Googleの検索広告事件法律意見メモ (D.D.C., Aug. 5, 2024)を読む

United States, et al. v. Google LLC, Memorandum Opinion, Case No. 20-cv-3010 (APM) (D.D.C., Aug. 5, 2024)の意見メモ(memorandum Opinion)が公表されています(2024年8月5日 DC地方裁判所)。

日本においても、報道がなされています。日経新聞は、「米裁判所、Google検索の独占認定 巨大ITに戦略転換迫る」としています。記事では、少し弱いのですが、独占自体が悪いわけではなくて、以下のレベニューシェア契約・販売契約等の行為が問題とされているので、その点に注意して、きちんと細かい点までよむべきものだろうとおもいます。

当事者としては、米国(政府)対グーグル、コロラド州対グーグルとなっています。 構成としては

  • 序(preface)
  • 手続の経緯(Procedural History)
  • 事実認定(Findings of Fact)
  • 法的結論 (Conclusions of Law)
  • 結論(Coclusion)

となっています。 個人的には、広告市場における競争とプライバシーのもつれについては、「デジタル広告市場におけるプライバシー・データ保護と競争の交錯—英国競争市場庁のグーグル・プライバシーサンドボックス事件の示唆」(情報ネットワーク・ローレビュー21巻)を公表したりしていますし、今回も、そのときチェックした契約(ブラウザ契約・アンドロイド契約)とかがでてきているので非常に興味深いです。 ということで、内容を確認してみたいと思います。

1 序

一般検索エンジン(general search engine-GSE)が、パワフルであること、デジタル広告を売却しており、非常に儲かるビジネスであること、グーグルの親会社であるアルファベットがの資本額は膨大であること、グーグルの支配的地位は、10年以上にわたって、チャレンジをさこれていないこと、米国における検索の80パーセントがグーグルを経由していること、モバイルデバイスに関しては、95%以上であること、高度な検索エンジンのけっかであること、デファルトの検索エンジンであるというライバルに比して見えないアドバンデージを有していること、ユーザーが多ければ、広告者にとって、価値がより高いこと、2014年に比して2021年までには、広告収入が3倍になっていること、デファルトの立場を確保するために分配契約を締結していること、などが述べられています。 また、法的な手続に関しても、執行の対象となっている。2020年後半、販売協定とその他の行為がシャーマン法第2条に違反するとして、執行機関は、2つの訴訟を起こした。訴状によると、グーグルは一般的な検索サービス市場やさまざまなオンライン広告市場において、競争を阻害し独占を維持するために販売契約を違法に利用したという。 具体的な手続は、

  • ディスカバリーは2020年12月に開始され、2023年3月に終了した。
  • 数百万ページがやり取りされ、グーグルはペタバイト単位のデータを作成し、当事者は世界最大級のテクノロジー企業の高官を含む数十人の証人を喚問した。
  • 裁判所は、2023年9月から9週間の公開裁判を行なった。複数の専門家を含む数十人の生証人から意見を聴取し、3,500点を超える証拠品を認めた。
  • 裁判後の広範な提出を受けた後、裁判所は2024年5月初旬に2日間にわたって最終弁論を行った。

となっています。意見では、

裁判所は以下の結論に達した: グーグルは独占企業であり、独占を維持するために独占企業として行動してきた。同社はシャーマン法第2条に違反した。

裁判所は、 (1)一般的な検索サービスと一般的な検索テキスト広告に関連する製品市場が存在すること、 (2)グーグルはこれらの市場において独占的な力を有していること、 (3)グーグルの販売契約は排他的であり、反競争的な効果を有していること、 (4)グーグルはこれらの契約について有効な競争促進的正当化理由を提示していないこと、を挙げている。 重要な点として、裁判所はまた、グーグルが一般的な検索テキスト広告に超競争的な価格を課すことによって独占力を行使してきたと認定している。その行為によってグーグルは独占的利益を得ることができた。

その他の判断においてグーグルに有利なものもあります。

裁判所は、(1)検索広告の製品市場は存在するが、グーグルはその市場において独占力を欠いている、(2)一般検索広告の製品市場は存在しない、(3)グーグルはその広告プラットフォームであるSA360に関わる行為について責任を負わない、と判断した。裁判所はまた、従業員のチャット・メッセージを保存しなかったグーグルに対し、連邦民事訴訟規則37(e)に基づく制裁を断念する。

となっています。

2手続の経緯(Procedural History)

この訴訟については、

2.1 United States v. Google, 20-cv-3010 (APM)

2020年10月20日、米国司法省は11の州(以下「米国原告」)とともに、開始(ECF No. U.S.C. 第 15 編第 4 条により付与された権限に従い、米国原告は、グーグル社が米国内のほぼすべてのデスクトップおよびモバイル端末でのデフォルト配信を確保する独占契約を締結することにより、3 つの製品市場における独占を違法に維持し、シャーマン法第 2 条に違反したと主張した。一般的には、 申し立てられた市場は、一般的な検索サービス、検索広告、および一般的な検索テキスト広告です。
原告らは、責任の認定、争点となった行為の差止命令、および結果として生じる反競争的効果を是正するために必要な構造的救済を求めた。

2.2 State of Colorado v. Google, 20-cv-3715 (APM)

2020年12月17日、38の州(以下、「原告州」)が共同で、提訴した。これらの州は、クレイトン法第16条(合衆国法典第15編第26条)に従い、各州の市民、一般福祉、経済を代表する親権者として、主権的または準主権的な立場で訴訟を提起した。
コロラド州の訴状は、米国原告の訴状の申し立てを採用したが、以下の点を補足しています。

  • 原告は、一般的な検索広告については第三の広告主側市場を主張したが、検索広告については米国原告のように主張しなかった
  • 原告らは、Googleによる、SVP(Specialized Vertical Provider)を標的とした排除的行為を主張した
  • 原告側は、グーグルが独自の広告プラットフォームであるSA360を使用して、提案された全ての市場において競争を阻害することにより、更なる排除的行為を行ったと主張した

原告は同様に宣言的救済と差止命令による救済を求めた。

2.3 訴訟の併合とディスカバリー

2021年1月7日、Plaint Statesの申し立てにより、裁判所はディスカバリーを含む公判前整理を目的として、2つの訴訟を統合した。その後、裁判所は裁判のためにも両訴訟を統合した。
当事者はまた、責任と救済の段階を二分するよう共同で要請し、裁判所はこれに同意した。
ディスカバリーは2023年2月23日に終了した。

2.4 略式決定等

米国原告は、グーグルが従業員間の関連チャットメッセージを保存しなかったとして、規則37(e)に基づく制裁を申し立てた。これに対して、グーグルはまた、両訴訟において略式判決を求めた。
裁判所はグーグルの申し立てを一部認め、一部却下した。

  • 同裁判所は、Android互換性コミットメントおよび断片化防止契約、Googleの音声アシスタントおよびその他の「Internet-of-Things」デバイス、ならびにAndroidオープンソースプロジェクトに関する米国原告の請求について、Googleを支持する判決を下した。United States v. Google LLC, 687 F. Supp. 3d 48, 78-84, 85- 87 (D.D.C. 2023)を参照。
  • 同判決はまた、グーグルがSVPをターゲットにしたことにより、提案された市場において反競争的効果が生じたという原告州の理論について、グーグルに有利な判決を下した。

裁判所は、残りの請求について裁判に進むことを認めた。

2.5 本件訴訟について

裁判は2023年9月12日に開始された。両社はそれぞれの主張と抗弁を支持するために徹底的な証拠を提出した。多数のグーグル従業員、第三者証人、数名の専門家を含む数十名の証人が生証言を行い、長時間の反対尋問を受けた。当事者は何千もの証拠書類を提出し、特定の供述証言を裁判記録に指定した。
裁判は9週間余り後の2023年11月16日に終了した。
裁判後、原告とグーグルの各グループは裁判後の準備書面を別々に提出し、また肯定的事実認定案と回答的事実認定案、法律結論案を提出した。これらの提出書類は数千ページに及んだ。
裁判所は2024年5月2日と3日の2日間、最終弁論を行った。

3 事実認定(Findings of Fact)
3.1 当事者

原告であるアメリカ合衆国は、原告であるアーカンソー州、カリフォルニア州、フロリダ州、ジョージア州、インディアナ州、ケンタッキー州、ルイジアナ州、ミシガン州、ミシシッピ州、ミズーリ州、モンタナ州、サウスカロライナ州、テキサス州、ウィスコンシン州とともに、United States v. Google, 20-cv-3010 (APM)と題する訴訟を提起した。
ニュージャージー州、ニューメキシコ州、ノースダコタ州、オハイオ州、オクラホマ州、オレゴン州、ペンシルベニア州、プエルトリコ、ロードアイランド州、サウスダコタ州、バーモント州、バージニア州、ワシントン州、ウェストバージニア州、ワイオミング州(原告州)は、コロラド州対グーグル社という名称の訴訟を起こした。20-cv-3715(APM)と題する訴訟を起こした。

Alphabet Inc.の経歴については、省略。

現在、米国では数億台の携帯端末がAndroid OSで動作している。
2008年、グーグルはウェブブラウザのクロームを発表した。
グーグルはまた、2008年にオンライン広告プラットフォームのダブルクリックを買収し、今日SA360として知られるものに発展させた。
SA360は検索エンジンマーケティングツールで、広告主は複数のプラットフォームでデジタル広告を購入できる。
2014年から2021年にかけて、グーグルのSearch+の収益は3倍以上に増加し、粗利益率は年間76~82%であった。
アルファベットの収益の大部分(80%近く)はデジタル広告によるもので、歴史的に最も大きな割合を占めているのはグーグルの検索エンジンの結果ページに表示される広告である。U

主要な第三者としては

アップル社(iPhoneはiOS、iPadはiPadOS、MacはmacOSなども含む)
マイクロソフト(Bingも含む)
モジラ社
DuckDuckGo
Yahoo
Neeva (2017年設立し、GSEを導入、その後、2023年にSnowflakeに吸収、GSEは、終了)
Branch(アプリケーション検索エンジン)
サムソン
モトローラ
AT&T
T-mobile
Cellco(Verizon)

があげられています。

3.2 一般検索エンジン(General Search Engine-GSE)

3.2.1 概観

Google, Bing, Yahoo, DDG, Ecosia, Brave がGSEであること(パラ21)、そのシェア(同22)、2009年までは、グーグルが、80パーセントだったものが、2020年には、89ホ2パーセントに増加していること(23)、モバイルでは、より高く94.9パーセントであること(24)、Bingは、エッジのデフォルトエンジンであることもあり、より、デスクツトップからの検索を得ている。

3.2.2 GSEはどのように動くか

最初のステップとしてとしてウェブをクロールすること(28)、クロール結果が、インデックスに整理されること(29)、クエリを巡る取扱(30)、ランク付け-エリングとソート(31)について説明がなされています。

3.2.3 クエリーのタイプ

GSEが、多種多様な情報源から情報を提供できること(33)、 グーグルはクエリを主題ごとに分類しており、20以上の「レベル1」分類を開発していること(34)、Windowsデスクトップ端末での検索セッションの77%がGSEから始まっていること(35)、非商用クエリと商用クエリ(37-38)、などの説明がなされています。

3.2.4 検索エンジン結果ページ(Search Engine Results Page-SERP)

SERPは、リンクを提供すること(41)と持ち広告などの情報を提供していること(42)、「ブルーリンク」(オーガニックリンク-Organic links)(43)、広告(44)、垂直提供(45)、垂直的に利用するための構造的データ取得するためにGSEは、データ共有協定を締結していること(46)、2020年にマイクロソフトは、100を越えるプロバイダーと構造データを取得するためにパートナーとなったこと(47)、Bingとの小規模の契約について不満であるということがしめされていること(48)。

3.2.5 GSEの開発・費用

GSEの構築は、きわめて資本・人的資源を費やす努力であること(50)、グーグルによる競争分析が要点をついていること-アップルが競争的なGSEを構築しようとすれば、その研究開発費用の40パーセトをついやすひつようがあると計算している(51)、いったん構築されたGSEa維持するコストを数百万ドルに及ぶこと(52)、SERPにフィーチャを追加することは費用を増加させること(53)、アップルは、GSEの維持コストを6ビリオン(年間)と見積もっていること(54)、GSEのマネタイズは、費用のかかる事業であること(55)、検索エンジンに関するベンチャーは、投資家は距離を置いていること(56)。

3.2.6 GSEの配布

検索プロバイダーは、モバイル端末やデスクトップ端末の利用者にGSEにアクセ スできるようにするため、あるいはGSEを配信するために、複数のチャンネルを持っているものとして

(1) ブラウザに組み込まれた検索バー
(2)アンドロイド端末のホーム画面上の検索ウィジェット、
(3)検索アプリケーション
(4)デフォルト・ブラウザ内のプリセット・ブックマーク
(5)代替ブラウザのダウンロード
(6)直接ウェブ検索(すなわち、www.google.com または www.bing.com)。

これらのこれらの流通経路は検索アクセスポイントとして知られている、とされています。 具体的にGSE配布として初期検索エンジン(59-76)、その他の検索アクセスポイント(77-85)にわけて論じられています。

3.2.7 規模の重要性

これは、ユーザからのデータをたくさんとれることによって、優れた結果を提供しうること(86)、モバイルでは、グーグルは、ライバルの19倍ものデータを得ていること(87)、ユーザデータも種々のタイプがあること(とくに、検索結果の関連性やウェブページのクオリティについても理解できること)(88)、質問事項についても「ロングテール」のケエリーについての情報を取得しうること(89)、また、クローリング(91)、インデックス(92)、抽出・ランク(93)のすべてにおいて規模のアドバンテージを得ていること(90)が説明されています。ウェブページで取得して現れる単語に対応するのが、Query-based Salient Terms,(QBST)であること(95)、クエリとドキュメントをペアリングする別のシグナルとしてNavboostは、ユーザーのクリックデータを記憶するものがあること(96)、さらにユーザーのデータには、関与しないが、言語を理解すためのものとしてRankBrain, DeepRank, RankEmbed, RankBERT, MUMなどのランキングがあること(97)、新たなシステムは、ユーザのデータへの依存は低いものの、トレーニングを必要とすること(98)、MUMは、LLMであり、人間レベルのパフォーマンスを示していること(99)、グーグルは、 LaMDA, PaLM, PaLM2などのLLMa開発していること(100)、また、同様に生成検索経験を開発していること(101)、コストを上回るので、グーグルは、重要な量のデータを維持し続けていること(105)、などが述べられています。

3.2.8 人工知能

人工知能の定義(107)、2015年からグーグルは、検索過程に導入することを開始していたこと(109)、AI技術が検索を形をかえる可能性を有していること(111)、AIは、検索広告にも応用されていること(113)、生成AIは より良い検索の結果を伝達するためにユーザをデータを必要とすることは変わらないこと(115)、が述べられています。

3.2.9 ユーザのデータとプライバシー

グーグルは、ユーザーはプライバシーをより注意していることを認識していること(116)、グーグルは、プライバシーを注意するとともに(118)、ビジネスの配慮もなしていること(119)、検索の質とユーザのめライバシーには、トレードオフがあると信じていること(120)、一般医検索エンジンの提供するプライバシーの程度は、個々のデザインの決定を映していること(121)、どのようにIPアドレスを利用するかは、他のデザイン決定であること(122)、また、「サインイン」するかどうか導くかも他のプライバシーの問題であること(124)、GSEがどの程度のユーザのデータを維持するかもプライバシーを図ることができること(125)、が述べられています。

3.3 グーグル検索

3.3.1 製品の開発

もっともいいGSEと認識されていること(126)、そのクオリティは、種々のイノベーションによること(128)、などがのべられています。

3.3.2 ブランディング

世界中で利用されているということが、ブランドを形成していること(130)、グーグルブランドの親和性は、ユーサによって価値づくられていると認識していること(131)、検索を「ググる」と同志になってることがブランドかを示すいい例であること(132)がのべられています。

3.3.3 内部クオリティ調査

2020年に検索の質を低下させる実験をなしたこと(134)、その際にライバルの市場シェアを追跡したこと(135)、遅延も検索の結果の重要な指標であること(136)、ソーシャルネットワークとは、比較はしていないこと(139)などがのべられています。

3.4 他のプラットフォーム

3.4.1 特別垂直プロバイダー

特別垂直プロバイダー(Specialized vertical providers, SVPs) というのは、特定の題目に応じる質問に対応するプラントフォームである、例 アマゾン、エクスペディア、Yelpなどのことをいう(141)、これらは、一般検索エンジンではない(143、146-147)、これらのサイトにおいては、対応できるサイトにのみ移行し、「ウォールド・ガーデン」と呼ばれているる(144)、旅行やショッピングにおいては、競争している(150)、「商業的クリックの強度」として競争している(151)、一般検索エンジンと特別垂直プロバイダーは、補完的検索プラットフォームとなる(153)、グーグルの専門家は、同一の市場に属することはないだろうとした(154)。SVPは、一般検索エンジンの広告者でもある(156)。経験分析によると一般検索エンジンと特別垂直プロバイダーは、お互いに食い合うものではなく、補完的なものである(157)し、特別垂直プロバイダーも、一般検索と競争するとは、考えていない(158)。

3.4.2 ソーシャルメディア

ソーシャルメディアの定義(159)、例(160)に加えて、業界においては、ソーシャルメヘディアは、一般検索エンジンとは別個と考えていること(162)、若者は、ソーシャルメディアを検索の必要性に応じて利用することが増えてきていること(163)、グーグルは、ソーシャルメディアを競争上の脅威と見ていること(164)、その一方で、ソーシャルメディアのりようが増えたとしてもグーグルの利用の減少とはならないこと(165)が触れられています。

3.5 デジタル広告業界

デジタル広告業界は、この15年の間に急速に発展していていること(166)が触れられています。ちなみに、前の講演で使った資料でデジタル広告業界の全体像の図を使います。

ここで、検索広告とディスプレイ広告とにわかれること、特にディスプレイ広告は、非常に複雑な構造をしていることを示しています。ただし、本件では、むしろ、左下の虫眼鏡でふれたところ、検索市場と検索広告市場とにフォーカスがなされています。

3.5.1 検索広告

検索広告は、利用者の質問に応じて、公開されるポスティングであり、デジタル広告の形態であること(167)、検索広告は、消費者の物もしくはサービスを購入しようというシグナルとなり、それは、強力であることる(168、169)、それゆえ、コンバージョンを運ぶためにきわめて効率的と考えている(171)。

3.5.1.1 GSEにおける検索広告

広告の販売によりGSEは、収入を得ていること(172)、GSEの規模と検索広告の金銭化には、直接の関係があること(173)、グーグルは、は、すべての検索に広告を出すわけではなく、商業的意図がある場合のみであること(174)、GSEには、一般の検索テキスト広告とショッピング広告(製品リスティング広告 PLA)がある(175)。検索テキスト広告は、なににでも利用できるのに比較して、PLAは、有体物にしか利用されない(179)。グーグルの主力は、検索テキスト広告である(181)。広告者は、検索テキスト広告の「コピー」にコントロールを有しているの(182)に比してPLAの最終コピーに対してそれほど影響を豊ぼせないこと(183、ともに異なるオークションで購入される(185)。ともに、クリックごとのコスト(cost-per-click (CPC))ベースで販売される(186)。テキスト広告のグーグルのシェアは、88パーセントに及ぶ、グーグルの配布契約によってカバーされるクエリーに対して表示されるのが、45パーセントに及んでいる(192)。

3.5.1.2 特別垂直プロバイダー検索広告

特別垂直プロバイダーの検索広告は、排他的製品リスティング広告である(193)、この場合、その特別垂直プロバイダーで商品を販売していなくてはならないために、そのような商品ページをもっていない場合には、広告を出すことはできない(195)。

3.5.2 ディスプレイ広告

定義(197)、ディスプレイ広告は、その広告を可能にするソフトウエアによってサポートされている場合に限って表示される(198)、ディスプレイ広告は、広告が受けるインプレッションをもとに価格が定められる(199)。ディスプレイ広告は、ブランド認知を作るのに適している(200)。ディスプレイ広告は、ユーザの訪問したウェブサイト等に応じて広告が配信されること(201)、ディスプレイ広告度特に価値があるのは、「再ターゲット」広告 (“retargeted” display ads)であること(202)、「再ターゲット」広告は、広告者のサイトを訪問したから1時間以内がもっとも価値があること(203)、プライバシーのイニシアチブ(クッキーの制限等)は、そのようなターゲッティングの技術の効果を制限しうること(204)、がのべられています。

3.5.3 ソーシャルメディア広告

ソーシャルメディア広告とは、ソーシャルメディアと統合されて表示される広告であること(206)、もっとも、大きなプロバイダーは、メタであること(207)、ソーシャルメディアのユーザが、きわめて時間を費やすことから、広告者に対して潜在的な顧客とかかわる可能性を提供しうること(208)、ソーシャルメディア広告は、ユーザーのフォローしているチャンネル、滞在時間、フィードに示される製品へのクリックなどがシグナルとなること(209)、ソーシャルメディアは、広告者にとって成長している場所になっていること(210)、グーグルは、YouTube や Gmailのフィードにあらわれる「ディスカバリ広告(需要生成広告)」(“Discovery Ads,” Demand Gen ads.)という製品で対応していること(211)、がのべられています。

