高市早苗「安全保障分野のサイバーセキュリティ」というコラムがでています。
コラムの前半は、具体的な国家支援攻撃の具体例および各国のサイバードメインの認識が紹介されています。
これらの認識をもとに、後半では、「政治的には困難で大きな課題ではありますが、私は個人的に、「サイバー反撃を行わざるを得ない場合の法的課題の整理」や「サイバー反撃権の根拠法整備」については、作業を開始するべき時が来ていると考えています。」という意見が述べられています。
前半部分は、業界の人にとっては、当然の前提なので、ここでは、ふれません。
後半について、ちょっと検討していきます。といっても、ちょっとした感想です。
(1)タリン・マニュアルが紹介されていますが、この知識は、タリン・マニュアル1.0の段階のご紹介ですね。タリン・マニュアル2.0は、むしろ、「武力攻撃」の閾値以下の場合についての主権や対抗措置、デューデリジェンスについての詳細な分析がなされています。
(2)日本で「サイバー自衛権行使の可否」を議論することには、相当な困難が予想されます。>となっていて、証拠取得の困難性等からのアトリビューションの困難性があげられています。これは、他の国にとっても、ほとんど同じです。なぜに日本で、となっているのでしょうか。情報機関の貧弱さをいっているのか、証拠取得方策の問題をいっているのか、どうなのでしょうか。むしろ、自衛権にもとづく「有形力」の行使が議論されていないというのをいいたいのかもしれません。そうだとすると、アトリビューションの困難性をいうのはおかしいことになりますね。
そのあと、有識者ヒアリングについての話なので、スルーして、
(3)「『第1次提言』の執筆中で、本部長である私自身も時間を見つけてはパソコンに向かって作業中です。」とのことです。
多分サイバーセキュリティ戦略の改訂の話で、対抗措置の整理を考えているという報道に対応しているのかとおもいます。これは、昔、ブログでふれていますが、「自衛権」として整理するのか、「対抗措置」で整理するのか、ということが論点としてあるということかとおもいます。
法的な観点から、耐えられるような、第一次提言をお待ちしています、ということになりますね。