「デジタル経理」市場のバトルロイヤル-電子帳簿保存法改正と電子インボイス

「即実践!!電子契約」では、電子契約というキーワードをもとデジタルトランスフォーメーション、電子記録管理について説明をしました。基本的には、電子記録管理とも関連するのですが、会計に関連する動向として、電子帳簿保存法改正とe-Invoiceがありますので、きちんと洗い出しておきます。

この点についてまとめてあるの日経新聞の8月18日の記事の「デジタル経理市場に照準」という記事です。

この記事では、

22年1月施行の改正電子帳簿保存法(電帳法)により、領収書や請求書を電子保存する際の条件が大幅に緩和されることに対応する。一気に高まるとみられるデジタル経理の需要を取り込もうと、各社は着々と準備を進めている。

という動向と

企業経理を巡っては消費税額を正確に徴収するための「インボイス制度」も23年に始まる。請求書の記載事項が増えるためデジタル化の需要はさらに高まる。一方、紙の経理業務を支えてきた複合機メーカーは攻勢を受け続ける格好で、変化への対応を急いでいる。

という動向が、いわゆる「デジタル経理」市場の市場動向を大きく変えていくだろうという分析をしています。

そこで、それぞれをみていくことにします。

電子帳簿保存法

帳簿とは、事業に関する日々の取引の内容を記録したものをいい、大別して主要簿と補助簿からなること、青色申告の承認を受けている法人は、主要簿である仕訳帳および総勘定元帳の作成が義務付けられていること(法人税法施行規則54条)などか前提となります。

会計帳簿、事業に関する重要な資料及び計算書類等は、会社法上、10年間保存することが義務付けられていますが(会社法432条2項、435条4項)、法律上の要件を満たす方法に拠れば、主務官庁への届出等をせずに電磁的記録によって作成・保存することができます (会社法433条2号、435条3項)。
一方、国税関係書類は、税法上、書類毎に一定期間保存することが義務付けられていますが、電子化するには、納税地等の所轄税務署長の承認が必要となります(「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」(以下「電子帳簿保存法」といいます)。

この法律は

高度情報化・ペーパーレス化が進展する中で、会計処理の分野でもコンピュータを使用した帳簿書類の作成が普及してきており、経済界をはじめとする関係各界から、帳簿書類の電磁的記録(いわゆる電子データ)及びマイクロフィルムによる保存の容認について、かねてから強い要望が寄せられていたことを背景に、国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存制度等の創設等が行われたもの

です。

会計ソフト等で電子的に作成した帳簿・電子的に作成した国税関係書類があって、これについて電子的に作成した帳簿・書類をデータのまま保存することがあり、それらが「電子帳簿等保存」といわれます。

電子帳簿保存法第2条6号は、また、「電子取引」という概念を準備しています。「電子取引」とは、取引情報(取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項をいいます。)の授受を電磁的方式により行う取引をいいます。

その後、紙でもスキャンしたものを電子保存が可能になるように要望がなされて、平成17年度(2005年)の電子帳簿保存法の改正において、適正公平な課税を確保するため、特に重要な文書である決算関係書類や帳簿、一部の契約書・領収書を除き、原則的に全ての書類を対象に、真実性・可視性を確保できる要件の下で、スキャナを利用して作成された電磁的記録による保存(以下「スキャナ保存」といいます。)を認めることとされました。

その後、平成27年度(2015年)の税制改正により、スキャナ保存の要件緩和等が行われ、さらに、平成28年度(2016)の税制改正において、スマートフォンやクラウドサービス等が発達してきた中、データによる経理処理を行えるよう、スマートフォン等を使用して社外において経理処理前に国税関係書類の読み取りを行う仕組みの整備が行われました。

でもって、現在の状況をまとめてみるとこんな感じかと思います。

でもって、独断と偏見をもって、2020年ころの会社の経理関連業務の話を見ていきましょう。こんなイメージです。

ワープロソフトで作成・印刷

この図のポイントは、なんといってもというところです。そして・押印して、関連の外部に郵送・保存というプロセスを伴うわけです。

会計ソフト市場/税務申告(会計補助)

