草案の34条

第34条 賠償の形式

国際違法行為から生じる損害の完全なる賠償は、この章に従い、原状回復、金銭賠償、陳謝の形式(単独又は複数)がとられる。

となっています。

規則 136  損害賠償(Compensation for Damage)
国家は、軍事宇宙活動を含む他の国の宇宙活動によって生じた損害の賠償を請求することができる。このような請求は、

a. 宇宙条約および/または宇宙損害責任条約、
b. 国際的違法行為によって生じた損害に対する国家責任法、および/または
c. その他の関連する国際法の規則

によって支配される。

国家責任条文草案の36条は、

第36条 金銭賠償

1.国際不当行為に責任ある国家は、損害が原状回復により回復できない場合に限り、生じた損害に対する金銭賠償の義務を負う。
2.金銭賠償は、金銭的に評価されうる、いかなる損害(創設される範囲における利益の損失の含む)をも対象とする。

となっています。

規則137 国際法に基づく対抗措置
被害国は、宇宙活動(軍事宇宙活動を含む)に関する国際的に不正な行為について責任を負う国に対し、その国が関連する義務を遵守するよう促すために、国際法に従ってのみ対抗措置を講ずることができる。この対抗措置は、責任国がその義務を遵守した後直ちに終了するものとする。

国家責任条文草案では、対抗措置について一般的な22条と、詳細な49条ないし54条において定められています。ということで、22条は、

第22条 国際違法行為に対する対抗措置

第3部第2章に従い、他国に対してとられる対抗措置を構成し、且つ、その限りにおいて、他国に対する国際義務に違反する国家行為の違法性は阻却される。

となっています。詳細なところは、国家責任法のお話にします。

第 138 規則 – 返報(retorsion)
国際法の下で許容される範囲において、国は、非友好的行為又は国際的に不正な行為に対応するため、他の国に対して返報行為(an act of retorsion)を行うことができる。これは、当該国の宇宙インフラストラクチャ及び/又は宇宙活動に影響を及ぼす可能性のある返報措置を含む。

返報(retorsion)というのは、

国際義務と矛盾しない非友好的な行為

をいいます。返報は、それ自体、国際義務に違反しないので対抗措置と区別されます。

第6章 宇宙活動に関する干渉(Interference )

規則 139  宇宙活動の意図的な有害な妨害(Harmful Interference)
国は、国際法の要求する範囲内において、月及びその他の天体を含む宇宙空間の平和的探査及び利用を行う他の国の宇宙活動に物理的又は非物理的に有害な妨害を意図的に与えることを回避しなければならない。

この原則のコアの部分が不干渉原則(Non Intervention)ということになるわけです。プリンストン大学のコメントだと

オッペンハイムの国際法では、(不干渉原則(Non Intervention)にいう「干渉」(Intervention)における「干渉(interference)は、強制的、独裁的、またはその他の強制的なものでなければならず、干渉された国家から問題の事項に対する支配力を事実上奪うものでなければならない。純粋で単純な干渉は介入ではない」(第Ⅰ巻第9版、1992年、432頁)。しかし、武力の行使以外の行為がどの程度まで禁止されているか、あるいは禁止されるべきかは不明である。国家政府の適切な同意に基づく介入(軍事介入も含む)は妨げられない。より一般的な用語は「不干渉(interference)」であるが、「不干渉」も条文に登場する。後者はより広範な禁止を意味するが、ほとんどの文脈でこの2つの用語は互換的に使用されているようである。

ということだそうです。

これは、「国際連合憲章に従った国家間の友好関係及び協力についての国際法の原則に関する宣言 (友好関係原則宣言)[抄] Declaration on Principles of International Law concerning Friendly Relations and Co-operation among States in accordance with the Charter of the United Nations 」になるかと思います。(英文は、こちら)

憲章に従って、いずれの国の国内管轄権内にある事項にも干渉しない義務に関する原則(The duty not to intervene in matters within the domestic jurisdiction of any State, in accordance with the Charter)