3.5.4 マーケッティング・ファネル

広告者は、検索、ディスプレイ、ソーシャルメディアなどの異なったチャンネルを利用する(212)、消費者をつかまえるという広告の目的であり、コンバージョンは、商品を購入させることであり、これは、意識から購入までのジャーニーが「漏斗(ファネル)」といわれていること(213、214)、ファネルに関しては、「プッシュ」と「プル」という用語を考えること(215)、顧客の体験は、複雑であること(216)、マーケッターは、ファネルにおいて、目的を実現するために異なったチャンネルを利用すること(217)、ディスプレイ広告は、製品の意識を作るのに効果的であり、検索広告は、コンバージョンをさせるのに効果的であり、従って、ディスプレイ広告は、より上流に、検索広告は、より下流に有効である(218)、ソーシャルメディア広告は、種々のステージでつかわれる(219)、衣類やコスメティックスでは、ソーシャルメディア広告は、より下流のファンネルで有効になりうる(220)、広告者は、「フル・ファネル戦略」の一部として異なった広告チャンネルを利用する(221)、マーケッティング・ファネルは、デジタルマーケッティング・新しい広告技術の出現によっても「死んだ」とか、「廃れた」というものではない(222)、グーグルでさえもマーケッティング・ファネルのバイタリティを認識していること(223)、大規模な広告者は、広告チャンネルに従って、チームと予算をもって組織化する(224)。

3.5.6 費用のシフト

広告主は、 “キャンペーン単位で広告キャンペーンの目的を決定し、彼らは広告費全体の予算を設定すること(225)、キャンペーンのドライバーとしては、季節性(226)、投資変換率(ROI-広告費用変換-return on ad spend (ROAS))(227)があるが、これらの計測は、課題である(228)、広告者がROIを測定する能力は、きわめて向上しているととグーグルは、信じていること(229)、広告者は、ROIやROASを最大化しようとするが、(高い意図を有しているユーザに訴える能力ゆえに)検索広告から他のチャンネルに移行してはないこと(230)、広告者は、トラフィックと収支に依拠しており(231)、検索広告をやめると収入が低下することを実験している(231)、一般検索広告においては、広告者は、シェアに応じて予算を投下している(232)、Bingは、規模に架けるので、グーグルから移行するのは、効果的ではなく、賢くはない(233)。テキスト広告と製品リスティング広告では、これらのシフトは、より一般的である(234)。製品リスティング広告は、完全な代替品ではない(236)。

3.5.7 テキスト広告オークション

グーグルにおいては、広告者は、広告を購入するのにオークションをおこなっている(238)。オークションによって広告が表示されて、広告者は、SERP 表示されて、利用者が、クリックしたときに「クリックごとのコスト」“cost per click” (CPC)ベースで、価格付けされる(239)。グーグルのテキスト広告オークションは、古典的なセカンドプライスオークション(セカンドプライスオークションとは、複数の入札者がオークションに参加するもので、落札者は最高入札価格を支払う代わりに、最初の次点者より1セント高い価格を支払う。)に修正を加えたもの(240)、もっとも、広告のクオリティと広告者のウェブサイトを含めた質の測定値も考慮される(241)。価格と想定されるクリックスルーレイト(“pCTR,” or predicted click-through rate)の積から広告への将来の従事の概算を減ずることで計算される(LTV = bid x pCTR – β)。

3.5.7.1 価格ノブ(Pricing Knobs)

グーグルは、いわゆる「価格設定ノブ」や「価格設定メカニズム」を通じて、広告に支払われる最終価格に影響を与えることができる。Googleは価格に影響を与えるために、主に3つのプライシングノブを使用してきた。(1)スクワッシング、(2)フォーマットプライシング、(3)ランダム化された一般的なセカンドプライスオークションである。グーグルはこれらの手段を 「インテンショナル・プライシング 」と呼んでいる(243)。 スカッシングは、。一般的にUPX442を参照。Squashingは次点者のpCTRを人為的に引き上げ、総合的なLTVスコアを上昇させるグーグルがコードネーム 「Butternut Squash 」として発表したものである(244)。 フォーマット価格は、「フォーマット」、つまり一般的な検索テキスト広告に表示される追加のテキストやリンクに対して広告主に課金するグーグルの慣行である(245)。246. 2019年、グーグルはランダム化一般化セカンドプライスオークション(rGSP)を開発した。 簡単に言えば、rGSPは時折、オークションの上位2社のLTVスコアをランダムに入れ替えることで、もともとLTVスコアが低いにもかかわらず、次点者がオークションで勝つことを可能にする(246)。

3.5.7.2 テキスト広告価格の増加

グーグルのイノベーションは、広告者と利用者に追加の価値を運ぼうとするものである(247)。グーグルは、戦略的にテキスト広告価格を上昇させるために価格ノブを利用してきた(248)。2018年1月の文書では、その意図がもっとも良く把握される(249)。グーグルは、従前の広告実験から、少額であるものの実質的な価格の増加が、長期的な利益を産むことを学習した(250)。(具体的な例として、Momiji(251)、“Kabocha,”(252)、グーグルは、広告価格については、天井が存在することは意識していたが、その天井は、高いものと認識していたこと(253)。ランダム化一般化セカンドプライスオークション(rGSP)は、2019年に開始したが、成功した(255)。価格のチューニングにおいて収入を発展させることが主たるゴールであったこと(257)、グーグルの価格の決断は、広告者のコストになるという理解を反映していたこと(261)、スクワッシングは、小規模広告者を支援するのが目的とされていが、記録からは裏付けられないこと(262)、価格の変更に関してグーグルは、広告者からの反感を避けることに留意していた(263)、グーグルは、価格を漸増することをこころがけており、広告者は、それを「ノイズ」とみるようにしていた(264)。このグーグルのアプローチは、成功したこと(266)、価格を変更する際には、グーグルは、ライバルの価格を考えなかった(267)。

3.5.7.3 広告者のコントロールを制限する

グーグルはまた、主に次の2つの方法でテキスト広告の品質を低下させた。検索クエリレポートで広告主が利用できる情報を減らすことと、キーワードのマッチングを緩めることだ。キーワードのマッチングを緩めることで、より混雑した、より高い価格を生み出すオークションを作り出した(268)。 2007年にSearch Query Reports (SQRs)が提供され、広く使われていたが、(プライバシー名目で)ワンクリック閾値を削除したことがあるが、グーグルの記録からは、その理由は疑わしいこと(271)、どのように閾値が、変更されたかは、広告者に通知されなかった(273)、オークションに参加するためにくは、広告者が、キーワードを特定するのみではなく、ネガティブキーワードをも特定できた(274)。 グーグルは、「キーワードマッチング」の機能を拡張することで、広告者地震が特定の広告おークションから除外されるようにする能力を制限した(275)。 グーグルがこれを行う方法のひとつが「セマンティックマッチング」であり、これは「(キーワードの)意味を理解し、それを類似の言葉に置き換えることで、特定の言語で同じ意味を持つものが同じように扱われるようにする」試みである(276)。拡張マッチングについて、オプトアウトの機能があったもの2014年にこれを削除した(277)。これによって沢山の広告者がオークションに参加することになり、より、参加者の層が厚くなり、価格としては上昇圧力がかかる(278)。

3.5.8 SA360

検索エンジン管理ツール(SEMツール)は、広告主がGSE、SVP、ソーシャルメディア・プラットフォームなど、さまざまなオンライン・プラットフォームで広告キャンペーンを管理することを可能にする(279)。種々のプラットフォームの広告キャンペーンを容易にすることから便利である(280)。グーグルは、Search Ads 360,( SA360)という検索エンジン管理ツール(ダブルクリックによって開発)を有している。その他のSEMツールには、Skai, Marin, Adobeがあるが、SA360は、マーケットリーダーである(282)。オークション・タイムビッディング(ATB)は、クーグル広告とマイクロソフト広告とのネイティブツールにおいて利用可能である(283)。2019年9月までにATBは、SA360のインターフェースで統合されており、その採用率は80パーセントであり、ROIは、15-30%の増加である(285)。2019年夏にマイクロソフトは、グーグルに対して、ATBをSA360をマイクロソフト広告のインターフェースに統合するように求めたが、グーグルは、要求対応を伸ばした(286)。グーグルは、Project Myxによって、グーグル広告のためのATBをSA360に統合した。トライアルの段階で、マイクロソフト広告にATBは、統合されていない(同)。他のSEMツールでは、マイクロソフトにATBを提供している(287)し、広告者のなかには、他のSEMツールやマイクロソフトのネイティブツールをBing広告のために利用するものもいる(288)。

3.6 関連契約

グーグルは、主要ブラウザ開発会社2社(アップル、モジラ)、アンドロイド端末の主要OEM各社(サムスン、モトローラ、ソニー)、米国の主要無線通信事業者(AT&T、ベライゾン、T-モバイル)と検索配信契約を締結している。2021年、グーグルはこれらの契約に基づき、総額263億ドルのレベニューシェアを支払ったが、これは財務諸表上、「トラフィック獲得コスト」(TAC)として記載されている費用である(289)。

これらを略して図示するとこのようになります。

いうまでもないことですが、独占状態がわるいことではなく、独占化しようとすることが問題なわけで、上のレヴェニューシェア契約などが問題があるではないか、ということになります。

3.6.1 ブラウザー契約

3.6.1.1 グーグル.アップルインターネットサービス契約

インターネット・サービス・アグリーメント(ISA)とは、グーグルとアップルの間で結ばれた契約であり、グーグルはアップルに検索広告収入の一部を支払う代わりに、アップルはグーグルをモバイルおよびデスクトップ・ブラウザーであるサファリにデフォルトのGSEとしてプリロードする(290) 。

現在のインターネットサービス協定条件

インターネットサービス協定の2つの条項が当事者の争いの中心となっている。 (1) デフォルト条項とレベニューシェア条項、 (2) アップルの製品開発に対する制限 である。

(1) デフォルト条項とレベニューシェア条項

インターネットサービス協定はアップル社に対し、同社の全デバイスのSafariのデフォルト検索エンジンをグーグルに設定することを要求している。インターネットサーヒズ協定の下では、「デフォルト」検索エンジンとは、「エンドユーザーが別のサードパーティ検索サービスを選択しない限り、ウェブブラウザソフトウェアから開始された検索クエリに応答するために自動的に使用される」検索エンジンのことである。 インターネットサーヒズ協定における「検索クエリ」とは、Appleの音声アシスタントであるSiri、デバイス上の検索であるSpotlight、またはSafariで入力される、情報を求めるあらゆるユーザー入力と定義される(295)。

Appleの全デバイスにおいて、検索の65%はSafariのデフォルトのアクセスポイントである統合検索バーに入力されている。つまり、Appleの全デバイスにおいて、デフォルト以外の検索アクセスポイントを経由するクエリは全体の35%に過ぎない(296)。iPhoneでの全検索のうち、グーグル以外のGSEで検索されるのは5.1%に過ぎない。つまり、iPhoneにおける一般的な検索クエリの95%近くをグーグルが受信していることになる。

Safariのデフォルト(モバイルとデスクトップの両方)から入力されたクエリは、米国における全クエリの28%を占めている(297)。 グーグルはこれらのデフォルト掲載の見返りとして、サファリのデフォルトブックマークから開始されたクエリを含む、サファリおよびクロームにおける広告収益の%をアップルに支払っている(298)。 2022年、グーグルがアップルに支払うレベニューシェアは推定200億ドル(全世界のクエリ)であった。これは2020年の支払額のほぼ2倍であり、当時はアップルの営業利益の17.5%に相当していた。(299) (2)アップルの製品開発 Googleは、Appleが独自の検索エンジンを開発し、SafariのデフォルトのGSEとしてデプロイした場合、Googleに大きなコストがかかることを以前から認識していた(300)。 Googleは、Safariのデフォルトなしで一部のユーザーを維持できると仮定しても、インターネットサーヒズ協定がなければ収益の約65%を失うと予測した。 アップルは検索における能力を拡大するための措置を講じている(301)が、 これらの投資にもかかわらず、アップルは現時点では一般的な検索に参入しないことを決定している(302)。また、消費者の反発のリスクや、他の製品開発分野への投資の見送りのリスクを考えないといけなくなる。 本格的なGSEを立ち上げたわけではないが、アップルは検索機能を自社デバイスに導入し、統合してきた(303)。Suggestions機能はその一例である(304)。直接的な対応として、グーグルは2016年のインターネットサーヒズ協定で新たな条項を交渉し、アップルによるSafariのデフォルトの実装は以前の実装と「実質的に類似したまま」でなければならないと要求した(305)。 現時点では、Appleはインターネットサーヒズ協定をサジェスチョンやSiriに関するユーザーのクエリに対応する能力の制限とは考えていない(307)。308. アップル社のデバイスに搭載されているもうひとつの検索機能がiPhoneのSpotlightは、下方向に1回スワイプするだけで、検索バーにアクセスできるというSpotlightである(308)。インターネットサーヒズ協定は、「Appleは、Spotlightを変更、修正、革新する能力において制限されないものとする」と規定しているが、Appleの「Spotlight内の検索クエリのためのSpotlightサービスの初期実装は、Spotlight内の検索の現在の実装と概ね同等であるものとする」とも要求している。Appleは現在Spotlightに広告を出しておらず、その計画もない(310)。

インターネットサービス協定の歴史

インターネットサービス協定は、最初は2002年に締結され、アップルにグーグル検索をライセンスするものであり、排他的なものではなかったし、また、レベニューシェアの条項は含んでいなかった(312)。 2005年頃、グーグルは、ヤフーがグーグルに取って代わる可能性を懸念し、収益シェアとデフォルトの独占権を交換するというアイデアを始めた(313)。その後、当事者は2002年のインターネットサーヒズ協定を修正し、GoogleがAppleに1回限りの1,000万ドルと年間広告収入の50%を支払うことを規定した。その対価として、アップルはグーグルをデフォルトのGSEとしてサファリにプリインストールし、「ユーザーが他の検索プロバイダーを選択しない限り、自動的にウェブ検索に使用される」ようにすることに合意した(314)。2007年、アップルはiPhoneを発売した。両当事者はインターネットサーヒズ協定を修正し、Safariのデフォルトの配置をモバイルデバイスやその他のプラットフォームに含めるようにした(315)。

2007年の修正には2つの注目すべき修正が含まれていた。第一に、「アップル社は、エンドユーザが開始したものではない検索語句をあらかじめ検索ボックスに入力してはならない」とし、「オートコンプリート機能を利用したクエリは、……エンドユーザが入力したものとみなす。. 第二に、2007年の修正により、iPhoneだけでなく、iPodやWindows版Safariを含む他の様々なアップル製品においても、Safariの検索バーにおけるグーグルのデフォルト状態が確保された(317)。

2009年、アップルは、ユーザーに他のGSEへのアクセスを許可する柔軟性の拡大を求めた。アップルは「グーグルをデフォルトの検索プロバイダとして設定し、なおかつレベニューシェアを受け取る義務ではなく、オプション」を求めていた。 具体的には、Appleは、デフォルト以外のクエリについては収益分配をやや少なく(40%)、Googleをデフォルトとしてプリセットされた検索アクセスポイントでのクエリについては全額(50%)を受け取ることを提案した。グーグルがこれらの条件を却下した理由の大部分は、アップルが「デスクトップ/Safari検索ソリューションの代替プロバイダーと協力することを決定する可能性がある」ため、つまり、すべての場所や製品ライン/バージョンではなく、一部の場所でグーグルをデフォルトとして使用するためであった(319)。 2012年、アップルは他のGSEをユーザーに配布する柔軟性を再び求めた(320)。グーグルは、「収益分配を受けたいのであれば」、アップルはグーグルをSafariのデフォルトとして独占的に維持しなければならないと主張し その結果、「2014 Joint Cooperation Agreement」と題された修正案は、グーグルがデフォルトの独占的検索エンジンとして維持されることになった(320)。2014年の修正では「デフォルトブックマーク」の作成も規定され、アップル社はGoogle検索のブックマークを「Safariのデフォルトブックマークページに目立つように表示」することを義務付けられ、Googleは「Google検索のブックマークを経由して開始されたすべてのトラフィックに対して」レベニューシェアを支払う義務を負った。同上。しかしアップル社は、ライバルGSEにリンクするデフォルトブックマークを提供することを禁じられておらず、ブックマークの配置についてビング社やヤフー社と合意に達していた。2年後、アップルとグーグルは現在有効なインターネットサービス協定を締結した。

マイクロソフト-アップル交渉

アップル社とマイクロソフト社は、サファリにデフォルトのGSEとしてビングをインストールすることについて時折議論してきたが、マイクロソフトは成功していない(321)。2015年、2016年のインターネットサーヒズ協定の署名に先立ち、マイクロソフトは「(アップルとの)検索パートナーシップによって可能になるマイクロソフトとグーグルの競争の激化は、アップルの長期的な経済的利益につながる」と主張しSafariのデフォルトのGSEとしてBingがGoogleに取って代わることを期待していた(322)。 マイクロソフトは、移管期間中は「移管費用を負担し、補助金まで出す必要がある」ことを理解しており、長期的にそうするつもりであった(323)。この申し出が受け入れられなかったとき、マイクロソフトはデフォルトを確保するためにBingの収益の100%をアップルと共有するか、あるいはBingをアップルに売却することを提案した(同)。アップルはマイクロソフトの「自分たちは素晴らしい(検索の)品質を持っていると考えており、(アップルの)検索ボリュームがあればさらに良くなると言っていた」という主張に同意しなかった。さらにアップルは、高い収益シェアにもかかわらず、ビングは 「広告のマネタイズが下手 」であるため、十分な収益を上げられないのではないかと懸念していた(324)。 アップルはグーグルをビングに置き換えた場合の潜在的な財務的影響を評価しアップルがインターネットサーヒズ協定を延長した場合、今後5年間でグーグルから約400億ドル、さらにその次の5年間で700億ドルの利益を得ることになり、マイクロソフトがアップルに提示した最初の5年間の200億ドルの倍である(325)。グーグルとの取引は限りなく確実なものに近いので、グーグルとの取引に留まるのは当然である(327)。 グーグルはまた、サファリのデフォルトを勝ち取るために、マイクロソフトがアップルに何を提供する必要があるかを分析し、その結果、マイクロソフトがグーグルの財務的貢献と同等になるためには、グーグルの当時の収益シェア33.75%と同等になるために、ビングの収益シェアの122%をアップルに支払う必要があると結論づけ、それは、不可能だと判断した(328)。アップルはビングをオプションとして真剣に検討したことはなかったが、マイクロソフトは、アップルがグーグルとの交渉において「価格をつり上げるため」にビングを利用し、グーグルからより高い収益シェアを引き出したと認識している(329)。

DDGとアップルの交渉

DDGはプライバシーを重視するブランドであるため、Safariの「プライベート・ブラウジング・モード」のデフォルトGSEをDDGに変更するよう何度もAppleを説得しようとした(330)。2014年、アップルは初めて、ユーザーが選択すれば、アップルデバイスのデフォルトをDDGに変更できるというアップルデバイスの代替デフォルト検索オプションとしてDDGを提供した(331)。DDGはSafariのプライベート・ブラウジング・モードでデフォルトとなるよう、初めて売り込みをかけ、その後2年間にわたってこのアイデアを提案し続け、2016年にアップルから最初の回答を得、アップルの代表者と定期的に面会したが、Appleの上層幹部は、SafariのプライベートブラウジングモードのデフォルトとしてDDGを使用することを純粋に検討したことはなく、最終的にアップルは切り替えを拒否した(332)。

AppleのGSEに対する最近の評価

2021年、アップルの「Aethon」調査は、結果の関連性で測定すると、すべての検索アクセスポイント(Safariのデスクトップクエリを除く)でグーグルがビングより優れていることを実証した(333)。

3.6.1.2. Mozilla-Google レベニューシェア契約

Googleが2021年にMozillaに支払った収益分配金は4億ドルを超え、これはMozillaの運営予算の約80%に相当する(335)。

Mozilla-Yahoo Partnership

2014年から2017年まで、FirefoxのデフォルトのGSEはGoogleではなくYahooであった(337)。MozillaとYahooの契約は、Yahooが最低年間支払額3億7500万ドル、または70%の収益シェアのいずれか高い方を支払うことを要求した。Mozilla が Firefox のデフォルト GSE を Google から Yahoo に切り替えた際、各検索プロバイダのクエリ量は変化した。Firefoxのクエリに占めるGoogleのシェアは、80~90%から60~70%へと20ポイントも急激に低下した。ヤフーのシェアは、Firefoxのクエリの約10%から30%に増加した。2014年から2017年にかけて、Googleはクエリシェアをある程度取り戻したが、70%を超えることはなかった。2017年にMozillaがデフォルトをGoogleに戻すと、GoogleはYahooを犠牲にして以前のクエリシェアを取り戻した(338)。 最低支払保証を満たすために、ヤフーはSERPに掲載する広告の数を増やし、ユーザーエクスペリエンスを低下させ、最終的にモジラがデフォルトをグーグルに戻した(339)。

