日本国憲法と国連憲章との関係

サイバー作戦の法的なあり方を考えるにあたって、憲法や内閣法制局の解釈との整合性を考えなくてはならないのですが、いままで、不戦条約・国連憲章の子供・兄弟なのに、なんで、このように解釈が異なるのかな、と疑問に思っていました。

前の投稿でも紹介した西先生の国会での発言からはっきりしたように、

(1)日本国憲法は、国連憲章と同じことをいっている。

私の結論からいうならば、ケーディスによっていわゆる不戦条約――不戦条約につきましてはお手元の十二ページにあります。戦争放棄に関する不戦条約でありますけれども、これと結局同じだったんだ、だから自衛のためであれば戦力は持ち得るんだ、こういう解釈」(西発言)

ちなみに、当然に国連憲章との整合性が意識されていたのは、エラマンメモにあるHussey発言(政治的モラルと主権の関係に関してふれる条項は、国連の成立から、合理的ではないという)からもはっきりしています。

(2)政府の解釈がタコだった

「今の政府解釈は、文民条項を全然別にしまして、芦田修正も全く無関係。だから、自衛のためであるとも戦力は持ち得ないんだ。では、自衛隊は何か。戦力ではない、自衛力である。では、自衛力と戦力とどう違うのか。それもかなり、自衛隊ができる前とできた後が変わっております。非常にあいまいな解釈に終始してきている。」(西発言)

要は、自衛のための「戦力」(武力)は、保持しうると解します。そして、この武力は、国連憲章の枠組みと国際法の枠組みに従うということになると考えています。

(3)憲法の学者の99パーセント以上は、?

「政府解釈といわゆる学界の多数説なるものをみると、いかに制定経緯を無視してきたか、一目瞭然であろう」(憲法9条の制定過程)
憲法の先生方は、マルクス経済学で、資本主義社会を分析してるみたいなものだったのかもしれませんね。

ということなので、個人的には、解釈面では、すっきりと結論がでました。まあ、例によって、「コミュニケーションって内容のことしかいわないのになあ?」と同じで、独自色の強いものとなりました。

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