サイバー規範についての主要7カ国(G7)外相会合によるディナール宣言がなされました。
新聞記事ですと、こちら(デジタル防衛へG7主導 外相宣言を採択、中ロ念頭に)でしょうか。
ここでは、サイバー規範(Cyber Norm)という用語が用いられています。
サイバー規範の定義は、マリアさんが司会したセッションの解説が一番いいみたいですね。あと、この「CyCon2017 travel memo 10) Day3」ブログでふれています。今のところ、最大公約数は、「政治的な規範は、国際法でまだ決まっていないことを決めようとするもの」という感じのようです。「法的拘束力あるルール、自発的に遵守されるルール、(国内的な)ルール」のうち、「自発的に遵守されるルール」のことをいうということでしょうか。
なお、国連GGEの失敗については、こちらでふれています。
G7の動向としては、2年前に安定化宣言をだしていました。
今回の宣言の原文は、こちらです。
まずは、全部、訳してみましょう。(グーグル翻訳を下訳に使いました)
-外務省が訳すでしょうから、訳がでましたら、そちらを利用ください。
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DINARD宣言
サイバー規範イニシアチブ
私たちの社会がますますデジタル化されるにつれて、すべての関係者がその恩恵を十分に享受できるようにするためには、サイバースペースにおける信頼、セキュリティおよび安定性を強化することが重要です。私たちは、国際法と基本的自由の適用が促進され、オンラインで人権が保護されている、オープンでセキュアで安定した、アクセス可能で平和なサイバースペースをすべての人に促進することを約束し続けます。
この文脈において、我々は、総会が国際法、特に国連憲章が適用可能であり、情報通信技術(ICT)環境の平和と安定を維持し、開かれた、セキュアな、安定した、利用可能な平和的な環境を促進することは、想起します。我々はまた、国連事務総長によって送信され、国連総会によって合意されて承認された、国際セキュリティ保障の文脈における情報通信分野の発展に関する政府専門家グループの2010年、2013年および2015年の報告の結論を想起します。ICTの使用において、すべての国家は、これらの報告書を導きとすることを求められています。
これらの報告は、ICTの利用における国家の責任ある行動の規則、原則および自主的かつ拘束力のない規範が、国際的な平和、セキュリティおよび安定へのリスクを軽減し、信頼醸成措置が、国際的平和とセキュリティを強化し、国家間協力、透明性、予測可能性および安定性を増大させることを強調しています。
我々は、既に認められた自主的で拘束力のない責任ある国家行動の実施についてのベストプラクティスと教訓を共有することに専念するサイバー規範イニシアチブ(Cyber Norm Initiative(CNI))を設立する意欲を確認します。私たちは、可能であれば、他の興味を持っているパートナーがこの試みに参加すること、または同様の演習を完了することを奨励します。これは、国連オープンエンド作業部会および政府専門家グループによる活動に貢献することとなり、これらの規範を遵守することの強い模範となることをめざすことになります。
サイバー規範イニシアチブの参加者として、私たちは次のことを約束します。
– サイバースペースにおける責任ある国家の行動の自主的で拘束力のない規範および上記の報告書に含まれる勧告を理解し、効果的に実施するために私たちの各州が講じた措置について、自発的および他者とのより良い自発的な情報交換を奨励する。 ;
– このプロセスの結果として識別されるであろうベストプラクティスと学んだ教訓を、幅広い国家や他の利害関係者と共有する。
– 他の国々と協力して、それらを私たちのピアラーニング、協同組合、透明性、および信頼醸成の取り組みに含める。
– 上記の自主的、拘束力のない規範や勧告を実行するためのパートナーの能力構築を支援するために協力する。
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国連としては、GGEがある意味で失敗に終わっていたのですが、まだ、その動きは、続いているということをG7が示した意義というのは、大きいでしょうね。
個人的には、規範を「自主的で拘束力のない責任ある国家行動」と定義している点で、国家実行も法源となるという国際法的な人たちとの用語の違いが気になったりするのですが、まあ、そこら辺は、ご愛嬌なのでしょうね。(国際法的には、ここでいうサイバー規範も、これに違反すると国際的違法行為になるので、法的に拘束力があると整理されるような気がします)