Space-Final FrontierといえばStar Trekのオープニングがながれてこないといけないわけですが、(オリジナルシリーズのファンの方は、こちらをどうぞ
英国王立研究所が、「宇宙-サイバーセキュリティの最後のフロンティア ?(Space, the Final Frontier for Cybersecurity? )」という報告書をだしています。この研究は、笹川平和研究財団とチャタムハウスのパートナーシップによるもので、「人工衛星のセキュリティ-サイバー攻撃への脆弱性」をテーマにしています。具体的には、サイバー攻撃が、人工衛星やその他の宇宙資産を破壊し、機能を妨げるか、政策と技術のブレンドによって、国際協調を促進し、問題を解決するための方策はなるかを議論することを目的としたものです(5頁)。
基本的な認識としては、世界のインフラ(通信、航空、海上運送、金融およびビジネスサービス、気象環境モニタリング、防衛システム)が、宇宙インフラ(衛生、地上局、データリンク)に依存している。具体的には、 global navigation satellite system (GNSS) にいろいろな仕組みが依存していることが紹介されています(3頁)。
この認識をもとに、とくに3章は、脅威、リスク、傾向を論じています。
脅威のマッピングにおいては、
宇宙技術の発展自体、宇宙に民間企業や個人が参加しうるものとなってきていること。また、この脅威自体、従前は、国/軍事組織しか問題を起こし得なかったものが、現在は、国際犯罪組織、テロリストグループなどが脅威を引き起こしうるものとなってきていることが取り上げられています(9頁)。
そして、衛星に対してのサイバー攻撃としては、ジャミング、なりすまし、通信ネットワークに対するハッキングがある。これらの結果として、衛星を乗っ取り、「兵器化する」ことも可能であること、また、制御システムやミッション・パッケージ、また、衛星コントロールセンターなどの地上インフラを標的とする、ことがあげられています(同)。
その結果、衛星およびその他の宇宙資産は、サイバー攻撃に対して脆弱である。宇宙におけるサイバー脆弱性は、地上における重要なリスクを提起しており、宇宙環境のセキュリティの問題は、経済発展の阻害事情となり、社会にとってのリスクとなる。
報告書は、サイバーセキュリティの観点から興味深い案件も紹介しています(10頁)。具体的には、ランドサット7号地球観測衛星が妨害をうけた事件(2007年2008年)、Terra AM-1地球観測衛星が、一日に2分間妨害をうけた事件(2008年)、重大なハッキングの後に、衛星データ情報システムがオフラインになった事件(2014年)などがあります。
具体的な脅威の技術側面等については、続きます。