会計ソフト(弥生とかで入力をして)提携する会計事務所とデータをやりとりして、税務申告するというところです。

タイムスタンプ

これは、従来タイムスタンプを付して保存するというサービスを利用するか、どうか、というところです。いろいろな関係で、導入するところが増えたわけではなく、大きな市場とは言い難いでしょう。

ビジネスのセキュア・メッセージング

ビジネス 電子メール詐欺(BEC)とか、パスワードあとからプロトコル(PPAP)問題とか対応で、限られたコミュニティで、安全なメッセージングをという市場はないことはないのですが、大きな市場とはいえないでしょう。

それぞれの分散した市場の風景を変化させるだけの力があるだろうというのか、電子帳簿保存法の改正(令和3年度の税制改正-令和4年1月1日施行)(以下、電子帳簿法といったとき、この新電子帳簿保存法を指すことにします)ということになるかと思います。新聞記事ですと

現在の電帳法は経理書類を電⼦保存するために(1)開始3カ⽉前までに税務署に申請する(2)職員の相互チェック体制を整える(3)経理以外の現場担当者は書類受領から3⽇以内に電⼦化し、改ざんできないように「タイムスタンプ」を付ける――といった条件を課している。(略)

22年1⽉施⾏の改正法では(1)と(2)を廃⽌し、(3)についても受領から2カ⽉以内に条件を緩和する。タイムスタンプシステムなどを⽤意するだけでデジタル経理を導⼊しやすくなり、国税庁は⼤⼿企業以外に間⼝が⼤きく広がるとみている。

となります。

具体的にどのように変更になっているのかをみていくことにします。参考になるのは、「電子帳簿保存法が改正されました」というリーフレットと「電子帳簿保存法Q&A~令和4年1月1日以後に保存等を開始する方~」(国税庁)になります。Q&Aの案内のページはこちらです。この 一問一答は

に分かれています。わけて改正事項をみていく必要があると思われます。なお、電子帳簿法においては、具体的には、

財務省令で定めるところにより

という表現がでてきます。これは、「平成十年大蔵省令第四十三号 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則(令和三年財務省令第二十五号による改正)」になります(以下、施行規則といいます)。

電子帳簿等保存に関する改正事項

これについては、

  1.  税務署長の事前承認制度の廃止
  2.  優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置が整備
  3.  最低限の要件を満たす電子帳簿についても、電磁的記録による保存等が可能

とされています。

上の2と3は、表裏一体で、むしろ、最低限の要件を満たす電子帳簿についても、電磁的記録による保存等が可能となっており、従来(現行)の電子帳簿を優良な電子帳簿として、過少申告加算税の軽減措置の整備というインセンティブを整備したということになるかと思います。この点は、このリーフレットの表がわかりやすいです。

(上記リーフレットの2頁目)

スキャナ保存について

スキャナ保存が電子帳簿保存法に定められる経緯については、上述した通りです。そこでの改正事項は

  •  税務署長の事前承認制度の廃止
  • タイムスタンプ要件、検索要件等についての要件の緩和
  • 適正事務処理要件が廃止
  • スキャナ保存された電磁的記録に関連した不正があった場合の重加算税の加重措置

になります。

ここで興味深いのは、「タイムスタンプ要件、検索要件等についての要件の緩和」の規定です。

電磁的記録について訂正又は削除を行った場合に、これらの事実及び内容を確認することができるクラウド等において、入力期間内にその電磁的記録の保存を行ったことを確認することができるときは、タイムスタンプの付与に代えることができることとされました

とあります(リーフレット)。また、「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則の一部を改正する省令要旨」においても

3 国税関係書類に係るスキャナ保存について、次のとおり見直しを行うこととする。
(第2条関係)
⑴ 一定の方法により当該国税関係書類に係る記録事項を入力したことを確認できる場合には、タイムスタンプを付すことを不要とする。

