Legal issues of Israeli strike in retaliation

前のブログの問題について、Schmitt先生のtwitterを見つけたので、さらに検討してみました。


The question is whether the target qualified as a military objective during an armed conflict under international humanitarian law

国際人道法のもとにおいて目標物が、武力紛争の際の軍事施設であるかどうかが問題である。

ここで、法的な話としては、イスラエル対イスラミック・ジハードが、「武力紛争」であるとされていること、サイバー攻撃者の施設が、軍事施設といえるか、ということが問題となっています。

イスラエル対 イスラミック・ジハード が、国際法上の「武力紛争」といえるのか、という問題があるかと思います。この点については、河西辰哉「ガザ地区における武装的暴力と国際人道法」という論文があって、2008年当時の紛争については、その性格を否定しています。ただし、当時と現在の紛争とでは、レベルも違いそうです。

今回の紛争について、テロ対警察活動なのか、それとも武力紛争なのか、という点については、
2018-19JINSA’s Gemunder Center Hybrid Warfare Task Force “Defending the Fence: Legal and Operational Challenges in Hamas-Israel Clashes”, という論文があります。 この論点は、非国際的武力紛争という論点なので、もうちょっと研究してから、コメントします。

If so, the issues to consider are proportionality and precautions in attack. See Additional Protocol I, arts. 51, 52, 57 and customary IHL.

軍事目標だとすると、攻撃における比例原則と事前警告を考慮することが論点となる。ジュネーブ追加議定書Ⅰ、51条、52条、57条と国際人道慣習法を参照せよ

なので、ジュネーブ諸条約追加ですね。外務省のページは、こちら

第51条 文民たる住民の保護

1 文民たる住民及び個々の文民は、軍事行動から生ずる危険からの一般的保護を受ける。この保護を実効 的なものとするため、適用される他の国際法の諸規則に追加される2から8までに定める規則は、すべて の場合において、遵守する (以下略)

第52条 民用物の一般的保護

1民用物は、攻撃又は復仇 きゆう の対象としてはならない。民用物とは、2に規定する軍事目標以外のすべての 物をいう

2攻撃は、厳格に軍事目標に対するものに限定する。軍事目標は、物については、その性質、位置、用途 又は使用が軍事活動に効果的に資する物であってその全面的又は部分的な破壊、奪取又は無効化がその時 点における状況において明確な軍事的利益をもたらすものに限る。 (以下、略)

第57条 攻撃の際の予防措置

1軍事行動を行うに際しては、文民たる住民、個々の文民及び民用物に対する攻撃を差し控えるよう不断 の注意を払う。

2攻撃については、次の予防措置をとる。

(a)攻撃を計画し又は決定する者は、次のことを行う。

(i)攻撃の目標が文民又は民用物でなく、かつ、第五十二条2に規定する軍事目標であって特別の保護 の対象ではないものであること及びその目標に対する攻撃がこの議定書によって禁止されていないこ とを確認するためのすべての実行可能なこと。 (以下、略)

(c)文民たる住民に影響を及ぼす攻撃については、効果的な事前の警告を与える。ただし、事情の許さな い場合は、この限りでない

ということになります。

報道からするときに、攻撃のなされている物理的な本拠地であれば、軍事目標と解釈されるように思います。



関連記事

  1. タリンマニュアル2.0
  2. タリンマニュアル2.0 パネル
  3. 電波法無罪判決の有罪部分分析
  4. 憲法対国際法-フェイクニュース対応
  5. イスラエル軍、イスラム過激派のサイバー部隊に空爆実施。サイバー攻…
  6. 報告書以降の英国の判決例(カルティエ事件)
  7. 「安保技術、留学生は許可制」の記事
  8. CyCon2017 travel memo 11) Day4
PAGE TOP