いかなる国又は国の集団も、理由のいかんを問わず、直接又は間接に他国の国内問題又は対外問題に干渉する権利を(right to intervene)有しない。したがって、国の人格又はその政治的、経済的及び文化的要素に対する武力干渉その他すべての形態の介入又は威嚇の試みは、国際法に違反する。

いかなる国も、他国の主権的権利の行使を自国に従属させ又は他国から何らかの利益を得る目的で他国を強制するために、経済的、政治的その他いかなる形の措置も使用してはならず、またその使用を奨励してはならない。また、いかなる国も、他国の政体の暴力的転覆に向けられる破壊活動、テロ活動又は武力行動を組織し、援助し、助長し、資金を与え、扇動し又は、黙認してはならず、また、他国の内戦に介入( interfere in civil strife)してはならない。

人民からその民族的同一性を奪うための武力の行使は、人民の不可譲の権利及び不干渉の原則を侵害するものである。

いずれの国も、他国によるいかなる形態の介入も受けずに、その政治的、経済的、社会的及び文化的体制を選択する不可譲の権利を有する。

前記パラグラフのいかなる部分も、国際の平和及び安全の維持に関する憲章の関係規定に影響を及ぼすものと解釈してはならない。

これらのとおり、interferenceは、Interventionよりより広範な意味で使われるのが一般で、マニュアルでもInterference が使われているのには、意味がありそうです。

 規則 140 – 無線周波数及び関連軌道の使用及びアクセス
軍事宇宙活動の実施を含む無線業務のために周波数帯を使用する場合、国は、静止軌道を含む無線周波数及び関連軌道が限られた天然資源であることを考慮しなければならない。このような資源は、開発途上国の特別なニーズ及び特定の国の地理的状況を考慮して、国又は国の集団がこれらの軌道及び周波数に対して公平にアクセスできるように、無線通信規則(Radio Regulations)及び国際電気通信連合の他の適用される文書の規定に準拠して、合理的、効率的及び経済的に使用されなければならない。

無線通信規則(Radio Regulations)は、こちらです

なお、その1章 1条セクション5において、宇宙に関する用語のいくつかが定義されています。宇宙コマンド、宇宙追跡、トレメトリーとかです。また、セクション8は、宇宙に関する技術的用語です。


1.177 深宇宙:地球からの距離が2×106km以上である宇宙。

1.178 宇宙船:地球大気の大部分を越えて移動することを目的とした人工の乗り物。

1.179 衛星 質量が圧倒的に大きい他の天体の周りを公転し、その天体の引力によって主に永久的に決 定される運動をする天体。

1.180 能動衛星:無線通信信号の送信または再送信を目的とする天体を搭載する衛星。

1.181 反射衛星:無線通信信号を反射することを目的とした衛星。

1.182 アクティブセンサ:地球探査衛星サービスまたは宇宙研究サービスにおいて、電波の送受信に よって情報を取得する測定器。

1.183 パッシブセンサ:地球探査衛星業務又は宇宙開発業務において、自然起源の電波を受信する ことにより情報を得る測定器。

1.184 軌道:主に自然力(主に重力)の影響を受ける宇宙空間における人工衛星又はその他の物体の質量中心が 記述する、特定の参照枠に対する経路。

1.185 (地球衛星の)軌道の傾斜角:軌道を含む平面と地球の赤道面とがなす角度で、軌道の上昇端における地球の赤道面から反時計回りに0°から180°の間で測定されるものである。 (WRC-2000)

1.186 周期(衛星の):衛星が軌道上のある特徴的な点を連続して通過する間に経過する時間。

1.187 遠地点・近地点高度:遠地点または近地点が、地球表面を表す特定の基準面より上方にある高 度。

1.188 静止衛星:地球の自転周期に等しい公転周期を持つ地球衛星。

1.189 静止衛星(Geostationary satellite):地球の赤道面上を円形かつ直行する軌道を持ち、地球に対して固定されている静止衛星。

1.190 静止衛星軌道:地球の赤道面上を円形かつ直行する軌道を持つ静止衛星の軌道。

1.191 操舵可能な衛星ビーム:衛星のアンテナビームを再指向することができるもの。


 