とされています。

これは、改正前の4条3項は、

当該国税関係書類に記載されている事項を財務省令で定める装置により電磁的記録に記録する場合であって、所轄税務署長等の承認を受けたときは、財務省令で定めるところにより、当該承認を受けた国税関係書類に係る電磁的記録の保存をもって当該承認を受けた国税関係書類の保存に代えることができる。

とされていたのが、全面的に改正されたものです。電子帳簿法において4条3項において

保存義務者は、国税関係書類(財務省令で定めるものを除く。以下この項において同じ。)の全部又は一部について、当該国税関係書類に記載されている事項を財務省令で定める装置により電磁的記録に記録する場合には、財務省令で定めるところにより、当該国税関係書類に係る電磁的記録の保存をもって当該国税関係書類の保存に代えることができる。

とされています。「所轄税務署長等の承認を受けたときは」という文言がなくなっているのがわかります。

ここで

「財務省令で定める装置により電磁的記録に記録する場合」とは何か?

という点については、

規則2条5項で

法第四条第三項に規定する財務省令で定める装置は、スキャナとする。

とされており、同6項5号では、

当該国税関係書類に係る電磁的記録の保存をする場所に当該電磁的記録の電子計算機処理の用に供することができる電子計算機、プログラム、映像面の最大径が三十五センチメートル以上のカラーディスプレイ及びカラープリンタ並びにこれらの操作説明書を備え付け、当該電磁的記録をカラーディスプレイの画面及び書面に、次のような状態で速やかに出力することができるようにしておくこと。
イ 整然とした形式であること。
ロ 当該国税関係書類と同程度に明瞭であること。
ハ 拡大又は縮小して出力することが可能であること。
ニ 国税庁長官が定めるところにより日本産業規格Z八三〇五に規定する四ポイントの大きさの文字を認識することができること。

とされています。

ここで、

規則第2条第6項第5号に規定する保存をする場所(以下「保存場所」といいます。)に備え付けられている電子計算機とサーバとが通信回線で接続されているなどにより、保存場所において電磁的記録をディスプレイの画面及び書面に、規則第2条第6項第5号イからニまでに規定する状態で速やかに出力することができるときは、クラウドサービスを利用する場合や、サーバを海外に置いている場合であっても、当該電磁的記録は保存場所に保存等がされているものとして取り扱われます(Q&A スキャナ保存編 13ページ)

ということになるので、クラウドサービスを利用する場合でも可能だということになります。


(追加・修正)

「平成十年大蔵省令第四十三号 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則(令和三年財務省令第二十五号による改正)」第2条第6項第2号においてスキャナ保存システムに関して

イ スキャナ(次に掲げる要件を満たすものに限る。)を使⽤する電⼦計算機処理システムであること。(略)

 ロ 当該国税関係書類の作成⼜は受領後、速やかに⼀の⼊⼒単位ごとの電磁的記録の記録事項に⼀般財団法⼈⽇本データ通信協会が認定する業務に係るタイムスタンプ(次に掲げる要件を満たすものに限る。以下この号並びに第四条第⼀項第⼀号及び第⼆号において「タイムスタンプ」という。)を付すこと(当該国税関係書類の作成⼜は受領から当該タイムスタンプを付すまでの各事務の処理に関する規程を定めている場合にあっては、その業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに当該記録事項に当該タイムスタンプを付すこと)

とされているのですが、改正によって

当該保存義務者が同号イ⼜はロに掲げる⽅法により当該国税関係書類に係る記録事項を⼊⼒したことを確認することができる場合にあっては、ロに掲げる要件を除く。

とされました。この結果、ロに掲げる要件、すなわち、タイムスタンプに関する要件が不要とされました。

クラウドサービス自体について、以下のような通達の解説(「電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明)」)がでています。

(国税関係書類に係る記録事項の入力を速やかに行ったこと等を確認することができる場合(タイムスタンプを付す代わりに改ざん不可等のシステムを使用して保存する場合))
4-28