Mozillaの実験

Mozilla はデフォルトの GSE を Google からライバルに変更する可能性を評価するために実験を実施してきた。このような実験は、契約更新の時期に実施される傾向がある(340)。 2016年の実験では、Mozillaは新規ユーザーと既存ユーザーのデフォルトのGSEをGoogleからBingに切り替えた。12日目までに、Bingは検索ボリュームの42%だけを維持した。0.006でDX679。さらに時間が経過すると、特定の変数にもよるが、この数字は20~35%に低下した(341)。MozillaはデフォルトのGSEをYahooに切り替える実験を行ったが、Yahooは総検索ボリュームの16.5%しか維持しなかった(342)。 2017年、MozillaはGoogleの代わりにBingを使用して同様のテストを行ったが、いずれも.検索ボリューム減少、広告クリック数減少を招いている(343)。

3.6.1.3. 他のブラウザとの契約

Googleは、SamsungのS Browserのような小規模なブラウザとも同等の契約を結んでおり、それらは修正によって更新されている(346)。DDGは、サムスン、モジラ、オペラを含む他のブラウザ開発者にプライベートブラウジングモードのデフォルト提案を行ったが、DDGに前進したブラウザはなかった(347)。

3.6.2 アンドロイド契約

3.6.2.1. モバイルアプリケーション販売契約

グーグルは、モトローラやサムスンなど、すべてのアンドロイドOEMとモバイル・アプリケーション販売契約(MADA-モバイル・アプリケーション販売契約は、Androidエコシステム向けに開発されたグーグル独自のモバイルアプリケーションをOEMが使用できるようにする、デバイスごとのライセンス)を締結している(348)。このアプリケーション群はGoogle Mobile Services(GMS)と呼ばれている。OEMはGMSライセンスに対して料金を支払っていないが、グーグルはOEMに対し、目立つ場所に特定のアプリケーションをプリロードするよう要求している。

2019年現在、約23億台のAndroid端末がモバイル・アプリケーション販売契約の対象となっている(350)。 グーグルは、モバイル・アプリケーション販売契約を「Androidにおける(自社の)アプリのベースライン配布」を確保するものと考えており、モバイル・アプリケーション販売契約の下では、パートナーOEMは、Google検索ウィジェット、Chrome、YouTube、Gmail、Googleマップ、Googleドライブなどを含む11のGMSアプリケーションをすべて新しい端末にプリロードしなければならず、Google検索アプリケーションとChrome(どちらもデフォルトはGoogle)を含む6つのアプリケーションは、ユーザーが削除することはできない(351)。 GMSアプリケーションの1つは、主要なAndroidアプリストアであるGoogle Playストアであり、モバイル・アプリケーション販売契約がなければ、OEMはPlayストアを配布できない(352)。353. Playストアは技術的に必要なだけでなく、ユーザーエクスペリエンスにも大きく貢献しており、キャリアはPlayストアを必要不可欠なものと考えている(353)。

マイクロソフトでさえ、「グーグルからのライセンスが必要」であったため、自社の Duo モバイルデバイスのために モバイル・アプリケーション販売契約 に署名した(それによってライバルのグーグル検索ウィジェットおよび Chrome をプリロードした)(355)。 モバイル・アプリケーション販売契約の署名者は、端末のデフォルトのホーム画面に Google検索ウィジェット(またはクイック検索ボックス)をプリロードして配置することに同意し、デフォルトのホーム画面に表示されるGoogleアプリケーションフォルダにChromeを配置することに同意する(356)。 モバイル・アプリケーション販売契約には、OEMがGMSアプリケーションのみをプリロードすることを明示的に要求するものはなく、2つ目(または3つ目)のブラウザや検索ウィジェットをプリロードする自由がある(358)。しかし、実際には、OEM は、同じ検索アクセスポイントを複数、特に同じような目立つ位置にプリロードすることは、ユーザーエクスペリエンスを低下させる最適設計ではないことを認識している。このようなアプリの過負荷は「ブロートウェア」として知られている(359)。グーグルも2つのプリインストール・ブラウザと2つのデフォルト・ウィジェットを備えた端末構成について、「許容はされるが、可能性は低い」と認識している(361)

3.6.2.2. 収入シェア契約

モバイル・アプリケーション販売契約とは別にレベニューシェア契約(RSA)が締結され、そこでは、キャリアまたは OEM の支払いは、デバイスの独占の程度に連動し、パートナーは販売されたデバイスモデルに基づいて異なるレベルを選択することができる。レベニューシェア契約は、FacebookやInstagramのようなソーシャルネットワークのプリインストールを禁止していない(363)。

a キャリアとの収入シェア契約

OEMや通信事業者がレベニューシェア契約を締結する必要はないが、すべてのOEMや通信事業者がレベニューシェア契約を締結し、モバイル・アプリケーション販売契約を締結しておきながら、レベニューシェア契約の下での少なくともいくらかの収益分配を見送るのは不合理である(364)。Googleは、各大手ワイヤレスキャリアとレベニューシェア契約を締結している: Verizon、AT&T、TMobileであり、Verizonとの契約は3段階であるが、AT&T、T-Mobileとの契約はそれぞれ2段階、1段階である(364)。グーグルはAndroid端末における独占権を「グーグルにとって非常に戦略的なもの」と考え長い間、通信事業者とのレベニューシェア契約をAndroid端末のクエリ・トラフィックを確保し、ライバルを排除するために不可欠なものと考えてきた(365)。

ベライゾン

ベライゾンのレベニューシェア契約には3つの段階( Core、Qualifying、Preferred)がある(366)。「Core 」検索アクセスポイントがプリインストールされ、デフォルトがGoogleに設定されている端末について、Verizonに一定のレベニューシェアを支払う。より多くの搭載されると引き換えに、グーグルはより多くのレベニューシェアを支払う。レベニューシェア契約は、Googleに対し、Preferred Tierの端末(VerizonのCore Tierから3倍増)に対し、収益シェア(%)を支払うことを要求している。 Verizonは10年以上にわたってGoogleとレベニューシェア契約を締結してきたVerizon の「Core Devices」層は、交渉を通じて開発された(367)。Verizonは、2021年のGoogleVerizon レベニューシェア契約の交渉において、検索を含む特定のYahooの機能を自社の端末にプリロードすることをGoogleに提起した(369)。 2018年11月、レベニューシェア契約交渉中、「当社は、Google検索に類似する代替検索サービスを端末に搭載しない」という独占条項を削除し、レベニューシェア契約草案の越えてはならない線をGoogleと共有した(370)。これらの交渉の間、Verizonは、レベニューシェア契約の下で支払われる収益分配の増額を望んでいた(371)。 こうした要請にもかかわらず、グーグルは当時有効であった段階的な収益分配システムを主張した(372)。Verizonは、レベニューシェア契約を更新しないか、更新はするがYahooとの「検索提携」を可能にするためにCore Tierを受け入れるかのいずれかであった場合、「完全な収益影響」評価を行ったがCore Tierの収入シェア支払いを受け入れると、同社に14億ドルの収入損失が生じることが示された(373)。 その結果、Verizonは、「Yahooからの収益が低いことは、それに見合う価値がない」と判断し、レベニューシェア契約において、Preferred TierからCore Tierに降格させることなく、これらの垂直的プロパティをVerizonのAndroid端末にプリロードすることを認めるカーブアウトに合意した(374)。 375. 最終的に、ヤフーの垂直統合に関するこれらの交渉は、2021年レベニューシェア契約が締結される直前にベライゾンがヤフーを売却したため、無意味なものとなった(375)。

AT&T

AT&Tのレベニューシェア契約は、Verizonのレベニューシェア契約と非常に類似しているが、自社端末をPreferred Tierに登録するか、Qualifying Devicesとして維持するか、収益分配を見送るかを選択することができCore Devicesの階層はない(376)。377. レベニューシェア契約は、すべての検索アクセスポイントがデフォルトでGoogleに設定され、これらの端末がデフォルトのホーム画面にGoogle検索ウィジェットをプリロードすることを条件に、Preferred Tier端末に対してAT&Tに%レベニューシェアを支払うことをGoogleに要求している(377)。

T-Mobile

T-Mobileのレベニューシェア契約は対象デバイスおよび優先デバイスへのデフォルトの配置に対して、デバイスごとに$の報奨金で補償されており他の企業とは異なる構造になっている(378)。 レベニューシェア契約 の交渉において、当初のタームシートには、T-Mobile が独占と引き換えに多くの収入シェア(「Optimized Tier」)を獲得し、独占を伴わない最低レベルの端末構成(「Core Tier」)と引き換えに少ない収入シェア(「Core Tier」)を獲得する、階層ベースのシステムが含まれていたが、 グーグルはT-モバイルが「独占権のない端末の設定を行い、グーグルからレベニューシェアを受け取ることをまだ望んでいた」にもかかわらず、「グーグルがそれを望まない」ため最終的にコア・ティアをレベニューシェア契約から外した(378)。 利益を最大化するキャリアにとって、低収益のシェア・オプションを選択することは経済的に合理的ではなく、在のレベニューシェア契約では、3大キャリアすべてが、販売されたすべてのAndroid端末を最も高いレベニューシェアに登録している(379)。

b. OEMとのレベニューシェア契約。

グーグルは、OEMが直接販売する比較的少数のAndroidデバイスを対象としている2つの主要なアンドロイドOEMであるサムスンとモトローラともレベニューシェア契約を結んでいる(380)。 現在のレベニューシェア契約では、サムソンは従前の条件に準拠したデバイスの収益シェア1%を受領しているが、サムスンがグーグルに対して特定の検索アクセスポイントを設定すると追加的な収益シェアの増加がある(381)。 サムスンレベニューシェア契約は「Enhanced Devices」についても規定しており、ホットシートやドックにChromeをデフォルトブラウザ(S Browserを超える)として配置するなど、モバイル・アプリケーション販売契約を超える追加の配置を要求している(382)。サムスンに支払われる収益シェアは、エンハンストデバイスとコアデバイス( %)で同じだが、その割合はより広範な検索アクセスポイントに適用される。 モトローラとグーグルとのレベニューシェア契約は異なる構造になっている。販売されるすべての端末は、Foundation Tierの最低要件(端末のドックまたはホットシートにデフォルトのGSEとしてGoogleを含むChromeがプリインストールされていること)を満たさなければならない。JX62 at 184, 197. モトローラはその見返りとして、少なくとも毎月$を得る。同上。プレミア層では、端末のすべての検索アクセスポイントにグーグルをデフォルトとして独占的にプリインストールすることが要求され、その見返りとして毎月の追加支払いが発生する。同書186-87、198、201。グーグルは、OEMにより販売されたモトローラ製端末のうち、このレベニューシェア契約の対象となる端末の数は「95%以上」と推定している。

c. 代替検索サービスの定義

現行のすべての Android レベニューシェア契約 は「代替検索サービス」を「(Google がその合理的な裁量で決定した)Google 検索に実質的に類似する検索サービス」と定義しており、パートナーが別の GSE をプリインストールしたり、販売促進したりすることを制限している(385)。また、2021年Google-T-Mobile契約は、T-Mobileがプリファード・デバイスにおいて、代替検索サービスや代替検索サービスへのナビゲート手段をインストールすること、他の代替検索サービスを販売すること、エンドユーザーに代替検索サービスを提案すること、Googleのデフォルト検索ポジションを妨げるような設定を調整することを禁止している(385)。 2020年のGoogle-Motorola レベニューシェア契約にも同様の制限が含まれている。2009年のGoogle-Verizon レベニューシェア契約では、「General Web Search」を「インデックス可能なウェブサイトの大部分を検索して検索結果を生成する検索機能であり、そのような検索結果には、本規約で除外されていない限り、ウェブサイト以外の検索結果も含まれる場合がある」と定義し、一般的なウェブ検索の例としては、グーグル、ヤフー、ビングの検索サービスがある(386)。 その契約では、パートナーが「レストラン検索、ローカルビジネス検索、アプリケーション検索、ビデオ検索などの垂直的かつカスタマイズ可能な検索機能」を対象デバイスにプリロードする能力は制限されておらず、これらの機能は契約の意味における「一般的なウェブ検索ではない」としている(387)。

2021 Google-Verizon レベニューシェア契約 は、「代替検索サービス」を「(a) ウェブ検索サービス、(b) 複数の垂直検索機能をクエリに応答して組み込む端末上の検索サービスであって、(a) および (b) の各場合において、Google 検索と実質的に類似した機能を提供するもの(Google がその合理的な裁量で決定)」と定義しており、 この定義は、「(Googleの合理的な裁量において)Google検索と実質的に類似していない検索結果を提供する、特定の単一または複数の垂直方向のコンテンツに限定された……単一のモバイルアプリケーション内の検索」を明示的に除外している(388)。

この契約は、代替検索サービスのインストールやプロモーションを制限しているが、Yahooのバーティカル向けには限定的な除外規定があり、これは実施されなかった。

2021年 Google-AT&T レベニューシェア契約は「代替検索サービス」を「(a)インターネットコンテンツ、または(b)複数のアプリケーションのコンテンツから構成される検索結果を、(a)および(b)の各場合において、(7.2項に従って両当事者の相互合意により決定される)Google検索と実質的に類似した方法で、クエリに応答して、(a)インターネットコンテンツ、または(b)互いに関連会社ではない事業体が所有する端末上の複数のアプリケーションから構成される検索結果を配信する、Google検索以外のアプリケーション、製品、またはサービス」と定義している(389)。垂直コンテンツを含め、Verizonの契約と同様の機能が規定されており、その例としてSpotifyとWazeが挙げられている(389)。

d .ブランチ

2017年のGoogle-Samsung レベニューシェア契約では、「代替検索サービス」を 「Google検索に実質的に類似するあらゆるウェブ検索サービス 」と定義していたが、サムスンがブランチ社の端末内検索技術をプリインストールしたから、この定義は2020年に変更され、「Google検索に類似した機能を提供するウェブまたはデバイス上の検索サービス(複数のバーティカル検索機能を組み込んだデバイス上の検索を含む)」が含まれるようになった。 Samsungはブランチ(Branch)のディープリンク技術(「ディスカバリー 」-主にモバイルアプリケーションの端末内検索を可能にするが、ユーザーが端末に関連するモバイルアプリケーションを持っていない場合、限定的なウェブ検索結果を提供する機能も持っている)を自社のデバイスに統合しようとした。このブランチはまた、SVPとの提携に基づき、特定のアプリをダウンロードしていないユーザーがウェブに戻ることなく、ディスカバリーのインターフェースからSVPのウェブサイト情報に直接アクセスできるようにする「ディープビュー」機能を開発した。このブランチは、ウェブサイトへのリンクが契約に抵触する可能性があるため、グーグルとサムスンのレベニューシェア契約が配布の障害になると理解しされており、サムスンは最終的にディスカバリーを特定のデバイスにプリインストールしたが、その機能は低下した(393)。394. このエピソードの後、新たに交渉された2020年のGoogleとSamsungのレベニューシェア契約には、「代替検索サービス」の定義が修正され、「Google検索に類似した機能を提供するウェブまたは端末上の検索サービス(複数の垂直検索機能を組み込んだ端末上の検索を含む)」とされた。 AT&TはBranchの技術の導入も検討したが、最終的には、グーグルがこのような提携がレベニューシェア契約に抵触するかどうかを明らかにすることを拒否したため、Branchとの提携を見送った(395)。当AT&TはBranchの配信に興味を持ったが、そうすればレベニューシェア契約に違反しないという安心感をGoogleに求めたが、Branchは「競合検索または代替検索と見なされる」可能性があり、AT&Tは「Googleからのインターネット検索収入を見送り、代わりにBranchからデバイス上の検索収入を得る」必要があるため、Branchと提携することは「白黒はっきりさせる」ものではなく、「何らかのリスクが伴う」可能性があると考えた(396)。

3.6.2.3. モバイルサービス情報契約

2021年、各ワイヤレス通信事業者はグーグルとの間で、「Go-to-market」契約としても知られるモバイルサービスインセンティブ契約(MSIA)を締結した(397)。 MSIA は モバイル・アプリケーション販売契約 および レベニューシェア契約 とは別個のものであり、MSIAは、Android端末の販売とAndroidエコシステムをサポートするという目標に向けて、インセンティブをどのように使うかについて、パートナーがGoogleと協力することを求めている(398)。

4 法的結論

以下は、概要です

4.1 法的枠組

ここでは、シャーマン法2条に触れられており、マイクロソフト事件におけるDC巡回区決定が「独占化(monopolization)」の判断枠組として示されています。「関連市場における独占力」は、 (1)製品および地理的 な市場の定義、および(2)関連市場内における力の 2つから構成されること、これについて原告が証明責任をおうことになります。

4.2 独占力:一般検索 サービス

市場の確定に関していえば、原告は、グーグルはその市場で支配的かつ永続的なシェアを有しており、そのシェアは高い参入障壁によって守られているとして、米国における一般的な検索サービスの製品市場においてグーグルが独占的な力を有していると主張している。これに対して、グーグルは、代わりに存在するのは、より広範なクエリ回答市場(SV、ソーシャルメディア、独立したサイト-Wikipedia)であり、そこでは活発な競争が行われており、一般的な検索サービスには製品市場など存在しないと反論しています。

4.2.1 定義の原則

市場の定義については、関連市場とは、効果的な競争が行われる領域と定義される。通常、これは「消費または生産において重要な代替が行われる領域」です( Ohio v. Am.Express Co., 585 U.S. 529, 543 (2018))。そして商品が合理的な代替品であるかどうかは、機能的互換性と需要の交差弾力性という 2つの要素に左右されます。 需要の価格弾力性については、ブラウン・シュー・カンパニー対合衆国事件(Brown Shoe Company v.United States, 370 U.S. 294 (1962))において最高裁が指摘した「実際的な指標」と、専門家である経済学者による定量的な証拠である。 ブラウン・シュー社の「実際的指標」として (1)業界または世間での認知度、 (2)製品の独特な特徴と用途、 (3)独特な生産設備、 (4)独特な顧客、 (5)独特な価格、(6) 価格変動への敏感さ、 (7) 専門業者。があげられています。 市場定義の定量的証拠は通常、専門エコノミストが「仮想独占者テスト」を実施する形で得られるものの、検索はエンドユーザーにとって価格ゼロの財であるため、原告の経済学専門家は誰も定量的な仮想独占者テストを実施していません。が、裁判所は、結局「技術的分析が常に必要であるという主張には、判例上の裏付けがないように思われる」としています。

4.2.2 一般検索サービスは、関連製品市場であること

裁判所は、一般的な検索サービスが関連製品市場であり、 SVPやソーシャルメディアサイトのようなクエリ情報の代替ソースは適切な代替品ではないとしています。ここで検討されている事情としては、以下の事情があります。

4.2.2.1 独特の特徴と用途

「製品の特殊性」とは、市場における代替品がしばしば強い物理的・機能的関係を有するという一般的な事実を指す。GSEを SVPやソーシャル・メディア・サイトと混同するユーザーはいないだろうし、また、GSE での検索は、主題、在庫、クエリの種類による制約を受けないし、また、ウェブ上の別のサイトにアクセスする目的(例:「amazon」、「home depot」、「baltimore sun」)は、 GSEだけのものであるとしています。これに対して、SVPは「壁に囲まれた庭」(walled Garden)であり、そのクエリ応答は、その特定のプラットフォームでのみ利用可能な構造化データから得られることを意味する。また、SVPはその名が示す通り、一般的に特定のテー マに「特化」している(例えば、ショッピングのAmazon、旅行のExpedia、ローカルビジネスのYelp) GSEで消費者に提供される商品は、 SVPで生産されるものとは大きく異なること、SVP自信は、それが保有または管理するデータを反映した結果ページでクエリに応答すること、などの異なる特徴の結果、 GSEと SVPのビジネスモデルは根本的に異なっているといえる。 ソーシャルメディアサイトは、 多くの点でGSEと異なるとして、ソーシャルメディアもまた「壁に囲まれた庭」であり、 TikTokの自己アップロード動画やInstagramの写真など、主にユーザー生成コンテンツによって運営されていること、メディア上の検索は、そのプラットフォーム上のプロフィールからしか結果を得られず、外部サイトへのウェブリンクは表示されないことがあげられています。 原告の専門家である Michael Whinston博士は、 Windowsのクエリデータを分析した結果、ユーザーの77%がGSEから検索を開始していることを実証したとの見解を示していること、これに対して、グーグルの専門家であるマーク・イスラエル博士は反対の立場をとり、「ワンストップショッピング」は人々が実際に検索する方法とは相反するものであるとの見解を示しました。これに対して、裁判所は、後者の考え方に同意したものの、GSEはユニークな機能を果たしている:情報の貯蔵庫であると同時に、ウェブ上の他の情報源へのパイプ役でもあり、何度も何度もその目的を果たす点で、SVPもソーシャルメディア・プラットフォームとは、異なるものであるとしました。