規則141 無線周波数を使用する局によって生ずる有害な妨害
国は、その管轄内にある無線周波数を使用する局が、他の国若しくは公認の運用機関又は無線サービスを行う他の正当に認められた運用機関の無線サービス又は通信に有害な妨害を与えないような方法で設置及び運用されており、かつ、国際電気通信連合の無線規則の規定に従って運用されていることを確保するものとする。

管轄については、上の規則114で登録国が宇宙物体に対して管轄権を有することがふれられています。地上局では、その領域内の局、衛星だとその国が登録国の場合、その局が、妨害を与えないように枠組を構築しないといけないということになります。

もっとも、電波法は、混信の防止について規定(56条)を有しているので、その規定で確保されているような気がします。

(混信等の防止)
第五十六条 無線局は、他の無線局又は電波天文業務(宇宙から発する電波の受信を基礎とする天文学のための当該電波の受信の業務をいう。)の用に供する受信設備その他の総務省令で定める受信設備(無線局のものを除く。)で総務大臣が指定するものにその運用を阻害するような混信その他の妨害を与えないように運用しなければならない。但し、第五十二条第一号から第四号までに掲げる通信については、この限りでない。

です。ただし、民間人が、地上から、意図的に衛星等を操ったらどうなのか、という問題は残りそうです。

規則 142 – 軍事用無線設備
1.国は、国際電気通信連合憲章に従い、かつ、国際宇宙法を含むその他の適用される国際法の規則に従って、軍事無線設備に関する完全な自由を保持する。
2.国は、その管轄内にある軍事用無線設備が、できる限り、当該設備が行う業務の性質に応じ、遭難時の援助、有害な妨害を防止するためにとるべき措置、発射の種類及び使用すべき周波数に関する法令の規定を遵守することを確保しなければならない。
3. 国際電気通信連合の行政規則が適用される公衆通信又はその他の事業に参加する場合、当該設備は、一般に、当該事業の実施に関する規制の規定に従わなければならない。
規則 143 – 通信の妨害(ジャミング)及びなりすまし
国家は、国際電気通信連合憲章の軍用無線設備に関する規定に定める場合を除き、一般国際法に従い、国は、妨害及び/又は無線サービスのなりすましにより、他国の管轄下及び/又は管理下にある通信に意図的に有害な妨害を与えることを控えなければならない。

無線の世界では、ジャミングというのは、よく聞く用語になります。なんといっても、昔からのBCL (Broadcasting Listener) にとっては北朝鮮からの怪しい電波です。こんな記事がありました。

「韓国からの「対北放送」に北朝鮮はジャミングで対抗…電波戦争の舞台裏」

規則 144 テレメトリ、トラッキングおよびコマンドの妨害
国家は、軍事宇宙活動に使用されるものを含め、他国の管轄下/管理下にある宇宙物体のテレメトリ、トラッキングおよびコマンド(TT&C)操作を妨害することを避けなければならない。

それこそ、民間衛星が軍事目的に利用されている状況において、交戦国が、コマンド操作を行ってそのリモートセンシングを狂わせることは、ユス・イン・ベロ(交戦法)では、許されるような気がします。McGillマニュアルは、武力紛争時については、規定しないのですが、例えば、武力攻撃の閾値以下の宇宙からの攻撃がなされたときに、そのようなコマンドの妨害で対抗するのは、許されるのか、などという論点はありそうです。

第7章 兵器、軍事インフラおよび軍事操縦

規則145 大量破壊兵器
1. 大量破壊兵器を搭載した物体を地球の軌道に乗せること、そのような兵器を天体に設置すること、及びその他の方法でそのような兵器を宇宙空間に設置することは、禁止されている。
2. 国際法は、特に、月およびその他の天体を含む宇宙空間における化学兵器、生物兵器または核兵器の実験を禁止している。