規則第2条第6項第2号ロ((タイムスタンプの付与))に 掲げる要件に代えることができる同号柱書に規定する「当該保存義務者が同号(規則第2条第6項第1号)イ又はロに掲げる方法により当該国税関係書類に係る記録事項を入力したことを確認することができる場合」については、例えば、他者が提供する クラウドサーバ(同項第2号ニに掲げる電子計算機処理システ ムの要件を満たすものに限る。)により保存を行い、当該クラウ ドサーバがNTP(Network Time Protocol)サーバと同期する などにより、その国税関係書類に係る記録事項の入力がその作 成又は受領後、速やかに行われたこと(その国税関係書類の作成 又は受領から当該入力までの各事務の処理に関する規程を定め ている場合にあってはその国税関係書類に係る記録事項の入力がその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに行われたこと)の確認ができるようにその保存日時の証明が客観 的に担保されている場合が該当する。

(ところで、この規則第2条第6項第2号ロ((タイムスタンプの付与)の柱書に規定するとされている

当該保存義務者が同号(規則第2条第6項第1号)イ又はロに掲げる方法により当該国税関係書類に係る記録事項を入力したことを確認することができる場合

があるはずなのですが、ちょっとこの点は、確認ができていませんとしていたのですが、上のようになります)


タイムスタンプというのは、

ある時刻にその電子データが存在していたことと、それ以降改ざんされていないことを証明する技術。

あるのですが、それは、それで、費用の問題があります。費用についての情報はこちらでしょうか(「電子帳簿保存法のタイムスタンプ、費用ってどのくらい?導入手順も解説」)。紙で保管しておけば、スペースはとるもののそのための積極的なコストは、かからないのに「デジタルだとお金がかかるのかよ」ということになります。費用については、「電子帳簿保存法Q&A」では、

「一の入力単位ごと」に付すこととされていますが、このタイムスタンプが一の入力単位ごとに検証できるものである場合には、書類種別や部署ごとの電磁的記録の記録事項にまとめて付してもよいのでしょうか

という質問に対して

まとめてタイムスタンプを付しても差し支えありません

と明らかになっていて、ある程度の費用の節約ができそうではあります。が、しかしながら、会計の作業自体をアウトソースして、そのまま関連書類もクラウドで保存すれば、全部パックだよね、ということになるかと思います。

この点について例えば、PFUさんだと

納税環境についてもデジタル化を推進し、令和4年(2022年)1月から施行される改正電子帳簿保存法では、国税関係帳簿書類を電磁的に保存するための要件を大幅に緩和し、経理のペーパーレス化が大きく後押しされます。この機会に書類の電子化を始めて、経理の生産性向上、テレワークを実現しませんか。

という話ですし、また、

「電子帳簿保存法に対応 ペーパーレスで業務効率化」

という宣伝文句が、いろいろなところで、でてきているところです。

電子取引関係について

この部分については

  • タイムスタンプ要件及び検索要件についての要件の緩和
  • 電磁的記録の出力書面等の保存をもってその電磁的記録の保存に代えることができる措置の廃止
  • 隠蔽し、又は仮装された事実があった場合-事実に関し生じた申告漏れ等に課される重加算税が10%加重

が改正点です。タイムスタンプ要件の緩和については、上でふれたところです。

検索要件についての要件の緩和については、

基準期間の売上高が1,000 万円以下である方(小規模な事業者)について、税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には、検索要件の全てが不要

となるというものです。

上のような電子帳簿法の改正が、会社の経理活動にどのような影響を与えうるのでしょうか。私自身のイメージとしては

 

というのを考えています。

従来型のローカルでデータをローカルに入力して、注文書・契約書・領収書などは紙で保存していくというのが、だんだんと、データをクラウドに保存していくし、また、証憑もスキャンしてクラウドで保存していく、また、証憑も取引の相手方のサービス(例えば、交通機関のクラウドサービスとAPI接続で、データを自動的によみだすことで十分とする)との外部連携がなされていくことになるものと思われます。(電子経理の枠が、従来の企業の枠を飛び越えているのは、そのことを意味しています)