4.2.2.2 業界または世間からの評価

ブラウザ開発者はGSEが別個の製品であることを認識している。(SVPやソーシャル・メディア・サイトをデフォルトとしてインストールすることは、その重要なアクセス・ポイントを特定のバーティカル・サイトやサブ・バーティカル・サイトに制限することになり、ユーザー・エクスペリエンスが低下する)
Chrome、 Edge、 Firefox、 Safariで利用可能な代替デフォルトはすべて GSEであること。
アンドロイド OEMと携帯キャリアは、 GSEを別個の製品とみなしている。
広告主はGSEをSVPやソーシャル・メディア・プラットフォームと区別して考えている。
グーグル自身が、一般的な検索サービスを別個の製品、別個の市場として認識している。(グーグルの従業員は、 SVPやソーシャルメディアとは製品体験が異なるため、横並びで比較することは困難であるか、参考にならないと証言している)
一般大衆も GSEを別個の商品と見なしていることを示唆する証拠がある

4.2.2.3 ユニークな開発設備

グーグルの検索品質が、故意であれ、怠慢であれ、大幅に低下したとしたらとしても、 SVPやソーシャルメディア・プラットフォームは、 GSEに似た製品を出すためにリソースをシフトし、それによって不満を持つグーグルユーザーを相当数獲得できるということはありえない。

4.2.2.4 グーグルが提案するクエリー製品市場

グーグルの専門家であるイスラエル博士は、人がオンラインで情報を求めるときは常に、 GSE、 SVP、ウェブサイト、ソーシャルメディアプラットフォームなど、どこで検索するかを選択すると述べており、これをもとにグーグルは、クリエー製品市場があるという。裁判所は、「関連市場には、『消費者が同じ目的で合理的に交換可能な』すべての製品が含まれなければならない」。 Microsoft, 253 F.3d at 52 (quoted du Pont, 351 U.S. at 395)として、個別の目的ではGSEと合理的に交換可能かもしれないが、「同じ目的」ではないとしました。 また、「ある企業が市場全体において競争相手と呼ばれるという事実だけでは、反トラスト法上の関連製品市場に含まれるとは限らない」( FTC v. Staples, Inc., 970 F.Supp. 1066, 1075 (D.D.C. 1997))ことから、ユーザーが “クロスクエリ “するという事実は、すべてのオンラインクエリソースを同じ市場にまとめる必要はないとしました。

グーグルは、異なる業種を単一の市場に「クラスタリング」することが適切なのは、競争条件が類似している場合、すなわち、情報プロバイダーが、旅行に関するものなど、類似したユーザーの質問を解決するために競争している場合に限られるとしました。しかしながら裁判所は、多様なクエリータイプを単一の関連市場に集約することは、何ら不適切なことではないとしました。 GSEは、個々の関連市場を集積したクラスター市場とは異なり、バンドル市場とは、関連市場を構成する製品またはサービスの集合体であり、顧客は商品パッケージを提供するサプライヤーを評価し、「ワンストップショッピング」体験から利益を得るとしました。

GSEのみがあらゆる 問い合わせ(重要なのは、非商業的な問い合わせやナビゲーションに関する問い合わせを含む)に回答できるため、 GSEは別個の商品である。

としたのです。また、グーグル自身の研究は、 GSEと SVPが代替品ではなく補完品であることを裏付けている、としました。2020年のグーグルの調査では、ユーザーのSVPアプリケーションでの活動とグーグルでのクエリ量との間に正の相関関係があることが判明しており、SVPは特定の種類のクエリにおいてGSEと競合する可能性があり、また競合しているが、そのような競合によっての利用頻度が低下したという証拠はありませんでした。 また、 ソーシャルメディア・プラットフォームでの検索はある程度伸びているが、同じ製品市場に分類されるために必要な「著しい代替」を構成するには十分ではありません。

裁判所はグーグルが提案したクエリ応答市場を却下し、代わりに一般的な検索サービスの関連市場が存在するという原告の意見に同意する。

4.2.3 グーグルは、一般検索サービス市場において独占力を有していること

「独占力とは、価格をコントロールしたり、競争を排除したりする力のことである」(du Pont, 351 U.S. at 391)。

より正確には、企業が競争水準よりも大幅に価格を引き上げて利益を得ることができる場合、その企業は独占企業である。 Microsoft, 253 F.3d at 51.

重要なことは、独占力を有するためには、企業が実際に独占的利益を得ていたり、競争を排除していたりする必要はなく、「独占が存在するか否かを判断する際に重要なのは、価格が引き上げられ、競争が実際に排除されることではなく、そうしたいと望むときに価格を引き上げたり競争を排除したりする 力が存在する ことである。」とされます(Am. Tobacco Co. v. United States, 328 U.S. 781, 811)。 これについては、直接証拠があることは稀であり、より多くの場合、裁判所は「独占力の状況証拠を求めて市場構造を検討する」とされ この間接的、構造的アプローチの下では、「独占力は、参入障壁によって保護されている関連市場において、企業が支配的なシェアを有していることから推論されうる」としています。原告は、そのような参入障壁が存在することを示さなければならないだけでなく、その障壁が「重大」であることを示さなければならない、とされます。

4.2.3.1 直接証拠

グーグルの莫大な収入と大きな利益率により、争点となった契約から多額の余剰金を得ることができること、グーグルが「検索製品に変更を加えた場合、ユーザーが他の特定の検索プロバイダー(一般的なものであれ、そうでないものであれ)に行くかどうかは考慮しない」と認めていること、(2020年、グーグルは品質低下に関する調査を実施し、検索製品の品質を大幅に下げても検索収益を失うことはないことを示した)、グーグルが、ユーザーが他へ流れることを懸念することなく製品の変更を行うことは、独占的な力を持つ企業だけができることである、グーグルの従業員は、ユーザーエクスペリエンスの向上を優先するために、ライバルが採用している特定のプライバシー対策をグーグルは控えていると証言をしていること、が直接証拠において議論されています。

4.2.3.2 間接証拠-市場シェア

原告は、グーグルが支配的な市場シェアを有していることを容易に証明した。クエリボリュームで測定すると、グーグルは一般的な検索サービスの市場で89.2%のシェアを享受しており、モバイルデバイスでは94.9%に増加する。 すべてのクエリで5.5%、モバイルで1.3%のBingのシェア、そしてデバイスの種類に関係なく 3%以下のYahooと DDGのシェアを圧倒している。グーグルは少なくとも 2009年以来、 80%以上のシェアを誇っている。 。これは、どのような指標から見ても、永続的な支配的シェアである。

4.2.3.3 間接証拠-参入障壁

原告は、一般的な検索サービス市場におけるこのような障壁として(1)高い資本コスト、 (2)主要な流通チャネルにおけるグーグルの支配力、 (3)ブランド認知度(結局のところ、「グーグル」は動詞として使われている。ビングでさえ、 “google.com “は検索1位である)、 (4)規模を挙げており、裁判所は、これらの障壁が存在し、個別的にも集合的にも、一般検索におけるグーグルの市場支配力を守る重要な障壁であると判断しています。

4.2.3.4 グーグルの反論

グーグルは、反論として(1)新規参入の証拠、 (2)人工知能のような新興テクノロジーの出現、 (3)参入前は他の企業、特にヤフーによって支配されていた市場において自社が出現したこと、をあげています。しかしながら、(1)について裁判所は、Neeva(参入して 4年以内に撤退)やDuckDuckGo(2008年に設立されたとはいえ、市場シェアは2%にほとんど達していない)が参入したとしても、必ずしも「重要な」参入障壁の存在を排除するものではなく、新規参入者の生産量や能力が、 [独占]企業から大きなビジネスを奪うには不十分であれば、 [独占]企業の市場支配力に対する挑戦になるとは考えにくいとしています。 また、現在のところ、 AIは、ウェブのクロール、インデックス作成、ランキングなど、検索の基本的な構成要素を置き換えることはできないと判断しています。(3)については ヤフーを市場の支配者として追い落としたグーグルの初期の成功は、 現在存在する 参入障壁については何も語っていない、と裁判所は判断しています。 また、グーグルは、その市場シェアや参入障壁の有無にかかわらず、検索アウトプットの劇的な成長や、検索の質を高める数々のイノベーションによって、独占力の欠如が確認されたと主張しましたが、これに対して裁判所は、サーチの生産高が伸びているという事実は、サーチにおける独占的パワーと矛盾するものではないとしています。

4.3 独占力 広告市場

次は、広告市場の問題です。これについては、原告らは、

検索広告(デジタルプラットフォームに関係なく、クエリに応答して提供されるすべての広告)
一般検索広告(一般検索エンジン -GSEで配信される広告のみを含む)
一般検索テキスト広告(一般検索エンジンGSEの検索エンジン結果ページ(SERP)に表示されるテキスト広告に限定)

とわかれることを主張しています。これに対してグーグルによれば、デジタル広告の市場はオムニバスで1つであり、主張されているような市場は、グーグルのテキスト広告やショッピング広告の効果的な代替となるさまざまな種類のデジタル広告を除外している、と主張しています。これについて裁判所の判断は、第一に、 検索広告には関連製品市場が存在するが、 グーグルはそれを独占して いな い。これに対して、一般的な検索広告・一般的な検索テキスト広告は、グーグルが独占力を有する関連製品市場である、というものです。これを図示します。

 

 

4.3.1 検索広告は関連市場だが、グーグルは独占的な力を持っていない

デジタルプラットフォームに関係なく、クエリに応答して提供されるすべての広告に関する検索広告においては、GSE、 SVP、 ソ ー シャ ル・ メ ディ ア・ プラ ッ トフォームのいずれで入力されたクエリに対して配信さ れる 広告が含まれる 。 こ の市場から除外されるのは、 ディスプレイ広告、 リターゲティングされたディスプレイ広告、 および非検索ソーシャルメディア広告である。 原告は、ユーザーのクエリからリアルタイムで表現される独自の意図が、検索広告を際立たせているとしている。これに対して、非検索広告はクエリに反応して配信されるわけではないため、広告配信時にユーザーの意図を判断する効果や精度がはるかに低い点で異なる。グーグルは、あらゆる形態のデジタル広告が「広告主に潜在的な顧客とつながる能力を提供する」ものであり、他の広告タイプは検索広告と同じくらい効果的にユーザーの意図を特定し、それに応えるものだと主張し、より広範なデジタル広告市場の中で競争していると主張している。 この点についても、裁判所は、上記のBrown Shoe事件の基準を当てはめて判断している。

特有の特徴と用途

これに対して、裁判所は、検索広告は、それが入力された時点でのユーザーの特定の動機や関心を直接表現するものであるのに対して、ソーシャルメディア広告、ディスプレイ広告、リターゲティング広告は、ユーザーの潜在的な意図を読み解くために間接的なシグナルに依存しているため、広告主にとっては価値が低いとしました。また、検索広告のもう一つの特徴は、プライバシー機能に制限されないことも指摘しています。結局、検索広告は他の広告タイプよりもユーザーの意図に近く、即時性がある、のです。

業界や世間の認知度

広告主は、検索広告とディスプレイやソーシャルメディアのような他のタイプの広告のための別々のチームを持っており、また、これらの広告チャネルのための別々の予算を持っている。このように検索広告を明確な商品市場として認識しています。そして広告主は一様に、検索広告はリアルタイムで表明されたユーザーの意図に反応するため、ユニークだと考えており、マーケティング用語で言えば、検索広告は「ボトムファネル」広告チャネル、または「プッシュ」広告である。 この点についてはグーグルは、 “業界と社会的認知 “という要素は、マーケティングファネルの妥当性に激しく異議があること、一般の人々が異なる広告チャネルを考慮することを考慮していないという 2つの理由から検索広告の市場 には不利であると主張している。 しかし、広告主やグーグルでさ えもいまだにデジタル広告を利用しており、検索広告をユニークなものと見なし続けていること、同じオーディエンスをターゲットとする広告は、同じ広告市場の一部として扱われるべきであるというグーグルの主張は、それ自体、的外れであることから、裁判所は、グーグルの反論を採用していない。

価格変動への敏感さ

米国原告は、広告主は値上げに直面しても検索広告から代替することはないと主張する。グーグルは広告主は特定の広告チャネルよりも ROIやROASを重視し、 ROIを最大化するためにさまざまなチャネルで広告費を動かしているとして、原告の主張を否定する。 裁判所は、製品が合理的に交換可能であるのは、価格の上昇に応じて「著しい」代替が行われる場合に限られることを指摘し、広告主は一様に、何らかのキャンペーンレベルの理由がない限り、検索広告を他の広告タイプに置き換えることはないと述べていることを指摘しています。また、裁判所は、記録から、広告主がフルトンネル戦略”の一環として支出をシフトしているとしています。このような資金の移動の可能性があるということだけで、代替物であるということにはならないのです。なお、米国原告が価格設定に関する計量経済学的モデル(例えばSSNIPテスト)を提示していないため、米国原告の検索広告市場は失敗しているとグーグルは、主張しているのですが裁判所は、市場を定義するためにこのようなモデル化は必須ではない、としています。

独自の生産設備

検索広告の制作は、プラットフォームに関係なく、

(1)検索広告を消費者のリアルタイムのクエリにマッチさせ、
(2) それらの広告を関連するオークションに引き込む」必要がある、
(3)オークションのどの広告が表示されるかを決定し、
(4)表示された広告が[結果ページ]のどこに配置されるかを決定し、
(5)表示された各広告がクリックされた場合の価格を計算する

という共通された方法で特徴づけられた方法で制作される。これに対してディスプレイ広告とソーシャル広告は異なる方法で制作されている。
差別化された顧客
検索広告を購入する広告主は、ソーシャルメディアやディスプレイ広告を含む他の広告タイプも購入するため、この要素は検索広告市場を支持するものではない。
異なる価格
検索広告では、ユーザーが検索広告をクリックした場合にのみ広告主が料金を支払う、クリック単価を指標として販売されおり、これに対して、ディスプレイ広告は一般的にコスト・パー・ミルの指標(すなわち、 1,000インプレッション、またはビューあたりのコスト)を使用している。このように検索広告とディスプレイ広告では、それぞれ異なる価格モデルが採用されている。 裁判所としては、検索広告の特徴である、ユーザーのクエリに反応して配信されるという点から、市場を考えた場合には、このような「商品ページ」広告は、広告ビジネスが急成長しているアマゾンに大きな収益をもたらす可能性が高いといえる。

4.3.1.2. グーグルは検索広告市場で独占的な力を持っていない。

裁判所は、上記のような要素をあげて、検索広告には関連市場が存在すると結論づけたが、 Googleがその市場において第2条違反を立証するのに十分なパワーを有していることを米国原告は立証していないと判断しています。独占力の証拠としては、 (1) 企業が競争水準よりも実質的に価格を引き上げることができることを示す直接的証拠と、 (2) 企業が競争水準よりも実質的に価格を引き上げることができることを示す間接的証拠があります。裁判所は、ともに、証明責任を果たしていないとしています。

直接証拠

米国は、原告として、一般的な検索テキスト広告において、利益を上げるために価格を引き上げたという証拠を提示しています。

しかしながら、裁判所は、米国の主張は単純化した推測(extrapolation)であるとしています。市場の 40%近くPLA(商品リスティング)広告で価格が横ばいであることは、グーグルが検索広告市場全体で独占的な価格決定力を持っているという考え方と矛盾すると考えたのです。

間接的証拠

これについては、参入障壁によって検索広告市場におけるグーグルのトップシェアが守られていることを示していないとしています。ウォルマートとターゲットがその例であるがメガ小売業者も検索広告ビジネスを積極的に拡大しようとしている。オンライン旅行サイトもその一つである(Booking.comの検索広告の提供について )。 2017年以降、検索広告市場におけるグーグルのシェアが着実に低下していることは驚くべきことではないとしています。その結果、裁判所は、米国原告は、検索広告市場に参入するための障壁が、一般検索におけるグーグルの独占を保護する障壁に匹敵するものであることを示していない、としています。

4.3.2 グーグルは一般検索テキスト広告市場において独占的な力を持つ

4.3.2.1. 一般的な検索テキスト広告は、関連する製品市場である。

裁判所は次に、一般的な検索テキスト広告について関連製品市場を決定するためにBrown Shoe事件の要素を適用しする。
特有の特徴と用途
一般的な検索テキスト広告、または「テキスト広告」は、ユーザーのクエリに応じて SERP(検索エンジン結果ページ)に表示される。検索広告と同様、ソーシャルメディアやディスプレイ広告と区別される理由は、既に述べた。。 テキスト広告には、他のタイプの検索広告、特にショッピング広告、またはPLAとも異なる様々なユニークな特徴は、以下のとおりである。 第一に、テキスト広告はオーガニック検索結果の外観を持ち、広告主のサイトへのウェブリンクを提供する。 第二に、広告主はテキスト広告では「コピー」を書くが、 PLAではそうしない。 第三に、そしておそらく最も重要なことだが、PLAは視覚的に描写できるため有形の商品しか掲載できないが、テキスト広告はあらゆる商品やサービスの販売に利用できることから、テキスト広告はPLAよりもはるかに幅広い広告主が利用できる。

業界または世間の認知度。

グーグルも広告主もテキスト広告を別個の商品サブマーケットとして認識している。グーグルはテキスト広告とショッピング広告が異なる商品であることを繰り返し認めている。 グーグルにはテキスト広告と PLAのための異なるチームさえある。 また、広告主はまた、それぞれの広告タイプを別個の商品として認識している。非小売業の広告主は、彼らは単にPLAを使用することはできないので、彼らはテキスト広告を独自のチャネルとして見ていることを強調した。 グーグルは、「市場定義のために重要なのは、多くの広告主が他の検索広告を代替品として買うことができ、また実際に買っていることだ」と反論しているが、裁判所は、テキスト広告と PLAの間で広告費をシフトできるのは小売の広告主だけであり、両方の広告タイプを購入しているのはグーグル広告主全体のごく少数派(7.5%)にすぎないこと、テキスト広告と PLAの間で一部の支出を再配分しても、それだけでは重要な代替を反映したことにはならないこと、から、広告主がテキスト広告と PLAとの間で支出を移動させるという事実だけでは、それ以上でなければ、代替物とはならないとしました。

独自の生産設備。

テキスト広告は、 テキスト広告の外観とコンテンツは広告主によって管理され、広告主は実質的なデザインの意見を述べることができるのに対して、PLAを設計し、広告主は在庫を供給するだけであるように、PLAとは異なる手段で生成・販売される。 テキスト広告も PLAもオークションを通じて販売されるが、オークションは別個のものである。 そしてグーグルは、「ユーザーの意図と広告主の価値はユニット間で異なっており、その結果、広告主はショッピング広告とテキスト広告で同じものに入札していない」ため、オークションを統合する提案を拒否している。 PLAはSVPや他のプラットフォームにも表示されるが、テキスト広告はGSEのSERPに特有のものである。

差別化された顧客。

テキスト広告はほぼすべての広告主に開かれているのに対し、 PLAは有形商品のみを取り上げることができる。 グーグルは、「一部の広告主が(商品リスト広告ではなく)テキスト広告のみを購入したり、特定の主要なSVPで広告を出さないという観察結果は、すべての潜在的な代替物がすべての顧客にとって等しく説得力がある必要はないため、一般的な検索テキスト広告が関連市場であることを示すものではない」と反論しているが、これに対して裁判所は、 広告主の10%未満にしかサービスを提供しない製品は、広告主のすべてにサービスを提供する製品の代替にはなりえない、としてグーグルの反論を不十分であるしています。

異なる価格

テキスト広告と PLAは、どちらもクリック単価(CPC)ベースで価格が設定されています。しかし、テキスト広告の価格は PLAよりも高い。 また、PLAの価格が2016年から 2020年にかけて停滞または低下したのに対し、テキスト広告の価格は同期間に着実に上昇していることが明らかになった。
価格変更に対する感度
グーグルは長年にわたり、実質的な広告主を失うことなく、テキスト広告の価格を 5%以上値上げしても採算が取れるかどうかを検証してきた。裁判所としては、現時点では、小規模だが大幅なテキスト広告の価格上昇に対する広告主の感度が緩やかであることを証拠がしっかりと立証しているというだけで十分である、として広告主は、そのような値上げに対しても代替サービスに移行できないことが示唆されています。 結局、ブラウン・シューの要因を適用すると、原告は一般検索テキスト広告が関連製品市場であることを証明したことになる、と判断しています。

4.3.2.2 グーグルは一般検索テキスト広告市場を独占している

間接的証拠。
グーグルは、テキスト広告市場において、2020年のテキスト広告市場におけるシェアは88%で、 2016年の80%から着実に伸びているように、大きな参入障壁によって守られた大規模かつ永続的なシェアを保有している。
参入障壁は高い。
テキスト広告を表示できるのはGSEのみであるため、新規参入者は、新規GSEの開発者と同じような大きな障害に直面する。さらに、これらの障壁は、テキスト広告を配信するための広告プラットフォームを構築するた めに必要な追加コストとリソースによってさらに複雑になる。大きな参入障壁が、テキスト広告市場におけるグーグルの長年にわたる支配的な市場シェアの侵食を防いでいる。

