デジタル庁については、このブログで、速報的に、「デジタル庁って何? 概要発表記事から探る」のエントリをまとめましたが、そこで、わからなかったデジタル改革関連法案ワーキンググループ(第4回)の資料が公開されています。議事次第は、こちらです。
詳細については、さらに分析していきますが、ここでは、特に電子署名についてのコメントがあるのでその点について注意してみようかと思います。
この「 デジタル改革関連法案ワーキンググループ作業部会とりまとめ」の28ページ以下は、データ利活用のまとめになります。そこでは、(1)基本的な考えか方において
(ⅰ)デジタル社会を構成する様々な主体がいる中で、その個人・団体を一意に特定し識別する機能(いわゆるID)により、行政機関等が保有する社会の基本情報が容易に参照され、活用されること
(ⅱ)高度情報通信ネットワークを通じて流通する情報の発信者の真正性や、情報そのものの真正性、完全性等を保証するための機能が提供されること
が、主張されています。IDについては、マイナンバーと法人番号の重要性と法的な措置がとられていることが説明されています。
情報の真正性等について
情報の発信者の真正性や、情報そのものの真正性、完全性等を保証することは、安全・安心なデジタル社会の形成に重要である。
情報の発信者の真正性としていますが、発信者と主張される者と発信するアイデンティティの同一性の確認がなしうること、という意味だろうと思います。その意味で、「真正性」というのは、非常に多義的であることに留意しなければならないのですし、書面がどの程度用語に敏感に作成されているのか、という点については、読む方としては、感覚を研ぎ澄まさなくてはならないことになります。
でもって、所管とかがバラバラであったので、見直す方向が提案されています。特に電子署名法については、
電子署名法に基づく電子証明書を(ママ)普及するためには、その普及と制度の企画をデジタル庁が一体的に担うことが効果的であること、総務省・経済産業省の関与はデジタル政策に関するものであることなどを踏まえ、今後は、その両方をデジタル庁が強力な権限をもって進めることとし、総務省・経済産業省の権限はデジタル庁に移管することが適当である。
とされています。
ちなみに、
電子署名の法的効果に関する規律が民事訴訟法の私文書の成立の真正に関する規律と同様の効果を規定するもの
とされているわけですが、「本人」についての用語法が異なること、前提事実について判例法により補充がされている印章とそれがない電子署名とで違いがあることは、ブログでしたら、なんど説明してもしたりない事項だろうと思っています。
なと、電子委任状法についての権限の移管がでています。
商業登記電子証明書は、個人的には、コストパフォーマンスがいいですし、ファイル形式なので、読み込み時間の問題もないので、愛用しているのですが、なかなか人気はないようです。これの規格立案については、デジタル庁への移管がなされることになるそうです。
この分野についても、なかなか意欲的なデザインを提案しているように思えます。デジタル庁が、この分野で、どのような整理を見せていくのか、というのは、注目したいと思いますし、「電子署名法の数奇な運命」でもフォローしていきたいと思います。
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