そして、このような動きを決定的なのにする可能性を秘めているのが、電子インボイス(e-Invoice)の導入になります。

電子インボイスの導入

最初の日経新聞の記事に戻ります。

消費税額を正確に徴収するための「インボイス制度」も23年に始まる。

ということで、インボイス制度を見ていきます。資料としては「適格請求書等保存方式の概要 インボイス制度の理解のため」(国税庁)があります(以下、概要といいます)。

適格請求書(インボイス)(令和5年10月1日から)とは何かということですが、売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものとなります。概要では、

売手が、買手に対し正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段」であり、登録番号のほか、一定の事項が記載された請求書や納品書その他これらに類するものをいいます。

ということになります。

これについては、「請求書や納品書、領収書、レシート等、その名称は問いません」とされていますし、また、

適格請求書の交付に代えて、電磁的記録(適格請求書の記載事項を記録した電子データ)を提供することも可能です

とされます。

そもそも、上の概要では、適格請求書等保存方式とは

複数税率に対応したものとして開始される、仕入税額控除の方式です。

とされています。

適格請求書の記載事項としては、(適格簡易請求書を除く)

  • ① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
  • ② 取引年月日
  • ③ 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
  • ④ 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
  • ⑤ 税率ごとに区分した消費税額等
  • ⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

があります。ちなみに、この「登録番号」は、課税事業者が取得することができ、課税事業者は、所轄税務署長に対し「登録申請」を行う必要があるのですが、本年10月よりその「登録申請」の受付が始まります。

ここで、上の概要の9頁になりますが、いわゆる電子インボイスについての記述があります。

  • 適格請求書は、書面での交付に代えて、電磁的記録(電子データ)で提供することができます(電子インボイス)。
  • 適格請求書に係る電磁的記録の記録事項は、書面で適格請求書を交付する場合と同じです。
  • 適格請求書に係る電磁的記録の提供方法として、例えば、受発注に係るオンラインシステムを介した連絡(いわゆるEDI 取引)、電子メール送信、インターネット上のサイトを通じた提供、記録用媒体での提供などがあります。

ということです。

この電子インボイスで留意しておくべきことは、当然に標準規格に従ってデータが交換されるべきことになる、ということで、これについては、

内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室 加藤 博之「インボイス制度とは何か? 制度設計者が基礎から解説する具体的で現実的な対応方法」という資料があります。

インボイス制度においては、仕入税額控除の適用を受けるためには、一定の方法により、その請求データ(電子インボイス)の保存が必要となり、この「一定の方法」は、電子帳簿保存法に準じた方法である必要があります。そこで上の電子取引関係についてのタイムスタンプ要件及び検索要件についての要件の緩和が今後、聞いてくるものと考えられます。

電子インボイスについては、その電子的なデータの交換の使用が決定されて、共通に使えるようになることが必須であると考えられますが、国際標準であるPeppolをベースに日本標準仕様を策定するということになっています。この点については、「電子インボイスとは」が参考になるかと思います。

なお、Peppolには、データ形式の意味とトラストサービスの枠組みがあって、その点は、私のブログですと、

で検討しています。そうすると、最初にみた経理の業務は、

デジタルトランスフォーメーションのおおきな潮流のなかで、経理市場は、クラウドによる会計・契約・経理・保存の一括処理を目指して動いていくということになるような気がします。

でもって、この市場を押さえるのは誰になるのか、ということになります。

  • 会計ソフトのプロバイダ
  • タイムスタンプ等のプロバイダか
  • 電子契約のプロバイダか
  • IDをもっているプロバイダ

か。「デジタル経理市場に照準」というよりも、いろいろなプレイヤーが、協力・裏切り・対抗を繰り返して生き残りを図っていく、といういわば、バトル・ロイヤルになるものというのが私の意見です。(プロレスのバトル・ロイヤルについては、こんな感じ

でもって「必殺技」もっているのは誰か、ということになります。

個人的には、IDをもっている人のような気がしますが、とにかくインフラとなるためにまず数をとる戦略が生きてくるものと思われます。まだ、ゴングがなる前の入場シーンのような気がします。

 

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