直接証拠。
グーグルがテキスト広告の価格を超競争的水準で設定したことを証明する直接証拠としては、この時点では、 Googleがテキスト広告の価格を設定する際に競合他社の価格設定を考慮しないという、議論の余地のないことを観察するだけで十分であるというのが裁判所の見解です。 これに対して、グーグルは、グーグルが広告価格を決めるのではなく、オークションが決めるのだから、マイクロソフトの見解はここでは当てはまらないと反論していますが、これに対して、裁判所は、グーグルがライバルの価格を考慮せずにテキスト広告オークションに変更を加えることは、独占的な力を持つ企業だけができることである、として、従って裁判所は、グーグルは一般検索テキスト広告の市場を独占していると結論づけています。

4.3.3 一般的な検索広告の市場を裏付ける証拠はない。

原告州は一般的な検索広告(「ユーザーのクエリに応答してGSEの結果ページに表示されるすべての広告を含み、圧倒的にテキスト広告と製品リスト広告で構成されている」)は、ローカル広告や旅行広告も含む検索広告のサブマーケットであると主張しています。これに対して、裁判所は、 Brown Shoeの要因から、検討すると、一般的な検索広告市場の認定を正当化するものではないとしています。
特異な特徴と用途。
原告側の主張の中心は、 「GSEの検索結果ページに掲載されるすべての広告は、 GSEが提供する幅広い選択肢と目的地を検討しているユーザーに届くため、一般的な検索広告は関連市場である」である。これに対して、裁判所は、これはすべて直感的に理解できるし、それを裏付ける証拠もいくつかあるとするものの、 GSEのユーザーがマーケティングファネルの上位に位置することがあるという事実は、一般的な検索広告がSVPの検索広告とは異なる特定の用途を持つことを意味せず、広告主がより幅広い目的やトピックを満たすために一般的な検索広告を購入できることを意味するだけである。これは程度の差であり、種類の差ではない。としています
業界または世間の認識。
裁判所は、独立した一般的な検索広告市場に対する業界の認識はほとんどないことを指摘します。その上、広告主は、テキスト広告は、その幅と効果のために区別されること、PLAや他のSERP広告を含むより広い一般的な検索広告市場を認識しているかどうかについては何も言わないこと、Amazonがテキスト広告と PLAを単一の商品としてではなく、異なる商品として見ているのは、それぞれの広告タイプに固有の入札戦略を採用していることを指摘しています。 また、征服(“conquesting “として知られる行為-SVPはブランドキーワード(例えば「Yelp」や「Expedia」)を使ってGSEで広告を購入しなければならず、これはライバルがそうして潜在的に自社ブ ランドに関心を持つユーザーを吸い上げるのを防ぐ)の懸念はテキスト広告市場の特徴であり、一般的な検索広告の広範な市場ではないと述べます。原告は、広告主は、 “SERPを所有する “ためにテキスト広告と PLAの両方を購入しているとして、そのような顧客によって定義される市場の承認をもとめているのではないか、と裁判所は指摘しますが、その一方で、「裁判所は、そのような顧客について他にはほとんど知らされていない」としています。結局、「一般的な検索広告を別個の商品市場として業界が認識している証拠はほとんどない。」「記録には、一般的な検索広告が別個の市場であるという一般的な認識が反映されていない。」としています。
独自の制作設備。
GSEと SVPは、クエリに回答するための制作手段は異なるが、 プラットフォームが広告を提供する方法については、両プラットフォームのPLAは、プラットフォーム上で利用可能な広告インベントリ(SVP)または 構造化データフィード(GSE)を通じて生成されるというかなりの重複があるとしています。 裁判所は、GSE上の一般的な検索広告と SVP 上の検索広告の幅には、一般検索エンジンの検索広告がそれほど制限されていないのに対し、特別垂直プロバイダのはウェブサイトで購入可能な商品の広告であるという点で、重要な違いがあることを認めますが、それでも、この違いだけでは、一般的な検索広告がSVP上の同様の広告とは 異なる方法で独自に制作されていると結論づけるには十分ではないとしています。
異なる顧客。
一般検索エンジン(GSE)に広告を出すすべての企業がSVPの検索広告を購入するわけで はない。(例えばホーム・デポは、Amazonで製品を販売していない。) グーグルの顧客の一部はSVPの検索広告の購入者ではなく、一般的 な検索広告のみを購入する顧客層が形成されていることになる。しかし、そのクラスは 非常に広いため、この要素は提案された市場をわずかにサポートするに過ぎない。
異なる価格。
原告側は、 SVP検索広告と一般検索広告は価格が異なると主張する 。なぜなら、 SVP検索広告の後に購入が行われた場合、それはSVP上で行われ、 SVPは 購入価格の「カット」を取るからである。対照的に、一般的な検索広告は消費者を広告主のプラットフォームに直接誘導し、そこで広告主は購入価格の 100%を保持する。この違いが各プラットフォームでの広告の価格 設定にどのような影響を与えるかは記録からは明らかにされていない。例えば、この違 いのために、小売業者がグーグルの検索広告とアマゾンの検索広告の価格設定をどのよ うに考えているかは立証されていない。
価格変動に対する感度。
原告側は、価格上昇に直面して、広告主が(市場としてCase 1:20-cv-03010-APM Document 1033 Filed 08/05/24 Page 398の 569 196 )一般的な検索広告の合理的な代替手段を欠いているという証拠を提示していない。 結局、裁判所は、「ブラウン・シューの要因は、一般的な検索広告の市場を認識することを否定して いる。この市場に関する原告の第2条の主張は失当である。」と判断しています。

4.4 排他的取引

ここで裁判所は、上の検討についての結果をまとめます。

裁判所 は、原告がグーグルが関連する 2つの製品市場、すなわち一般検索サービスと一般検索テキスト広告において独占力を有することを証明したと認定した。

一方、裁判所は、検索広告の別個の市場を認めたものの、グーグルはその市場において独占力を有していな いと判断した。また、一般検索広告の別市場も否定した。後者の2つの市場に関しては 、第2条の調査はそれ以上進まない。

独占権を有すること自体が第2条に違反するわけではない」(Microsoft, 253 F.3d at 58)ため、分析の次のステップは、グーグルが一般的な検索サービスと一般的な検索テキスト広告に関して排他的行為を行ったかどうかを判断することである。

原告は第二の要素を証明しなければならないが、それは「優れた製品、商才、歴史的偶然の結果と しての成長や発展とは異なる、(独占)力の故意の獲得や維持」であるとなります。 原告の訴訟の大部分は、検索配信契約、すなわちブラウザ契約(主にアップルおよびモジラとの契約)およびアンドロイド契約(モバイル・アプリケーション販売契約およびレベニューシェア契約)に焦点を当てグーグルが関連市場における独占を維持すために使用していると主張しています。 原告の主張の是非を検討する前に、裁判所は2つの閾値的事項を検討することになります。

  • グーグルは、既定のGSEとしての地位は「契約のための競争」の産物であり、したがって排他的なものではないため、第2条の責任の対象にはならないと主張
  • 原告は、裁判所はマイクロソフトの排他的取引の枠組みを排除し、より広範な 「一般的な第2条の基準」を採用すべきだと主張

これに対して、裁判所は両者の 主張を退けています。

4.4.1 「契約のための競争」は抗弁とはならない

最高裁は、排他的行為と「優れた製品、商才、歴史的偶然の結果としての成長や発展」との間に線を引 いているおり、グーグルは、販売契約が排他的であることに異議を唱えています。

グーグルは、排他的行為によってではなく、絶え間ない革新によって「優れた製品」を 開発することによって、既定の流通を確保してきたと言う。グーグルは、パートナーがデフォルトのGSEを持つように製品を設計することを選択し、グーグルは単にライバルを圧倒してGSEを確保したのであって「その優れた 品質と収益化に基づいて、繰り返しライバルに競り勝ってきた」と主張し、「実力競争 に基づいて顧客のビジネスを獲得することによって達成される規模の利益は、(そうで なければ)合法的な契約を違法な契約に変えるものではない」と主張する。 グーグルはまた、例えば、マイクロソフトとは異なり、グーグルはモバイルでの検索需要 が高まることを予測し、それに応じて投資を行っているという優れた “商才 “も強調している。

これに対して裁判所は、「ある意味、グーグルは間違っていない」として、特にモバイル端末では、長い間最高の検索エンジンであったこと、また、グーグルはじっとしていることもなく、検索 において革新を続けてきたこと、グーグルのパートナーはその品質を評価し、そ の検索エンジンがクエリを収益化するための最善の策を提供するため、グーグルをデフォルトとして選択し続けていることを認定しています。 裁判所は、頒布契約が排他的行為に該当するか否かを判断する際、この抗弁は略式判決の段階ではなく、競争促進効果の段階で検討される方がよいと考える旨、述べています。

マイクロソフトは特に、 Bingをデフォルトにするようアップルに何度 も働きかけ、 DDGはSafariのプライベート・ブラウジング・モードの検索をデフォルト にするよう働きかけたのですが、これらの企業は、その品質が劣っていることもあ り、成功していないと認定しています。しかしながら、独占力を保有し行使していることと矛盾するものではない、真の ” 契約競争 “は存在せず、グーグルには真の競争相手がいないとしています。一般的な検索における グーグルの独占は、驚くほど長続きしている。 2009年の市場シェアは80%近くであった が、そ の 後 増加し、 2020年には90%近くになっていること、過去15年間で注目すべき新規 参入企業はDDGと Neevaの2社のみであること、それらにしても成功しているとはいえないこと、 市場の現実は、グーグルがデフォルトのGSEとして唯一の選択肢であるというこ とだ、としています。 “いかなる価格 “もパートナーに乗り換えを促すことができないので あれば、あるいは乗り換えが “負ける提案 “と見なされるのであれば、グーグルは検索 における真の市場競争に直面していないことになるというのが裁判所の判断です。 このような状況のもと、販売契約によって、「何もしない」という「強いインセン ティブ」を持ち、「変化に抵抗し」、「基本的に(凍結された)定位置にある」エコシ ステムが形成された場合、そこには本物の「契約をめぐる競争」は存在しない。それは 幻想であるとした上で、 マイクロソフトやウィンドウズと同様、グーグルは「優れた先見性や品質によっ て、競争的に(一般検索サービス)市場における最初の支配力を獲得したのかもしれな い。しかし、裁判所は、本件は、 [グーグルが]独占的な力を最初に獲得したことを問題にしている のではない。それは、 [Googleが]実力競争以外の手段でこの地位を維持しようとする努力について争われているのであって、グーグルはまさにそれに成功している。グーグ ルは検索流通の最も効果的なチャネルからライバルを締め出すことで、真の競争を妨げてきた。結果、ライバルのGSEの消費者の利用は、 グーグルの独占を脅かすのに必要な臨界レベル以下に抑えられている。このように、独占的販売契約は、グーグルの高耐久性の独占を維持 する能力に大きく寄与している、と判断しているのです。

4.4.2. マイクロソフトの独占的取引の枠組みは適用しうる。

裁判所は争われた販売契約を見るための 適切な分析的枠組みを取り上げます。原告は当初から、本件を排他的取引に関する事件として位置づけてきて「流通へのアクセスを遮断する合意によって損害が生じた場合であっても、一般的な 第2条基準を選ぶべきである」と主張しています。 裁判所は、グーグルが正しく言うところの “裁判後の劇的な変化 “を認めることを拒否しました。 マイクロソフト法理に従って排他的取引の枠組みを適用せざるを得ない。この枠組みは、閾値において、関連する市場をどの程度閉ざす かについて検討することを裁判所に求めており、市場の囲い込み は「有用なスクリーニング機能」に過ぎないため、裁判所はそのような協定から生じる 現実の反競争的効果も特定しなければならず、 裁判所の分析はマイクロソフト法理に従ったものである。

4.4.3. 争われた契約は 排他的である。

一般的に、排他的取引の請求の前提条件は、「排他的取引を行うという合意」がもとめられます。 第 2 条の目的上、合意を「排他的」とするためには、排他性は明示的である必 要も完全である必要も ない:状況によっては、 事実上の 排他性や部分的な排他性でも 十分であるとされています。 裁判所は、 マイクロソフト判決をグーグルの販売契約を評価するためのひな型を提供しているとしています。

4.4.3.1. ブラウザ契約

グーグルのブラウザ契約は、グーグルをそのままデフォルトの検索エンジンとする限りにおいて排他的である。 アップルインターネットサーヒズ協定は、 %の収益シェアと引き換えに、グー グルをすべてのサファリ検索アクセスポイントで排他的なデフォルト検索エンジンとし てプリロードすることを要求している。その結果、アップルの全デバイスにおけるクエリの約65%でありクエリ量は相当なものに なる。そして、 iOSデバイス(モバイル)では61.8%がSafari のデフォルトを経由しており、デフォルトのプレースメントが検索の “主要な流通経路 “であることを示している。 Mozilla レベニューシェア契約にも同様の効果がある。ナビゲーションバーやホームページなど、 Firefoxのすべての検索アクセスポイントでは、グーグルがデフォルトのGSEとなってい る。 グーグルはまた、サムスンのSブラウザのような小規模なブラウザとも同等の契約を結んでいる。

これに対して、グーグルが、これらの契約が排他的でないとしてあげた理由は以下の通りですが、それらに対して裁判所はことごとく否定しています。

  • ブラウザ契約はブラウザが「同じブラウザ上で検索ライバルを宣伝する ことを許可しており、アップルとモジラは長年そのような宣伝契約を結んできた」と主張しています。これに対して裁判所は、マイクロソフト事件の判断を例にあげて、「ブラウザ契約がアップルやモジラがライバルと限定的な販売契約を結ぶことを 妨げていないという事実だけで、契約が非独占的なものとはならない。 」としています。グーグルはまた、アップルが以前、 インターネットサーヒズ協定において独占権をめぐる交渉を試みたが無駄であったことも見落としているともいいます。アップル社がより多くの柔軟性を望 んでいないとしても、それは市場に参入しようとするかもしれない「他の取引者」にと ってインターネットサーヒズ協定の反競争的効果を高める市場の現実である。
  • グーグルは、 インターネットサーヒズ協定はアップルがサードパーティの検索アプリケーション やサードパーティのブラウザを自社のデバイスにプリロードすることを妨げていないと指摘しています。これに対して、市場の現実は理論的に可能なこと以上に重要であるとして、インターネットサーヒズ協定には明示的な独占条項がないとはいえ、その条項とアップルの確 立された商慣行との組み合わせにより、アップルの端末にプリロードされる GSEはグー グルのみとなる。つまり、独占的である、としています。 インターネットサーヒズ協定はアップルがモバイル端末に独自の検索ウィジェットをプリロードすること を認めているというグーグルの主張についても同様すとしています。
  • グーグルは、「ユーザーの検索行動は、契約が排他的または事実上の排 他的であったという原告の主張とは一致しない」、「最終的に、ユーザーの選択は、デ フォルトではなく、品質によって決定される」と主張している。 しかし、裁判所は、一部の消費者がデフォルト以外のアクセスポイントで検索にアクセスし ているという事実は、独占性を決定付けるものではないこと、 Windows上でのGoogleの成功は、代替手段が強いブランド認知と製品品質を持つ 場合、デフォルトの効果が低いことを再び示していること、その場合でも、 WindowsデバイスでEdgeブラウザに固執するユーザーに対するデフォルトの効果は、ビングがそのようなクエリの 80%を受信するように、現実のものであること、などを認定しています。そして排他的的と見なされるためには、消費者がアクセスできる可能性のある他の流通経路をすべて遮断する必要はなく、契約は、「利用可能な流通の機会のうち、相当な割合 をライバルに閉ざしている」だけで十分であるとしています。
  • グーグルは、 インターネットサーヒズ協定は、 ユーザーがライバルのGSEにアク セスすることを 禁止するものではないと指摘する。確かに、アップルの端末やFirefoxでは、ユーザーが グーグル以外のGSEにアクセスする方法は他にもある。裁判所は、このよう な効率の悪い流通経路にユーザーがアクセスできるだけでは、ブラウザの契約が非独占 的なものとはならず、マイクロソフト判決(「マイクロソフトはライバルをす べての流通手段から締め出したわけではないが、コスト効率のよい手段から締め出した 」として退けた)は、再びこの点を強調しているとしています。ユーザーは、デフォルト以外の検索アクセスポイントからグーグルの ライバルサイトに自由に移動できるが、そうすることはほとんどないとしました。 2020年には、 iOSデバイス上の全検索クエリのうち、デフォルト以外のアクセスポイントを経由して ライバルのGSEに移動したのはわずか5.1%であったという事実をあげて、アップルやファイアフォックスのユーザーの ごく一部が、アップルやファイアフォックス以外で検索しているという事実は、市場全 体の重要性を評価するには不十分である。 競合する GSEとデフォルトのアクセスポイントを結んでも、ブラウザー契約が非独占的Cなものになるわけではない。

4.4.3.2. アンドロイド契約

原告は同様に、 レベニューシェア契約と モバイル・アプリケーション販売契約が排他的であると主張しているのに対して、グーグルはその特徴に異議を唱えています。

a. モバイル・アプリケーション販売契約

略式判決において、裁判所は、「その条項上、 モバイル・アプリケーション販売契約は排他的契約ではないが、市場の実態がそれを排他的契約とするかどうかについては事実関係に争いがある」と結論づけていました。その後、フル・トライアルによる事実審理の結果、裁判所は現在、 モバイル・アプリケーション販売契約が実際には排他的であると結論づけることができるとしています。 裁判所は、 2つの契約要件と 2つの市場実態から排他性が生じるとしています。 契約上の2つの要件とは、

  • グーグル検索ウィジェットをホーム画面の中央に表示すること、
  • ChromeをデフォルトのGSEとしてホーム画面に表示すること。

です。まだ、市場の実態というのは、

  • Google PlayストアはすべてのAndroid端末に必須であること
  • アプリケーションの過剰なプリロード、すなわち「ブロートウェア」を避けることが業界全体の慣行であること

です。このような要因が重なった結果、すべてのAndroid OEMと通信事業者がモバイル・アプリケーション販売契約を締結し、すべてのAndroid端末がGoogle検索ウィジェットと Chromeをホーム画面に搭載し、現実問題としてライバルが排除されたと裁判所は認定しています。 これに対してグーグルは、 モバイル・アプリケーション販売契約が排他的でない理由として、

モバイル・アプリケーション販売契約のデバイスごとのオプション性により、 OEMはグーグルの製品を一部または全部のデバイスにプリロードすることを選択できると主張しました。これに対して、この主張は、 Google PlayストアがAndroidのカスタマーエクスペリエンスにとって不可欠であると OEMに見なされているという市場の現実を見落としている。また、ライバルのアプリストアが将来開発される可能性があることは、今日の市場の実態に関する裁判所の評価とは関係ない。
モバイル・アプリケーション販売契約が、 OEMが、第二の検索ウィジェットやライバルのGSEをデフォルトとする別のブラウザのように、ホーム画面に他の検索アクセスポイントをプリロードすることを明確に禁止していないことを指摘しています。裁判所はこれに対して業界は、アプリの「肥大化」、つまり、すぐに使えるアプリケーションの過剰なプリインストールを懸念しており、 モバイル・アプリケーション販売契約はライバルのウィジェットやブラウザのプリロードを正式に許可しているが、 アプリの「肥大化」を避けるという業界の慣行は、 Android端末にGoogle以外のアプリ ケーションがプリインストールされることはほとんどないことを意味するとしています。

b. レベニューシェア契約

裁判所は、グーグルとアンドロイド端末販売業者との間のレベニューシェア契約は、 モバイル・アプリケーション販売契約の実質的な独占を正式なものにするものであり、これは当初からの目的であったとしています。すべてのレベニューシェア契約には「代替検索サービス」条項が含まれている。この条項は、グーグルのAndroidパートナーがライバルの検索エンジンをプリロードすることを禁じている。また、パートナーが他のGSEを宣伝することも大幅に制限されている。その見返りとして、 Androidパートナーはレベニューシェアを受け取る。レベニューシェアの支払い構造はレベニューシェア契約によって異なるが、基本的な交換条件はデフォルトの独占権と引き換えにレベニューシェアを得ることである。 もっとも、 Android端末の販売業者がGoogleと レベニューシェア契約を結ぶ必要がないのは事実であり、収益分配を得ることなく、 モバイル・アプリケーション販売契約に準拠したデバイスを配布することを選択することができるが、このオプション性は、 レベニューシェア契約を排他的でなくするものではない。独占的取引に対する金銭的インセンティブは、短期的には競争を阻害しないかもしれないが、「被告がメーカーにオール・オア・ナッシングの選択を強いる立場にある支配的企業である場合、このようなスキームは問題となる。」と裁判所は判断しています。 裁判所は、 United Shoe Machinery事件において、最高裁は同様の事実関係に直面したとして、「賃貸人からリースされた機械以外の特定の機械を使用しないことに同意した賃借人に対し、より低いロイヤリティを提供する差別的ロイヤリティ条項」は、「抜本的な条項の実質的な効果は、そのような使用を防止することである」として、この条項は排除的であるとしたことを述べます。 結局、ほぼすべてのレベニューシェア契約対象デバイスは現在、最も収益が高い階層に登録されているため、グーグルはプリロードされたGSEとしてのみ固定されており、したがって、 レベニューシェア契約は独占契約として適切に扱われるとされています。

