国際的なサイバーテロの用語についての追加

前のエントリで、国際的なサイバーテロの用語について、簡単な概念考察をしてみましたが、ちょっとだけ、追加します。

というのは、サイバーセキュリティ基本法附則2条は、事態対処法21条1項に規定する緊急事態に相当するサイバーセキュリティに関する事象などが生じて、国民生活及び経済活動の基盤であって、その機能が停止し、又は低下した場合に「国民生活又は経済活動に多大な影響を及ぼすおそれが生ずるもの等を防御する能力の一層の強化を図るための施策について、幅広い観点から検討するものとする。」と定めています。

したがって、サイバーテロリズムという概念は、さらに、緊急事態対処という概念との関係を考察する必要があるので、その点を追加しておいたほうがよいように思えます。サイバーセキュリティ基本法は、国際的な関係をも念頭に作られていますという説明がなされることがあるのですが、それは、この附則2条のことを念頭にいっています。

事態対処法21条1項の緊急対処事態というのは、何かというと、概念としては「国及び国民の安全に重大な影響を及ぼす緊急事態」ということになります。でもって、緊急対処事態とは何かということになります。国民保護のページによると「武力攻撃の手段に準じる手段を用いて多数の人を殺傷する行為が発生した事態又は当該行為が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態で、国家として緊急に対処することが必要なものをいいます。」ということです。でもって、緊急対処事態については、攻撃対象施設等による分類や攻撃手段による分類がなされています。この場合、多数の人の殺傷等の結果、国家対応の必要性などが要件になります。単なる金銭要求は、どうか、(また、それが大規模な場合は、どうか)ということも問題になりそうです。

国民保護のページでは、サイバーの文字は、見受けられませんが、サイバーセキュリティ基本法2条は、この緊急対処事態への該当性を可能性としては、考慮しているように思えます。もっとも、実際にどの程度、このような事態になりうるか、というのは、問題にも思えます。このような単独でのサイバーテロの実際の可能性は、それこそ、幅広い観点から検討すべきものなのかもしれません。

もっとも、実際にサイバーによる緊急対処事態の発生可能性が存在するということになれば、まさに、同法の「情勢の集約並びに事態の分析及び評価を行うための態勢の充実、各種の事態に応じた対処方針の策定の準備、  警察、海上保安庁等と自衛隊の連携の強化を図る」(21条2項)ということになると考えられます。対外的な情報収集の仕組みを整備し、そこで、特にサイバーに関する情報を分析して、国民に提供するとともに、警察・防衛の連携を図るということもこの条文では、考えうるように思われます。

おまけでいうと、国内法の問題だと、政府が、どの段階で、どのような対処機構によって対応するかという問題もあります。これについては、論文を書く際のネタに使おうかとおもっています。

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