市場初の「宇宙犯罪」!?と国際宇宙基地協力協定

「史上初の「宇宙犯罪」!? NASA飛行士が口座不正アクセスか」という記事がでています。

不正アクセスなので、piyokangoさんのまとめもでています。

BBCは、「宇宙で法律はどう適用される?」として、「ISSには現在、アメリカとカナダ、日本、ロシア、そして複数の欧州国が関わっている。国際宇宙法では、ISSに属している人や物に対しては、それぞれの国の法律が適用されることになっている。」とかいています。

でもって、このあたりの詰めが甘いなあということで、「「月で生まれた赤ちゃん」はどこの国の出身?など宇宙に関する世界の法律まとめ」という記事をもう一度読んでみました。

「国際宇宙ステーションを使用する国々が合意してるISSのルール「国際宇宙基地協力協定」にあります。」ということなので、読んでみましょう。協定は、これです。

関連する規定は、同協定22条です。

第22条 刑事裁判権宇宙におけるこの国際協力の独特の及び先例のない性格を考慮し、

1 カナダ、欧州参加国、日本国、ロシア及び合衆国は、いずれかの飛行要素上の人員であって自国民である者について刑事裁判権を行使することができる。

2 自国民が容疑者である参加国は、軌道上の違法な行為であって、(a)他の参加国の国民の生命若しくは安全に影響を及ぼすもの又は(b)他の参加国の飛行要素上で発生し若しくは当該飛行要素に損害を及ぼすものに係る事件において、影響を受けた参加国の要請により、当該影響を受けた参加国と訴追に対してそれぞれの国が有する関心について協議を行う。この協議の後、影響を受けた参加国は、この協議の終了の日から90日以内に又は相互に合意されたその他の期間内に次のいずれかの条件が満たされる場合に限り、この事件の容疑者について刑事裁判権を行使することができる。(1) 自国民が容疑者である参加国が当該刑事裁判権の行使に同意すること。 (2) 自国民が容疑者である参加国が訴追のため自国の権限のある当局に事件を付託するとの保証を与えないこと。

となっています。

1項は、属人主義ということでしょうか?

2項は、属地的に影響が会った場合に、協議を経た上での刑事裁判権ですね。

アメリカだと、無権限アクセスについては、連邦の1030条での処罰になります。ちょっとした解説だと、私の報告書をどうぞ。でもって、連邦の保護されたコンピュータにたいしての域外からのアクセスに対して犯罪が成立したような気がします(いろいろと議論があった気がします)。

実体法が適用されても、刑事裁判権の適用は、どうなのか?ということで、上の協定の規定が意味がでてくるわけです。

すると、日本の人が、アメリカにISSから、不正アクセスをしたら、どうなるの?ということになりますね。アメリカも、2項で、協議を求めて、その上で、起訴するとかなりそうです。わが国の不正アクセス禁止法も、適用されて、その場合には、1項でしょうね。

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