4.5 一般検索 サービス市場における効果

4.5.1. 排他的契約は一般的な検索サービス市場において反競争的効果を引き起こす 。

排他的契約は、たとえ支配的な企業が 関与していたとしても、独占禁止法によってそれ自体が非難されるものではなく、グーグルの販売契約を「排他的」と分類するだけでは、これらの取引が第2条に違反するかどうかという問題の答えにはならないものの「独占を維持するために支配的企業が使用する場合には、独占禁止法に抵触する」可能性があります。

排他的行為として非難されるためには、独占者の行為は「反競争的効果」を持たなければなりません。これは、1社または複数の競争相手に対する 損害で は十分ではなく、独占者は競争過程を害し、それによって消費者に損害を与えなければなりません。

この反競争的影響分析には、「因果関係」の立証が含まれる。ただし、裁判所は「被告が『独占力の維持に大きく寄与すると合理的に思われる』反競争 的行為を行ったという事実から『因果関係』を推論することができる」。重要なことは、因果関係には「あれなければこれなし」(but-for証明)は必要ないということである。(これは「原告 も裁判所も、被告の排除行為がない世界を確信を持って再構築することができないから) そこで重要な問題としては、グーグルの独占販売契約は、一般的な検索サービス 市場におけるグーグルの独占力の維持に大きく貢献すると合理的に考えられるか?答え は「イエス」である。グーグルの独占販売契約は、米国内の全GSEユーザーの半数が、 アップルとアンドロイドの全デバイスにプリロードされたデフォルトとしてグーグルを 利用することを保証し、さらに反競争的弊害を引き起こすため、第2条に違反する排他的的契約である。この契約は、「明らかに(グーグルの)独占を維持する上で重要な効果を持つ」。この協定には、主に次の3つの反競争的効果がある、

  1. 市場の囲い込み
  2. ライバルが規模を拡大することを妨げる、
  3. ライバルが一般的な検索に投資し、革新するインセンティブを低下させる。

4.5.1.1 市場の相当のシェアを囲い込む排他的契約

排他的契約がシャーマン法に違反するのは、その「影響を受ける商取引の実質的なシェアにおいて競争を阻害する」効果がある場合に限られる。 競争に悪影響を及ぼすには、『他の取引業者がその市場に参入したり、市場に留まった りする機会が著しく制限されなければならない』。実質的な囲い込みにより、支配的企業は、潜在的なライバルが被告の事業に真 の脅威を与えるために「必要な臨界レベル」に達することを阻止することができる。従って、原告は、排他的取引のために関連市場における「囲い込みの程度を証明」しなければならない。

a. 囲い込みの計算

米国原告の専門家である Whinston博士は、米国における全クエリの50%が、争点 となった配布契約の対象となるデフォルトの検索アクセスポイントを通じて実行されて いることを発見した。この数字には、ユーザーがダウンロー ドした ChromeでGoogleを経由する米国内の全クエリの 20%は含まれていない。 グーグルは、ウィンストン博士の50%という計算に異議を唱えてはいない。 もっとも、グーグルは、 Whinston博士のマーケットフォークロージャーに対する理解そのものに異議を唱えている。その理由としては、

グーグルは、囲い込みの適切な尺度は、マーケットカバレッ ジではなく、争われた契約が存在しない “あれなければこれなし(but-for world) “におけるライバルが利用可能な クエリの割合であると主張している。そのような世界では、多数のユーザーが依然とし てグーグルを利用しているため、囲い込みの数ははるかに低くなる。
グーグル は、仮にデフォルトのカバー率に基づいて囲い込みが適切に分析されたとしても、 Whinston博士は、「デフォルトを通じて検索にアクセスするユーザーを獲得するために競争する」ライバルの能力を考慮していないと主張している。 したがって、 Googleによれば、囲い込み件数はゼロである。
最後に、クエリ・カバレッジが正しい 指標であると仮定した場合、グーグルは、裁判所は、ブラウザ契約・モバイル・アプリケーション販売契約、レベニューシェア契約と分解して検討すべきであり、それらは、それぞれ実質的ではなく、反競争的でもない。

あれなければこれなし(バット・フォー・ワールド )

Whinston博士は、市場差し押さえは「理想的には」あれなければこれなし(but-for-上記排他的契約なかりせば、シェアがどの程度低くなっていたかという世界)の世界に対して検証されると証言した。が、裁判所は、Standard Oil Co. of Cal. v. United States, 337 U.S. 293, 309-10 (1949)を引用し、法律はそれを要求していないと論じている。

これに対して、グーグルは、 but-for-worldの証明の必要性を支持するために、 ラムバス社対FTC における D.C.C.Circuitの判決に依拠しましたが、裁判所は、 ラムバスは、排他的契約の反競争的効果は、 but-for worldに対して測定されなけ ればならないという定型的なルールを確立しているものではないとしました。

裁判所は、他の形態の排 他的行為、特に独占的取引の取り決めについて、反競争的効果を証明するためにそのような厳格な証明基準が必要であることを示唆したものはどこにもない。そのような判示はマイクロソフトに反するものであり、 ラムバスの裁判所はその判例に何ら疑問を呈し ていない。従って、 ラムバスは原告に対し、 but-forの世界に対する実質的な囲い込みを証明することを要求していないとしています。

ii. 囲い込みなし

次にグーグルは、「ブラウザのデフォルト設定で検索にアクセスするユーザーであっても、ライバルは競争することができるため、ブラウザ契約による囲い込みは存在しない」として販売契約はライバルがクエリを獲得するための競争をまだ認めているため、囲い込みは全くないと主張しています。同様に、アンド ロイド契約に関しても、グーグルは「ライバルの検索エンジンは、 モバイル・アプリケーション販売契約端末での増 分プロモーションのために競争することができ、 レベニューシェア契約の端末ごとの性質により、ライバ ルはOEMやキャリアの端末のいずれでもプリインストールのために競争することがで きる」と主張している。

グーグル社は、 エーザイ社対サノフィ・アベンティスU.S.LLC.裁判に依拠し、「例えば、顧客が市場で別の製品に乗り換える自由があるにもかかわらず、それを選択しない場合、競合他社が市場シェアを拡大できないままであ ったとしても、競争は阻害されていない」と主張する。

しかし、裁判所によれば、「中心的な問題は、独占契約が締結された後、 [Googleの]競合他社が有意義な 競争をすることができたのか、それとも市場から締め出されたのかということである。」としてグーグルの主張は囲い込み分析を誤って解釈しているとしました。

  マイクロソフト事件は、まさにこの命題を否定している。 裁判所はすでに、プリロードされたデフォルトのプレースメントは検索消費者にリーチするための最も効率的なチャネルであり、グーグル はすべての主要なプレースメントを確保している(Windowsデバイスにプリロードされ たEdgeブラウザのデフォルトを除く)。ユーザーはデフォルトの検 索アクセスポイントを切り替えるか、ライバルの検索アプリやブラウザをダウンロード することで、グーグルのライバルにアクセスすることができるが、市場の現実は 、ユーザーがそうすることはほとんどない。独占契約によって、ユーザーが他の手段で ライバルにアクセスできるという事実は、囲い込みをゼロにするものではない。

iii. アグリゲーション

最後に、グーグルは、囲い込みの大きさを評価する際には、各タイプの契約( 例えば、 インターネットサーヒズ協定、 モバイル・アプリケーション販売契約、 レベニューシェア契約)の影響を個別に考慮すべきであると主張している。 しかしながら、裁判所は、これは、 マイクロソフト判決の下で差し押さえが測定される方法ではない。 ISVとの独占契約は、 何百万人もの消費者が使用するアプリケーションに影響を与えることで、ライバルのブ ラウザを市場から締め出すという実質的な効果があったことがわかる、としてブラウザ契約とアンドロイド契約の差し押さえ効果を集計することは、関連市場 におけるグーグルの独占的取引の全体的な効果を理解する適切な方法である、としています。 裁判所は、一般的な検索サービス市場に関して、原告はグーグルの独占販売契約により、クエリ量ベースで一般的な検索サービス市場の50%が囲い込まれているこ とを証明したと判断しました。

b. 重大な囲い込み(Significant Foreclosure)

反競争的と見なされるためには、市場の囲い込みが「重大」(significant)でなければならないが、50%という数字はその閾値を満たしている。 裁判所はまた、差し押さえの割合の重要性を評価する際に、一定の質的条件(独占的契約の期間、解約の容易性、参入障壁の高さ、代替流通手段の利用可能性、消費者の比較購買意欲など)にも 注目している。 契約期間。 「短期間の」独占契約は、「競争に対する脅威はほとんどない」。ここで、争われている契約の期間は様々であるが、全ての契約は、 裁判所が反トラスト法関連条項の下で合理的であると推定している 1年以上である。 2021年に再交渉された2016年のインターネットサーヒズ協定は、 5年の基本期間とさらに5年の延長オプシ ョンで構成されている。アップルは2年間の延長を一方的に行使することができ、その 後、当事者はさらに3年間の延長に相互に合意することができる。 この期間 は、 インターネットサーヒズ協定の市場囲い込みの重要性を高めている。 Mozilla レベニューシェア契約と Androidの契約はより短く、期間は2年または3年で、更新の機会が ある。このような契約期間は、状況によっては反トラスト法上の懸念を引き起こす可能性 がある。 本件では 、アンドロイド契約は市場の19.4%を囲い込んでおり、後述するように簡単に解約できな いため、そのような懸念がある。 解約の容易さ。 排他的契約であっても、簡単に解約できる場合には、「競争を阻害する可能性を実質的 に否定する」ことができる。 しかしながら、グーグルのパートナーは簡単に契約を解除することはできない。 Appleも Mozillaも理由なく解約する一方的な権利 を有しておらず レベニューシェア契約sと モバイル・アプリケーション販売契約sは違反があった場合にのみ解約できる。 モバイル・アプリケーション販売契約 については、契約解除により、必要不可欠な Play ストアを 含む GMS ライセンスが失われるという阻害要因がある。 参入障壁 一般的な検索サービス 市場には大きな参入障壁がある。つまり、新規参入者が出現して、販売契約によって閉 ざされた市場シェアを有意に減少させる可能性は低いということである。 比較購買意欲。 この記録には、消費者がGSE間で比較検討する傾向があるという 証拠はない。おそらく、デフォルトを切り替えたり、別の検索アクセスポイントにアク セスしたりすることに伴う摩擦が一因であろう。 これらの要素はすべて、グーグルの販売契約が一般的な検索サービス市場のかなりの部分を囲い込んでおり、ライバルの競争機会を損なっていることを示している。この市場は 、「競合他社が単に契約が切れるのを待ったり、魅力的なオファーを出して契約を解除 することができる」市場ではない。

2. 排他的契約はライバルから規模を奪ってきた。

グーグルの排他的契約には、第二の重要な反競争的効果がある:それは、ライバルが効果的に競争するために必要なユーザークエリ、つまり 規模へのアクセスを拒否 することである。規模は、 GSEを構築、改善、維持するために不可欠な原材料である。10年以上もの間、争点となった販売契約は、グーグルに対し、ライバル が太刀打ちできない規模へのアクセスを与えてきた。 グーグルはその規模 を利用して、検索製品と広告収益化を改善してきた。一方、規模を 利用できない他のGSEは、持続的な競争上の不利な立場に置かれたままであり、新規参 入者はグーグルに対抗できる規模の獲得は望めない。 当然ながら、 GSEの検索品質の高さと、高い収益シェアを犠牲にすることは経済的に不合理であることから 、販売業者はグーグルを好む。そのため、独占的な条件で販売契約を更新することが日 常的に行われている。このようなフィードバックループの中で、レベニューシェアの支 払いは「効果的にエコシステムを例外的に変化しにくいものにし」、「基本的にエコシ ステムを固定化する」のである。 それは競争市場のアンチテーゼである。 Googleは、 “デフォルトの位置にある検索エンジンは、そうでない場合よりも追加の検索ボリュームを受け取る “こと、ユーザーとの インタラクションデータは検索品質にとってある程度有用であることも認める一方で、デフォルトのアクセスポイントによって、他者が競合するのを防ぐだけのクエリデータ量が得られるようになっ たことに異議を唱えている。具体的には、

協定の既定効果は、ライバルが競争するための有意義な規模を否定するほど 強いものではないこと
グーグルは、 GSE製品の品質と収益化にお ける規模の役割が誇張されすぎており、グーグルのように革新的でさえあれば、他の企 業は規模が小さくても競争できること

を主張し、協定、ライバルに対する十分な規模の否定、および市場における反競争的効果の関連性を立証できていないと主張しました。

これに対して裁判所は、 a. デフォルトの力 検索デフォルト設定の威力は数字で説明できる。米国内のGSEクエリの半数は、 デフォルトの検索アクセスポイントを通じて開始されている。全国の検索件数のさらに20%は、ユーザーがダウン ロードしたChromeによるものであり、市場の現実はデフォルトの検索契約の効果をさ らに大きくしている。米国内の全GSEクエリのうち、グーグルがプリ ロードされていない検索アクセスポイントを経由するのはわずか30%に過ぎない。さら に、デフォルト・プレースメントはグーグルへのトラフィックを大幅に増加させる。ア ップルの全デバイスにおける検索の65%以上は、デフォルトのサファリを経由している 。 Androidでは、すべてのクエリの80%がデフォルトでGoogleに検索アクセス ポイントを介して流れている。 これらすべてが、デフォルトの価値を非常に高めている。 2021年、グーグルはト ラフィック獲得コスト(パートナーに支払う収益分配)に263億ドルを費やしたが、こ れは研究開発を含む同社の他の検索関連コストを合計した額の4倍に相当する。デフォルトの本当の価値は、間違いなくはるかに大きい。これらは、ライバル が事実上利用できない比類のないクエリボリュームをグーグルに供給している。 これに対して、グーグルはライバルがデフォルトを占めた場合、ユーザーはグーグルに 切り替えるのに苦労しないとしてデフォルトがクエリーボリュームを増加させる 力に異議を唱えている。 例として、 MozillaがFirefox のデフォルトをGoogleからヤフーに変更した2014年には、ほとんどのユーザーがデフォルトを変更したり、 google.comに直接移動したり、クロームで検索したりして、グーグルに「切り替えた」としている。グーグルはまた、ウィンドウズ・デバイスでの状況( Windows 端末にはマイクロソフトのEdgeブラウザーがプリインストールされており、デフォル トはBingであるにもかかわらず、そこではグーグルが支配的なGSEである)も指摘している。 裁判所は、代替案が高品質な製品に裏打ちされた高いブランド認知度 を持つ支配的企業である場合、デフォルト効果が弱くなることを裏付けているとします。また、グーグルがデフォルトを割り引いていることは、ビングがデフォルトのGSEであ るウィンドウズ・デスクトップのエッジ・ブラウザでのビングの成功(マイクロソフ トはデスクトップデバイスでの検索品質を向上させることができ、現在ではグーグルと ほぼ肩を並べるまでになった)とも矛盾することを指摘します。 最後に、デフォルトに関するグーグルの立場は、行動学的見地からデフォルトの 力を認めている多くの内部記録と対立している。 66-68, 72-73, 75.また、クエリボリュー ムを増加させるためにデフォルトが重要であるというグーグルの初期の認識にも反して いる。 b. 規模のインパクト デフォルトの結果、グーグルはライバルよりもかなり多くのクエリーを獲得して いることがわかった。その答えは、規模と GSEの質の関係によって決まる。 グーグルのクエリ量、つまり規模は、ライバルと比較して非常に大きい:ユーザ ーがGoogleに入力するクエリの数は、すべてのライバルの合計の9倍。モバイルデバイ スでは、その倍率は19倍にも膨れ上がる。 Googleのコアランキングモデルの一 つである NavBoostは、 13ヶ月分のGoogleのクリック&クエリデータに基づいて実行され る。 これはBingの17.5年分以上のデータに相当する。 豊富なデータを持つグーグルは、他のGSEよりも多くのクエリを 見ているため、検索行動をより深く洞察することができる。 規模の優位性を武器に、グーグルは検索品質を向上させるためにデータを使い続 けている。グーグルはユーザーデータを、特に追加ウェブサイトのクロール、インデッ クスの拡大、 SERPの再ランク付け、検索結果の「鮮度」の向上(つまり、検索結果を最新のものにする)に活用している。クリック&クエリのデータはま た、結果の関連性とランキングをアルゴリズムで改善するモデルを構築し、訓練するた めにも、新しい機能を開発するための大規模な実験を行うためにも使用される。 規模は検索広告の収益化も改善する。これは直感的なことだ:ユー ザーがどの広告をクリックしたのか(あるいはスクロールして通過したのか)を理解す ることで、グーグルは広告の質を評価し、今後より関連性の高い広告を提供できるよう になる。 広告のターゲットが的確であればあるほど、クリックされる可能性 は高くなり、グーグルがより大きなレベニューシェアの支払いに充てる収益も高くなる 。 このように、 GSEの市場は一種のネットワーク効果を特徴としている。グーグル検索はデー タネットワーク効果の一例であり、各検索クエリはグーグル検索のアルゴリズムを改良 するのに貢献しているからである これに対してグーグルは、新しいランキン グモデルは、データへの依存度が低く、完全に AIによって駆動されるものもあるため 、今日のGSEは、品質向上と競争においてユーザーデータに依存することが少なくなっ ているとして、こうした影響は大幅に誇張されていると主張する。主張しています。 しかし、裁判所は、証拠はそうでないことを示しているとします 。確かに、ランキングのための大規模言語モデル(LLM)への依存度を高めるなど、 検索技術の発展により、ユーザーデータの必要性は低下しているもののグーグルは、検索ジャーニーのすべてのステップにおいて、大量のユーザーデータ に依存し続けており、グーグルの証人でさえ、 LLMがユーザーデータに取って代わる ほど十分に進歩したと証言した者はいないこと、グーグルがいまだに 18ヶ月分のユーザーデータを保持しているのには理由があること、マイクロソフトは過去20年間で検索に1000億ドルを投 資し、その品質はデスクトップ検索においてグーグルと肩を並べるまでになったもののマイクロソフトはモバイル検索の出現を予測しなかったため、後塵を 拝することになり、グーグルがすべてのモバイルデバイスでのデフォルトの掲載を保証 したため、マイクロソフトはそのプラットフォームでの改善に必要なモバイル配信を達成することができなかったこと、を認定しています。 この永続的な規模と品質の不足は、マイクロ ソフトがSafariのデフォルト GSEとしてグーグルを置き換える真の望みがないことを意味しており、ーグルの大規模な優位性は、事実上、グーグルがデフォルトのGSEとして唯一の真の 選択肢である重要な理由である。 そして、この障壁は、グーグルの収益分配金の大きさによって強化されている。グー グルのクエリと品質の優位性、そして高額な収益分配金は、単にその場に留まる強いイ ンセンティブとなり新規参入者がFirefox やその他のブラウザのデフォルトをめぐってグーグルと競争することは望めない。 グーグルの販売契約はライバルのクエリ量を制限し、それによってグーグルを真の競争 上の脅威から隔離している。独占者の行為が、排他的な…行為によって、 1つ以上の新規または潜在的な競争 相手が市場で足場を築くのを阻止するように設計されている場合、その目的が成功すると 、潜在的な競争相手だけでなく、競争一般にも損害を与える。 排他的販売契約は、このような反競争的 な市場環境に実質的に寄与している。 c. 規模の収穫逓増 最後にグーグルは、データ実験を使ってグーグルは、マイクロソフトは規模の収穫逓減の時点に達しており、規模以外の要因で2つのGSEの品質差が説明できると主張しマイクロソフトには競争するのに十分な規模がないという命題に、異議を唱える。 この実験(DRE)は、 Googleのさまざまなランキングシグナル(NavBoost、 QBST、 Term Weighting、 RankBrain、 DeepRank、 RankEmbedBertを含む)を、 Bingのユ ーザーデータ量の推定値に基づいて再トレーニングした。 そ の後、これらの調整済みモデルをGoogleモバイルクエリのサンプルに適用し、以下の結果を得た。