宇宙条約4条は、

条約の当事国は、核兵器及び他の種類の大量破壊兵器を運ぶ物体を地球を回る軌道に乗せないこと、これらの兵器を天体に設置しないこと並びに他のいかなる方法によってもこれらの兵器を宇宙空間に配置しないことを約束する。

とされています。

シン・ウルトラマンのゼットンは、禁止されるわけですね。

規則 146 – 大量破壊兵器以外の兵器
1. 大量破壊兵器の禁止に加え、その他の兵器が関与する宇宙活動は、国際連合憲章及び国際宇宙法を含む国際法に従って行わなければならない。
2.月及びその他の天体は、専ら平和的目的のために利用されるものとする。
3.天体における軍事基地、施設及び要塞の設置、あらゆる種類の兵器の実験並びに軍事行動の実施は、禁じられる。

兵器というのは、人の障害もしくは志望または物の損壊を発生させるために仕様、設計、または、その仕様が意図された戦闘手段となります。

兵器についての規定は、1949年8月12日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書 I)(略称 ジュネーヴ諸条約第一追加議定書)をまず参照しましょう。

規則 147 軍事上の基地、施設、要塞及び軍事行動の禁止
1.国は、月及びその他の天体に、軍事上の基地、施設及び要塞を設けてはならない。
2. 国家は、月及びその他の天体において、軍事行動をとってはならない。
3.月およびその他の天体の平和的探査に必要ないかなる機器または施設の使用も、禁止されない。

規則 148 – 国別技術的検証手段
該当する軍備管理協定の締約国は、当該協定により要求される範囲において宇宙上の手段を含む国内の検証技術手段を妨害(interfering)することを禁じられる。
規則 149 – ランデブー及び近接作業
国家は、国際法、特に国際連合憲章及び適用される国際宇宙法に従って、軍事宇宙活動としてのランデブー及び近接作業を行うものとする。

第8章 紛争の平和的解決

規則 150  紛争の平和的解決
国家は、軍事宇宙活動を含む宇宙活動に関連する国際紛争を、国際の平和及び安全並びに正義が損なわれないような方法で、平和的手段により解決する義務を負う。

第9章 武力の行使(Use of Force)

規則 151  武力による威嚇又は行使の禁止(Prohibition of the Threat or Use of Force)

軍事宇宙活動を含む宇宙活動を行うに当たっては、国は、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対しても、また、国際連合の目的に反するその他のいかなる方法によっても武力による威嚇又は行使をしないようにしなければならない。

第152条 自衛権(Right of Self-Defence)
1.国際連合憲章を含む国際法の下で、国際連合安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、国に対して武力攻撃が行われた場合には、個別的又は集団的自衛の固有の権利が存在する。このことは、武力攻撃が宇宙においてもしくは宇宙から発生し、または宇宙を経由してもしくは宇宙に向かって行われる場合にも変わりはない。
2. 国家の自衛権の行使に当たっては、宇宙空間の物理的及び法的特性を考慮しなければならない。

McGillマニュアルの規則は、宇宙に関する国際法の基本的なところについて、現在、ある法をまとめているということになります。その意味で、宇宙条約をはじめとする条約の条項がまとめられているものに近いところになります。むしろ、その実際の価値は、これから、明らかにされる解説編になるだろうと思います。

タリンマニュアルでは、宇宙法に関しては、

  • 規則 58(平和的目的及び武力の行使)
  • 規則59(宇宙活動に対する尊重)
  • 規則60(監督および責任)

が特筆されているところです。

宇宙法における責任体系と、タリンマニュアルが詳細に分析している現在の国際法の到達点との間が具体的な問題に関して、どのように対応しているのか、というのは、今後も注意して勉強していきます。

 

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