2010年代後半
各国の衛星に対する工作なのか故障なのかを疑わせる事件が増加している。
2016年 IRNSS 1A の原子時計故障
この事件は、2016年7月にIRNSS 1Aのルビジウム原子時計の故障が発生したという事件です。(ちなみに、現在は、秒は、「セシウム133の原子の基底状態の二つの超微細準位の間の遷移に対応する放射の周期の91億9263万1770倍の継続時間である」と定義されています)
IRNSS-1(Indian Regional Navigation Satellite System (IRNSS))は、インド地域航法衛星システムの最初の世代の測位衛星であり、静止軌道に配置される7機構成の衛星です。インド国民にGPSのサービスを提供し軍に監視機能を提供するために用いられます。
しかしながら、この代替機であるIRNSS 1Hも、発射装置の故障により失敗しています(2017年8月)。なお、IRNSS 1lが、2018年4月に打ち上げに成功しています。
2017年 GALILEO 原子時計の故障
上記のIRNSS 1Aの原子時計故障の事件とも関連するが、2016年末より、原子時計の故障によるデータの異常が発生したことが判明しました。
このデータの異常の原因についての調査がおこなわれ、その調査の結果、Galileo(ヨーロッパのGPS代替システム)の原子時計が故障していたことが判明しました。具体的には、ルビジウム時計がコンポーネントとして故障しており、短絡を起こしていたとされました。
Galileoシステムというのは、23222キロメートルの軌道上で、完全稼動時には、30の衛星で運営されます。正確さは、専門には1メートル、一般には5メートルといわれます。
2017年 GPS妨害事件
この事件は、2017年6月22日に黒海の船舶に対して、GPSなりすまし攻撃がおこなわれて、黒海を航行中の船舶が自分の位置を誤表示したという事例です。(記事は、”Mass GPS Spoofing Attack in Black Sea?”)
ロシアのNovorossiysk付近であるにもかかわらず、25海里離れた場所を表示していたというのが実際の事案です。
米国コーストガードが調査した結果、コーストガードの場においては、GPS信号は、正確であって、ソフトウエアのアップデートについて確認するようにという連絡がなされました。ロシアが、このなりすまし攻撃の背景にいるのではないかと分析されています。