フォックス博士の実験によると、Googleと Bingの品質格差のうち、それぞれのユーザーインタラクショ ンデータ量に起因するものは 2.9%に過ぎないこと、グーグルがビングの持つ データ量を使って同等の品質の検索エンジンを運営できること、を導き出した。しかしながら、裁判所は、もし、同等の検索エンジンを運営できるのであれば、グーグルはこの 実験を訴訟以外にも利用しただろうと予想されること、DREの結論が正しければ、グーグル はビングに対する品質の優位性を維持するために、信じられないほどの量のユーザーデ ータを収集し、保存する必要がなくなること、ユーザーデータの必要性が減れば、コストが 削減され、プライバシー保護も強化される可能性があることを述べ、しかし、 グーグルはフォックス博士の研究を検証するためにさらなる実験を行う努力をせず、さ らにグーグルの主要な従業員はこの研究をまったく知らなかったことから、グーグルがこの訴訟でそれを提示する以上のことをしていないのは奇妙であるとして、この研究は、ある意味でユーザー・インタラクショ ン・データの重要性を補強するものでしかない、としました。 また、その他の考察をも踏まえて裁判所は、 結局のところ、グーグルが規模の重要性を否定するのは、市場の現実と矛盾して いるとしました。 3. 排他的契約は投資と技術革新のインセンティブを低下させた。 販売契約は、第三の重要な反競争的効果をもたらした:それは、 検索への投資と技術革新の 意欲を減退させることである。 10年以上にわたって、一般的な検索サービスの市場は、巨額の利益を得る機会を 提供し、グーグルは確かにその報酬を得てきた。 しかし、一般的な検索サービス市場は、少なく とも過去15年間は固定されたままであり、投資は主に既存のプレーヤーからもたらされ ている。自立したGSEを構築するために必要な大規模な資本投資を行ってきたのは、グ ーグルとマイクロソフトだけである。 ベンチャーキャピタルの資金が殺到したわけでもない。アップルのジョン・ジャ ンナンドレアは2018年にこう書いている: “より優れた検索エンジンが登場しないのは 、それが儲かるビジネスであるにもかかわらず、ベンチャーキャピタルが資金提供でき る提案ではないからだ。 (検索におけるシ リコンバレーのベンチャー資金調達について「飛行禁止区域」と表現もされている)。その結 果、 DDGと Neevaは過去15年間で2社しか市場に参入していない(それらが成功とはいえないのは、既に述べた)。 効率的な流通経路が閉ざされていることが、新規投資の不足に大きく寄与してい る。 黎明期の競争相手を失うことは、明らかな反 競争的効果である。 原告は、販売契約が投資とイノベーションを阻害してきたかの例を以下のとおり上げている。

  • グーグルの主なライバルであるマイクロソフトは、モバイルでの配信が制限 されているため、投資を制限している。
  • 熾烈な潜在的競争相手であるアップルは、 グーグルから多額の収益分配金を受け取っているため、傍観したままである;
  • Branchのような新興の競合他社は、流通を得ることができない。
  • 停滞が結果を生 まないことを知っているグーグルは、イノベーションを起こすインセンティブを欠いて いる。

a. マイクロソフト

グーグルの販売契約が、マイクロソフトの過去の検索への過小投資の原因ではな いことは、誰もが認めるところである。マイクロソフトはモバイル革命に「乗り遅れ」 、グーグルのレンダリングエンジンである Chromiumを使うまで、自社のブラウザであ る Internet Explorerを改善することができなかった。 マ イクロソフトの品質問題の一部は、そのインデックスの低さにも起因していた。最終的に、マイクロソフトは検索に多額の資本を投 入した。その投資(ウィンドウズ・デバイスでの確実な配信 と相まって)により、ビングはウィンドウズ・デスクトップ・デバイスでグーグルと同 等の品質を達成することができた。このような追加投資の差し控えは、グーグルの独占的検索配信契約に起因する部分もある。 これに対してグーグルは、市場主体が競争するためには財務的リスクを取らなければならず、 マイクロソフトがそのようなリスクを取ろうとしないことは反トラスト法上の問題では ないため、マイクロソフトの現在の投資戦略は反競争的効果の証拠にはならないと反論 している。 しかしながら、裁判所は、グーグルの言うことは直感的に理解できるが、市場の現実を反映していない。マ イクロソフトは、アップルのデフォルトでグーグルに勝つ現実的なチャンスはなかった し、アンドロイドの配置について真剣に交渉した形跡もない。マイクロソフトの立場に ある利益重視の企業であれば、デフォルト販売契約の真のチャンスがほとんどないとき に、検索製品の強化に必要な多額の投資を行うことはないだろう。グーグルの販売契約は、マイク ロソフトが検索への投資を拡大することを阻害することに大きく貢献したと合理的に考 えられる。

b. アップル

原告は、アップルが受け取る数十億ドルのレベニューシェアは、事実上、アップ ルを検索の傍観者にしておくための見返りであると主張している。原告はまた、 インターネットサーヒズ協定は アップルがSuggestions機能を通じて検索を拡大する能力を制限し、アップルがSpotlight 製品に広告を掲載することを妨げていると主張する。 これに対して裁判所は、アップル 社に関連する証拠は、このような絶対的な用語で表現することはできず、より微妙なニ ュアンスが必要であるとしています。

検索の導入

2018年、アップルはグーグル検索の元トップ、ジョン・ジャンナン ドレアを雇い、競合する一般検索エンジンを開発または買収する資金力、技術力 、人的資源があります。 アップルもグーグルも、アップルがサファリのデフォルトとしてグーグルに取って代わる独 自のGSEを開発できることを理解しているが、アップルは今のところそう しないことを決定している。

これは、インターネットサーヒズ協定の収益シェアは、アップルの計算において重要な要素であるからです。独占的および 非独占的なデフォルト・プレースメント(すなわち、ユーザーがダウンロードした Chromeと Safariのデフォルト・プレースメント)の見返りとして、 インターネットサーヒズ協定の収益分配は重要な要素である。 ブックマーク)、グーグルはアップルに純広告収入の %を支払い、その額は2022年に は200億ドルに達しており、グーグルが2020年に支払った額のほぼ2倍に相当する。 アップルの営業利益の17.5% だろう。 グーグルはアップルに対し、他のすべてのパー トナーに支払う額を合わせたよりも多くのレベニューシェアを支払っている。 もしアップルが一般的な検索市場に参入する気があるのなら、こうした多額のレベ ニューシェアの支払いを失うことを覚悟しなければならない。

しかし、アップルが市場に参入しない理由は、収益シェアの損失だけではなく、他にもコストとリスクがあるとして

  • アップルは、ユーザーに検索結果を提供するためのイン フラを構築しているが、完全に機能する GSEを構築し、維持するためには、さらに数十 億ドルを投じなければならないこと
  • 検索結果を収益化するための 広告プラットフォームも開発する必要があること
  • アップル社が劣った製品 や不人気な製品を製造した場合、ブランドの評判や、場合によってはデバイスの売上を 危険にさらすことをいとわないことになってしまう
  • 必要とされる投資は、他の収益性の 高い事業から資本を流用することになってしまう

仮にすべてがうまくいったとしても、 アップル社自身としては、グーグルから分離する可能性が出てから最初の5年間で、 120億ドル以 上の収益を失うことになると予測している。

最終的な問題は、 インターネットサーヒズ協定が合理的に、アップルを検索の傍観者にとどめ 、グーグルが独占を維持できるようにすることに大きく貢献する可能性があるかどうか である。

レベニューシェアの支払いは、疑いなくその ような効果がある。グーグルから保証された数百億の収益を失うという見通しは、アッ プルにとって現在ほとんどコストのかからないものであり、アップルが独自の検索エン ジンを立ち上げる意欲を削ぐ。支払いがアップルが検索から手を引く唯一の理由ではなくても、反競争的効果を構成するとしています。

原告は、グーグルの「継続的な独占力が まさにインターネットサーヒズ協定に起因する」ことを証明する必要はない。

2016年までに、グーグルはアップルによるサジェスチョンの使用増加を 脅威とみなしたことから、 2016年に両当事者がインターネットサーヒズ協定を再交渉した際、グー グルは、アップルがSafariのデフォルトとしてグーグル検索を使用することを約束する 条項を挿入するよう主張した。

アップル社に関する議論の中で、グーグル社は、企業の「作るか、買うか」の決定は、通常、独占禁止 法に違反しないという原則を引用しましたが、裁判所は、問題はアップルが検索から離れないという決定が排他的 かどうかではなく、 インターネットサーヒズ協定の排他性がその決定に影響を与えることによって反競争的効果を持つかどうかであることから、この原則はここでは適用できないとしています。

「実質的に類似」条項

裁判所は、原告らの主張する他の理論は、反競争的なハームについてよくあらわすものではないとします。原告らは、サファリの検索バーでのリンクを示唆するのをやめるようにするというインターネットサービス協定の条件について、アップルが、商業的クエリーの増加する量を傍受することを差し控えさせていると主張しました。これにたいして、グーグルは、この条項の目的がアップルの製品革新能力を制限することにあるこ とを否定し、 AppleがAmazonのようなSVPに クエリを迂回させることで、収益性の低い非商業的なクエリの割合がGoogleに多く残らないようにするためのものであるとしました。 

この点について裁判所は、その目的にかかわらず、原告は「実質的に類似する」条項が実際の競争上の損害 やその脅威につながったことを立証していませんとしました。

Spotlightでの広告

 裁判所は、また、インターネットサーヒズ協定がアップルのデバイス内検索である Spotlightの収益化能力 を制限しているという原告の関連理論もまた、記録によって裏付けられていないとしました。インターネットサービス協定の下では、アップルはグーグルが自ら検索を行う前に、 Spotlight上でデバイス上の検索に対して検索広告を配信する機会を与えなければなりませんが、裁判所は、アップルは現在、スポットライトに広告を掲載していない。また、そうする意思も表 明していない以上、このような「先買権」がどの市場においても反競争的効果を持つという証拠は薄い 、としました

c.ブランチ

原告はまた、Branchを例に挙げて、販売契約が革新的な検索隣接技術の出現を妨げているとも主張して いる。このBranchは「ディープリンク」技術を使って、 Yelpのようなデバイ ス上のアプリケーション内のコンテンツを検索する製品であり、GSEではありません。

原告は、 このツールは、当初設計された通り、ウェブを使用して限定的な結果を提供するものであり 、 いつかウェブ情報検索のプロバイダーとして Googleの競争相手となり得るというものです。 原告らによれば、 レベニューシェア契約が「代替検索サービス」のプリインストールを制限したため、潜在的な販売パートナーは、 Branchを完全な機能で統合することに難色を示したと いう。具体的には、

  •  2019年、 Branchの主要投資家であったSamsungは、 Branch を自社のデバイスに統合することに取り組んだが、そうすることがGoogleとの関係に影 響を与えるかどうか懸念するようになった。2020年、修正されたグーグル-サムスン間のレベニューシェア契約には、サムスンによる端末 内検索のプリロードをより厳しく制限する修正条項が盛り込まれた。
  • AT&Tが、 レベニューシェア契約に準拠した端末にBranchをプリロードで きるかどうかを明確にするようグーグルに要求したところ、グーグルは「代替検索サー ビス」という言葉を引用して回答しただけだった。  AT&Tは、 Google がBranchを統合することをレベニューシェア契約違反と見なした場合の不確実性と、収益シェアを失う金 銭的リスクを考慮し、 Branchとの提携を見送った。

これに対して Googleは、 レベニューシェア契約は、一部 のレベニューシェア契約準拠デバイスで利用可能なBranchのプリロードを妨げるものではないと主張して いる。 GTB at 93.また、 Branchの統合がレベニューシェア契約に違反するとパートナーに伝えたことはな く、パートナーは品質やデータプライバシーの問題など、 レベニューシェア契約以外の理由でBranchのプ リロードを拒否したと主張している。

裁判所は、 原告の主張は、グーグルの行為が萌芽的な競合を阻害したというものであるため 、問題は、その技術が「実際に(実行可能な)プラットフォームの代替品に発展したかどうか」ではなく、そのような技術が「発展する可能性を示したかどうか」である、として、ブランチ社が一般的な検索においてグーグルと競合することを熱望 していた証拠はいくつかあるが、ここでの萌芽的脅威の証拠は、 マイクロソフト 社の場 合よりもはるかに弱いとしました。とはいえ、 レベニューシェア契約の「代替検索サービス」という用語が、販売パートナーのBranch 検討に対して何らかの冷ややかな影響を与えたことは、記録された証拠から明らかである、としました。

d. グーグル

最後に、原告は、一般的な検索クエリに対する真の競争が存在しないため、グー グルの検索製品を革新するインセンティブが低下し、消費者に損害を与えていると主張 している。原告らは、グーグルが研究開発費よりもデフォルトの確保に7倍を費やしていることを指摘し、その検索費用が年々減少している証拠をいくつか挙 げています。

しかしながら、裁判所は納、グーグルはその圧倒的な市場シェアにもかかわらず、 じっとしていたわけではない。検索は過去15年間で劇的に変化したが、その主な理由は グーグルである。 例えば、グーグルのSERPは、 5年前とは異なっている。 さらに、グーグルが革新的な技術を棚上げにしてきたという証拠や、研究開発や 人的資本への投資が同業他社に遅れをとってきたという証拠はほとんどないとしています。

興味深いのは、

しかし、 1つだけ注目すべき例外がある。それは、マイクロソフトがBingと ChatGPTのAI技術を統合したBingChat(現Copilot)を発表したのに対抗して、グーグル がジェネレーティブAIチャットボット Bard(現Gemini)を発表したことだ。これはグーグルが競争に対応した明確な例である。

としたところです。結局裁判所としては、全体としての記録に基づけば、裁判所は、販売協定がグーグルの検索における技術革新を抑止することによって反競争的効果をもたらしたとは認定でき ないとしています。

 原告は、一般的な検索サービス市場における反競争的効果について必要な立証を 行い、疎明資料を満たした。独占的販売契約について「競争促進的な正当性」を提示す る責任はグーグルに移った。 Microsoft, 253 F.3d at 59

B. 排他的契約は競争促進的な 利益をもたらさない。

原告が反競争的効果を証明することによって、第2条に基づく 一応の立証(prima facie)に成功 した場合、独占者はその行為について「競争促進的正当化」を申し立てることができる 。

この場合、「独占企業が競争促進的な 正当化、すなわち、例えば、より高い効率性や消費者への訴求力の強化が含まれるため 、その行為が実のところ競争の一形態であるとする非違反的な主張を主張した場合、そ の主張に対する反証責任は原告に戻る。」ことにとなります。ここで、 グーグルは3つの競争促進的利益を主張します。

  1. 一般的な検索サービス市場にお けるユーザーエクスペリエンス、品質、アウトプットを向上させる、
  2. 関連市場にお ける競争を刺激し、検索市場に利益をもたらす、
  3. 関連市場において消費者に利益を もたらす

結局、裁判所は、記録はこれらの競争促進的正当性のいずれをも十分に裏付けていないと結論づけました。

1. 総合検索サービス市場におけるメリット

第一に、グーグルは、そのブラウザ契約は「ブラウザの検索機能がそのまま効果 的に機能することを可能にする」ものであり、「Safariと Firefoxのユーザーの利便性を 確保する」ものであると主張している。グーグルは、ブラウザにデフォルトのGSEをプリロードするという業界の長年の慣行に 言及し、この慣行は、ブラウザ契約が消費者に 利益をもたらす証拠であるとグーグルは主張しています。

競争促進的利益に関して、グーグルは、「消費者に箱から出して すぐに最高の体験を提供するというアップルのコミットメントには、製品がシンプルに使用でき、箱から出してすぐに機能するように設計することも含まれる」と主張し、「 消費者が取るべき決定ステップが追加された製品設計は、ユーザーが製品の使用を放棄する原因となり得る」と主張している。

これに対して裁判所は、グーグルは、独占権 がなければアップルにそのようなインセンティブがない理由を説明していないとして、実際、 当初のグーグル-アップルインターネットサーヒズ協定はグーグルをデフォルトとしてプリロードしていたが、排他性を要求していなかった。 排他性がなくてもその間アップルの製品開発を阻害しなかった。加え て、アップルは過去において、より柔軟なデフォルトを求めてきたのに対して Googleは拒否した。 

第二に、グーグルは、「デフォルトになるための競争は、検索エンジンにプロモ ーションの増加を勝ち取る機会を与え」、それによって企業が「デフォルトの地位を争 うために品質を向上させる」動機付けになると主張している。 これに対して、裁判所は、競争市場にお いてはそうかもしれないが、一般検索エンジン間には デフォルトをめぐる真の競争は存在せず、デフォルトをめぐ る競争がGSEの品質向上の動機付けになったという記録的証拠はない。どちらかといえ ば、グーグルが10年以上にわたってデフォルトをほぼ独占してきたことが、投資意欲を 減退させてきたと判断しています。

グーグルは、これに対してマイクロソフトが、検索についての質の向上をさせている主張していますが、裁判所は、これは、「デフォルト」競争の重要性を物語っているとしています。

グーグルは、それ自体は、価格がないので、レベニューシェア契約は、デフォルトについての価格競争を惹起していると主張しています。が、裁判所をこれを支持する証拠はないとしています。

グーグルはさらに、「この価格競争は、参入や拡大の障壁を減らし、新しいライ バルが市場に参入する方法を “買う “ことを可能にすることによって、新しいライバル からの参入を促進することもできる」と主張していますが、裁判所は、新規参入者が市場に “参入する “ことができたという証拠はなく、 ましてや、デフォルト・プレースメントのために前金を支払ったという事実はないとしてこの主張は市場の現実とは相容れないとしました。グーグル以外の企業は、 10年以上にわたってアップルやアンドロイド端末 のデフォルトを維持していないというのが市場の現実であり、販売契約は「通常の競争 ツール」としては機能していおらず、パートナー企業が、おそらく競争を生み出 すことを視野に入れて、デフォルトの柔軟性を求めたとき、グーグルは抵抗してきたとしました。

第三に、グーグルは、争われた契約によって、デフォルト・プレースメントの効率性と優れた検索品質により、検索アウトプットが増加したと主張しています。これに対して裁判所は、 Googleは 、検索アウトプットが大幅に増加したことは正しいが、デフォルトの排他 性が、他の多くの市場原理とは対照的に、その結果の実質的な原因であるという証拠を提示していないとしました。

 2. 検索市場に利益をもたらす他の市場における利益

グーグルはまた、収益分配金の支払いによって、より優れたブラウザ、スマート フォンの改良と低価格化、アップルとアンドロイドの競争激化が促進され、これらすべ てが検索出力を増加させることで一般検索市場の利益につながると主張していました。

 裁判所 は、デフォルトの一般検索エンジンが優れている場合、ブラウザのユーザーエクスペリエンスが向上することは認めるが、それ以上の証拠はないとしました。裁判所は、重要なことは、より競争力のあるブラウザ と検索結果の間に関連性があるとしても、グーグルはその独占的な契約によってどのよ うな利益がもたらされたかを示していない、ともしました。

 第二に、グーグルは、アンドロイド契約はアンドロイド端末とアップル端末の間 のスマートフォン競争(ブランド間競争)とアンドロイド端末間の競争(ブランド内競 争)を促進すると主張している。 しかしながら、裁判所は、

  • ひとつには、 Android端末メーカー や通信事業者がグーグルのレベニューシェアをグーグルが示唆するような方法で利用し ているという証拠が乏しいこと
  • グーグルは、協定の独占性がスマ ートフォンの競争拡大、ひいては検索結果の増加の理由であることを説明していないこと。

から、この主張はまたもや不十分であるとしました。

 どちらかといえば、アンドロイド端末と iPhoneの競争の激化によるアウトプット の増加は、主にグーグルに利益をもたらす。 これらの端末での検索は、主にこれらの端末での検索が増えることは、グーグルにとって広告収入が増える ことを意味し、グーグルがデフォルトのGSEとして選ばれることを定着させるだけであ る。排他的販売契約の競争促進的正当化理由にはならないとしました。

3. 市場横断的なメリット

グーグルはまた、その販売契約は関連市場そのものにおいて競争促進的な利益を生み出し、検索市場における排除効果を 独立に正当化すると主張しています。これはクロスマーケットバランシ ングとして知られる概念であり、第2条の訴訟において裁判所がこのようなバランシン グを行うことができるかどうかについては、当事者間で争いがある。しかしながら、本件においては、記録された証拠は、独占契約が関連市場において競争促進的利益をもた らしたというグーグルの主張を支持していないため、裁判所はこの法的問題を解決する 必要はないとされました。

ブラウザ市場

独占契約とブラウザ市場の競争との関連性は弱い。それは、ブラ ウザ開発者がグーグルのレベニューシェアの支払いをブラウザの改良に投資していると いう推定に基づいている。しかし、前述したように、アップルがそのレベニューシェア の支払いをどのように使っているかを示す証拠はなく、モジラがFirefoxの改良に使って いる程度で、ブラウザ市場におけるシェアは非常に低いため、競争の針を動かすことは ない。

端末市場

アンドロイド契約について、グーグルは、その支払いがアンドロイドのエコシステムに資金を提供することで、端末間の一貫性が促進され、端末価格が下が り、最終的にアンドロイド端末間やiPhoneとの競争が活性化すると主張している。しか し、ここでもグーグルは、アンドロイド契約とそのレベニュー シェアの支払いが端末間の競争を促進するとみなすOEMやキャリアからの業界証拠を ほとんど提出していないことから、証拠は説得力に欠けるとしています。

 セキュリティのアップグレード

セキュリティのアップグレードを 行うことを契約の条件としているため、 レベニューシェア契約はAndroid端末市場のセキュリティを強化 しているとグーグルは、主張しています。

この主張に対しては、裁判所は、仮にレベニューシェア契約がパートナーにセキュリティ・アップグレードを実施する追 加的なインセンティブを与えることを認めたとしても、グーグルはその利益と契約の独 占性との間に関連性を立証していない、としています。

従って、原告は、グーグルが ブラウザ開発者、 Android OEMおよび通信事業者との独占販売契約を通じて、一般的な 検索サービス市場における独占を違法に維持しているとして、シャーマン法第2条に基 づく責任を負う。 

4.6. 一般検索テキスト広告市場における効果

原告は、グーグルの行為がテキスト広告市 場 に 特有 の3つの反競争的効果をもたらしたと主張している、

  1. 市場の囲い込み
  2. 過当競争的なテキスト広告の価格設定
  3. テキスト広告オークションに関する透明 性の低下による製品の劣化。

これまでと同様、原告は独占的取引がライバルの規模を奪 い、一般検索と同様にテキスト広告市場の競争を凍結させると主張している。

A. 独占契約は、 市場のかなりのシェアを囲い込む

 前述したように、疑惑の独占的取引契約を評価するには、まず市場抵当権の推定 が必要である。

この点についてGoogleは、この要件は第1条のNCAA v. Alston事件に 由来するものであり、裁判所は原告が「(争われた)拘束に関連するあらゆる競争促進的利益は、実質 的により制限の少ない代替手段によって達成され得る」ことを示したかどうかを判断しなければならな いと述べている。

しかしながら、裁判所は、グーグルは、争われた契約が競争促進的な利益をもたらすこ とを全く証明できていないため、最小制限手段の問題に触れる必要はないとしています

Googleはテキスト広告の囲い込みに特化した追加的な主張はしていおらず、 従って、裁判所は、一般的な検索テキスト広告市場の45%を争点となる契約が侵 害しているという Whinston博士の判断を受け入れる。また、裁判所は、一般的な検索市 場において裁判所が考慮したのと同じ要因に照らし合わせると、市場の囲いこみは重 大であると結論づけている。

B. 独占契約によって、グーグルはテキスト広告に超競争的な価格で利益を得 ることができる。

裁判所は、証拠によって、排他的販売契約によって維持されているグーグルの独占力が、意味のある競争上の制約なしにグーグルがテキスト広告の価格を引き上げることを可能にしていることをしっかりと立証したとしています。

これは、

  • テキスト広告のクリック単価が時間とともに上昇し ていること
  • グーグルは、広告主の支出 を GSEの競合他社に大きくシフトさせることなく、一度に5%から 15%の上昇を、多く の場合、様々な「価格設定ノブ」を使って推進してきたこと
  • 広告実験によ ると、グーグルは一貫して価格設定ノブの調整で50%の「定着」率を達成しており、こ れはローンチ後の収益増加の半分が長期的な利益につながったこと
  •  Googleはまた、定期的な収益目標を達成するために必要に応じて価格設定ノブを微調整したこと
  • ライバルがグーグルの価格決定を制約しているという証拠はないこと
  • 。実際 、グーグルはビングの価格や他のライバルの価格を考慮することなく、オークションの 調整を行っていることを認めていること

などの事実からいえることになります。これに対してグーグルの価格決定に対する唯一の明白な制約 は、潜在的な広告主の反発と悪評ですが、しかし、グーグルは価格設定を 段階的に引き上げることで、こうした落とし穴を回避しています。この結果、広告主は「価格を内部化(to internalize prices)し、入札額を適切に調整すること」を許容します。 このように、広告オークションへのほとんど感知されず、ほとんど発表されない微調整 を通じて、グーグルは広告主を失うことを恐れることなくテキスト広告の価格を引き上 げてきた。制約のない価格上昇がグーグルの飛躍的な収益成長を促進し、高水準で著しく安 定した営業利益を維持することを可能にしてきた。

しかも、グーグルは、この独占的利益を、より高いレベニューシェアの支払いによ って、次の独占契約を確保するために利用した。

グーグルは、テキスト広告の名目的な価格上昇ではなく、グーグルは、テキスト広告の価格が上 昇するにつれて、その効果も上昇していると主張し品質調整価格(quality-adjusted prices)に焦点を当てべきとする。その立場からは、品質調整後の価格は、実際には時間の経過とともに低下して いるという。広告の質の代理としてクリックスルー率(広告がクリックされ る頻度)の増加を指摘し、「質の高い広告ほどユーザーにクリックされる可能性が高い」とし、2011年のクリッ クスルー率わずか10%と 2021年のクリックスルー率30%超を比較すべきという。

裁判所は、広告のクリック数が多ければ多いほど、広告主にとって良い結 果につながるかもしれないというのは、不合理な推論ではないものの、グーグルの品質調整済み広告の価格が下落どころか安定しているとい う証拠は弱いとしました。グーグルは長い間、買い手にとっての広告の価値を決定することの本質的な難しさを認識してきたのであって、クリ ックスルー率と広告の質の間に何らかの相関関係があることは間違いないが、その関連 性の強さは確実とは言い難い。クリック率の上昇には、広告の質とはまったく関係のな い、オンライン市場の劇的な拡大、オ ンライン購入の増加へのシフト、モバイル検索の出現などの他の明らかな要因もあるとしています

 また、グーグルの広告の質が向上したとしても、それだけでは反競争的な価格 設定効果がないことを立証することはできず、むしろ、独占が達成され、参入障壁が大きい と仮定すれば、独占者は、市場における他の企業の行動を過度に気にすることなく、利 潤を最大化する価格を設定することができるといえるとして、これこそが、グーグルの広告価格設 定への取り組み方であるとししています

 C. 独占契約により、グーグルは 、テキスト広告の質を低下させてきた。

グーグルのテキスト広告製品は、

  1. 広告主が検索クエリレポート(SQR)で受け取る情報が減ったこと(広告主にボリュームの少ないクエリに関する洞察を提供す る情報を削除し、広告主がそのようなクエリを考慮して広告戦略を調整する能力を低下 させた)
  2. キーワードマッチングをオプトアウトできなくなったこと(広告主のコントロールを犠牲にして、より分厚いオークションを生 み出した)。

で質が低下している。裁判所は、「これらは間違いなく小さな変更であるが、オークションに対 する広告主の自主性を低下させるような製品の変更に無関心な独占者としてのグーグル を明らかにするものである。」としている。

 D. 排他的契約により、ライバルの広告収入に上限が設けられた。

排他的配信契約によって、グーグルは一般的な検索サービス市場とほぼ同じ方法で テキスト広告の独占を維持することができる。つまり、グーグルのライバルは、より効率の悪い、デフォルト以外のアクセスポイントを通じて一般サーチエンジンを配信しなければならず、 その結果、ユーザー数が減り、そのユーザーをターゲットに費やされる広告費が減るのである。広告収入が減少すると、グーグルのライバルは、よ り多くのユーザーとより多くの広告費を獲得するために、(検索と一般的な検索テキス ト広告の両方に関して)品質改善に再投資する能力が制限される。

そのため、たとえビングの広告がグーグルよりも優れた価値を提供したとし ても、ビングはグーグルの広告価格を効果的に制約することはできない。ある証人が言 うように、ビングへの出稿が最大になると、単に「他に行くところがない」のである。 排他的契約によってクエリ量の圧倒的な優位性を確保すること で、グーグルは広告主が今後もBingに広告を掲載し続けることを保証している。

価格の上昇や品質の低下に関係なく、テキスト広告費の90%をグーグルに費やす。これ は市場において反競争的な効果である。

従って、裁判所は、原告が、グーグルの独占的販売契約が、一般検索テキスト広 告市場における独占の維持に実質的に寄与し、シャーマン法第2条に違反することを証 明したと結論付ける。

4.7  SA360

原告州は単独で、グーグルが独自の検索エンジ ン管理ツール(SEMツール)である SA360を中心とする追加的な排除行為を行ったと主張している。

SEMツールは、広告主が複数のプラットフォ ームにまたがるオンラインマーケティングキャンペーンを一元化された場所で実行する ことを可能にする。 このプラットフォームを買収する際、グーグルは SA360が “中立的な第三者 “であることを誓った。

しかし、グーグルはそのよ うに行動していない。代わりに、原告は、 Googleは、 SA360上のマイクロソフトの広告 プラットフォームよりも、自社の広告プラットフォームである Google Adsを優先し、優位に立ったと述べている。 具体的には、 GoogleがSA360のGoogle Adsに完 全に統合したMicrosoft Adsの様々な機能の開発と立ち上げを、 Googleは何年も意図的に 遅らせてきたと主張している。最も重大なことは、オークション中に広告主 がリアルタイムで入札戦略を変更できる機能である ATB(オークション・タイム・ビッ ディング)を統合するようにというマイクロソフトの再三の要求をグーグルが無視した ことであり、裁判の時点では、 SA360のMicrosoft Ads では利用できないままであった。

原告らによれば、グーグルの行為は「広 告主による SA360への広告出稿の効率性を低下させ、広告主」にも「広告主による SA360への広告出稿の効率性を低下させ、広告主」にも損害を与え、この機能格差は提案された市場において反競争的効果をもたらしたというと主張している。

A. シャーマン法は、 SA360におけるマイクロソフトの広告に対する衡平な機能(フィーチ ャー・パリティ)の付与を拒否したグーグルには責任を課さない。

原告のSA360理論は、企業がライバルと「取引する義務はない」という定説と相 反するため、閾値で挫折する。「一般的なルールとして、企業は取引相手や価格、取引 条件などを自由に選ぶことができる。」「独占企業であっても、一般的に知的財産や物理的財産をライバルと 共有する(あるいは共有し続ける)義務はない。」 というのも、支配的な企業に対して「優位性の源 泉を共有するよう強制することは、独占企業、ライバル企業、またはその両方の投資意 欲を減退させる可能性がある」ためであり、「共有の強制」は裁判所に「中央計画者と しての役割」 を 求めるものであり、「そのような役割には適していない」からである 。

従って、「ライバルと取引する 反トラスト法上の義務を全く負わない企業は、ライバルに「十分な」レベルのサービス を提供する義務を負わない。

最高裁は、企業が他者との取引を拒否する権利に「高い価値」を置いているが、 「その権利は無限定ではない」と述べており、特定の状況下では、ラ イバルとの協力の拒否は反競争的行為となり得、ライバルとの協力に違反する可能性が あるが、 しかし、そのような状況は「限定的」である。

ライバルとの協力の拒否に基づく第 2 条の責任に関する代表的な判例は、「第 2 条の責任の外側の境界線かその近くにある」Aspen Skiing判例である。 

Aspen Skiingの例外に当てはまるためには、原告は3つとは言わないまでも、

  • 第一に、被告が競争相手のアクセスを拒否す る前に、被告は『自発的にライバルとの取引過程に従事していた』こと
  • 第二に、被告が「自発的な(従っておそ らく利益をもたらす)取引過程を一方的に終了させたことは、反競争的な目的を達成するために短期的な利益を放棄する意思を示唆したこと

を立証をしなければならない。

これは、独占企業は、「完全に競争的な目的を追求す るため-例えば、自社の革新的な代替製品を追求するため-」に、合理的に以前の取引過 程から撤退し、短期的な損失を被ることがあるからである。

これに対して原告は、「取引義務なし」の原則を完全に回避しようとし、「自 発的で継続的な取引の過程がある場合には、 Trinkoは適用されない」と主張しています。

裁判所は、グーグルのSA360の行為が「 取引義務なし」の枠組みから外れていることに納得しないとして、グーグルとマイクロソ フトがSA360に関して継続的な取引を行っているという事実は、 ノベルのような、支配 的な企業(マイクロソフト)が最初に知的財産をライバルと共有し、後に自社製品を 有利にするためにそれを撤回したケースと本件を異なる立場に置くものではないと判断しています。

取引不履行原則を生み出す懸念である

第一に、原告の主張を裁くことは、以下のような、裁判所が扱うには不適当な多くの問題に取り組む必要がある :

  • (1)技術的な観点から、グーグルはいつまでにATBをマイクロソフト広告に統合する ことができたのか、
  •  (2)グーグルがマイクロソフトの要求に応じるためには、 ATBに対す る広告主の関心がどの程度あればよいのか
  •  (3) GoogleがMicrosoft Adsに ATBを統合するよりも、他のプロジェクト、すなわ ち Project Amalgamと Myxにリソースを優先させたことは不適切であった か。

そして、原告らは、結局、適切な “取引条件 “を特定しようとする “中央計画者 “として裁判所が行動することを要求することになる。どのような救済措置であっても、おそらくグーグルは現在および将来に わたってSA360の機能パリティを確保する必要があるだろう。従って、原告である米国 に有利な結果が出れば、裁判所はグーグルの日常業務に巻き込まれることになるのであり、裁判所はグーグルについて多くを学んだが、その役割には「不向き 」である。 このような状況では、「取引義務はない」という枠組みが適切に適用される。

確かに、グーグルはSA360を “中立的な第三者 “にすると宣言したものの、マーケティング資料で交わされた曖昧な約束は、独占禁止法の責 任を測る基準としては不十分である。 加えて、 Googleが「重要な反競争的目的を達成するために短期的な利益を放棄す ることを厭わなかった」ことを証明する記録はない。

最後に、原告は、グーグルの行為が「(マイクロソフトを)市場から追い出そう とする」など、「より大きな反競争的企業」の一環であることを示さなかった。.グーグルが無反応であった理由の一つは、実質的に新製品の発売であCase 1:20-cv-03010-APM Document 1033 Filed 08/05/24 Page 547の 569 270 ったプロジェクト・アマルガムの作業を優先させたことである。グーグルが SA360の「革新的な置き換え」を優先したことは、すぐにライバルに同等の機能を提供 することよりも不適切ではなかった。そのような経営判断はマイクロソフト社の犠牲の上に行われたかも しれないが、第2条の責任を生じさせるものではない。

 B. 原告州は、グーグルのSA360の行為が反競争的効果をもたらしたことを立 証していない。

原告国側のSA360の主張は、 2つ目の独立した理由で破綻している:彼らは反競 争的な損害を立証していない。原告州は、「グーグルの行為は、 SA360での広告費の効 率を低下させることにより、広告主に損害を与えた」と主張している。また 、「ライバルを害した」とも述べている。

しかしながら、裁判所は、証拠はどちらの主 張も支持しないとしています。

マイクロソフト広告でATBを使用した かったが、グーグルの統合が遅れた結果、 SA360で効果の低い日中入札の使用から抜け出せなくなった広告主の証拠は提出されていない。それどころか、一部の広告主はATB を使ってBingに広告を掲載する別の方法を見つけた(一部の 広告主は広告費をSA360からマイクロソフトのネイティブツールに移したり、ラ イバルのSEMツールである Skaiを使い始め)という証拠もある、と認定しています。また、 グーグルの競合他社に関しても、損害の証拠は同様に薄い、としています。

原告は、機能が同等でなかったため に、 SA360の広告主は広告費をビングからグーグルにどんどんシフトさせたとするが、相関関係と因果関係はイコールではなく、原告は、機能パリティがな いために、広告主が実際に広告費をビングからシフトさせたという証拠を提示していないとしています。

SA360で ATBやその他の主要機能が利用できないためにマイクロソフトが失った収益の内部見積 もりについて言及した一連の電子メールのスレッドによって、SA360が私たちの最新の機能や特徴 にどの程度対応するか、あるいは対応しないかによって、私たちは数億ドルの収益に影 響を受ける可能性があるとするが、これらの Eメールは、「分析は 非常に大まかなもの」でしかない。裁判所は、このような不安定な証拠に 基づいて反競争的効果の認定を行うことはない。

* * * グーグルはマイクロソフトと取引する義務を負っておらず、仮に負っていたとし ても、原告州は反競争的損害を立証していないため、裁判所はSA360の主張についてグ ーグルに有利であると判断する。

4.8  意図および 制裁

  • グーグルの意図に関する原告の主張
  • 連邦民事規則(Federal Rule of Civil Rule)に基づくグーグルへの制裁要求

について論じています。

 連邦民事訴訟規則37条(e)は、

訴訟の予期または遂行において保存さ れるべきであった電子的保存情報が、当事者がそれを保存するための合理的な措置を講 じなかったために失われ、追加的な証拠開示によってそれを復元または交換することが できない場合、裁判所は、不利益または他の当事者によるその情報の使用を拒否する意 図を示した上で、制裁を命じることができる

としています。これは、おなじみリティゲーションホールドの規定です。

原告は、(1)「 組織的な文書破棄」と (2)「弁護士と依頼人の秘匿特権の明白な悪用」について制裁を求めています。また、この2つ の行為は、「グーグルがその行為が違法であることを知っていることを示す強力な指標 」であるとも原告は述べている。

組織的な文書破壊について

 原告が「組織的な文書破棄」と言う場合、それはグーグルが長年(2008年以来) 行ってきた、グーグル従業員間のチャットメッセージを24時間後に削除するという慣習 を意味する。このようなチャットの保存の失敗は、グーグルが本件の調査段 階の開始時に文書保留の通知を受け取った後も続いた。訴訟提起から 2年以上経った 2023年2月に原告らが制裁を求める申し立てを行うまで、グーグルは法的拘束下にある 従業員のすべてのチャットを自動的に保存するよう方針を変更しなかった。原告は、グ ーグルのチャット削除ポリシーの結果、「数年分のチャット(おそらく関連情報満載)が破棄された」ため、規制当局の精査を受けることはなく、「グーグルはその慣行が独 占禁止法に違反している可能性が高いことを知りながら、それを証明することを不可能 にしようとしたことを示している」と主張する。 原告は、訴訟保留通知を受け取 った後、グーグルがチャットを保存しなかったことに対して、規則37(e)に基づく制裁 を要求している。

弁護士と依頼人の秘匿特権の明白な悪用

「弁護士と依頼人の秘匿特権の明白な悪用 」 については 、 グーグルの「 留意したコミュニケヒション」イニシアチブを指している。グーグルは従業員に対し、「Rev Share [レベニューシェア契約]と モバイル・アプリケーション販売契約に関するあらゆる書面によるコミュニケーション」に社内弁護士 を加えるよう教育した。また、電子メールで「デリケートな問題を扱う」場合、「電子メールでのや り取りが確実に秘匿される」ようにするため、従業員は「『宛先』欄に弁護士を追加」 し、「『弁護士/依頼者間の秘匿特権』をマーク」し、「弁護士に質問する」ことができると指示した 。グーグルの従業員はそのアドバイスに熱心に従った。

その結果、本件においてグーグルの社外弁護士は当初、秘匿特権を理由に数万件の記録 を非公開としたが、最終的にこれらの記録は再審査され、秘匿特権はないと判断され、 原告に提出された。

このような偽の特権資料の作成は、「グー グルがその契約慣行を通じて競争を害することを意図しており、競争促進を目的とした 正当な理由が単なる口実であったことを示している」と原告は主張する。 これら 2つの慣行に加え、原告はまた、グーグルが何年もの間、コミュニケーシ ョンにおいて特定の独占禁止法の流行語を使用しないよう従業員に指示してきたことも 指摘している。 

A. 裁判所が非競争的な の意図を認定する必要はない。

原告は「反競争的意図」の認定を求めているが、反競争的意図の認定は第2条違反の要素ではなく裁判所は認定する必要はない。裁判 所は、 Googleの独占的取引契約が2つの関連市場において反競争的効果を有すると既に 結論付けていることから、その行為をさらに「理解」する ために意図の証拠を検討する必要はない。

もっとも、裁判所は、グーグル社が規制当局や訴訟当事者に対して紙の証跡を残さ ないようにするために、最大限の努力を払っていることに驚いている。マイクロソフト事件や他の第2項訴訟で見られたような、明らかに反競争的なコミュニケーションがこの訴 訟には見られないのも不思議ではない。 グーグルは、これらの事 例から得た教訓を明らかに心に留めていた。グーグルは、「悪い」証拠を作成しないよ う、従業員を効果的に教育した。結局のところ、それは問題ではない。第2条の責任は 、反競争的意図の「決定的証拠」があるかどうかで決まるものではない、 としています

B. 裁判所は制裁を科すことを拒否する。

制裁請求について、原告の要求する制裁措置は、グーグルの責任に関する裁判所の評価を左右するものではないことから裁判所は制裁を科すことを拒否しました。これはグーグルがチャットメ ッセージを保存しなかったことが制裁に値しないからではないとしています。

5 結論

以上の理由により、裁判所は、グーグルが独占的販売契約を通じて、米国における 2つの製品市場(一般的な検索サービスおよび一般的なテキスト広告)において独占 を維持することにより、シャーマン法第2条に違反したと結論づける。

従って裁判所は 、

米国原告の修正訴状請求原因IおよびIII、 州原告の訴えの同請求原因がⅠおよびIIIと同範囲である限り、コロ ラド州の訴状も同じ理由により、裁判所はグーグルの責任を認める。一方、請求原因Ⅱに関しては、グーグルの勝訴とする。

 

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