Day2 最後は、The Emerging Understanding of International Law in Cyberspaceというセッションです。10年以上前から、サイバーに関する調査で知っているStefanoさんの登場です。あと、Heliさんも日本に来たときに、いろいろとお話をしました。
最初は、Heli Tiirmaa-Klaarさんは、現在は、エストニアの外務省の Ambassador at Large for Cyber Securityです。日本でお会いしたとき(2015)は、EUサイバー政策調整課長でした。そのあと、ボストンでもお会いしました(2016)。狭い世界とは、このことです。
サイバーセキュリティ枠組みについてのお話です。世界の安定性について国連の政府専門家会合(UN GGE)の2014、2015の報告書の成功裏に終わったこと(この関係の私のブログは、これ)、サイバースペースにおける主権の話、国連憲章が、サイバーにも適用されることが、2014年で確認されたことなどがなされました。
また、能力構築が議論されており、EU外交ツールボックスが紹介されました。
Mr. Nikolas Ottさんは、OSCEのProject Manager です。タイトルは、「国際的なサイバー外交における地域組織の役割」です。彼の論文は、マリアさんと共著なのですが、論文集の321頁以下です。
論文集では、最初にUN GGEの現状が紹介されています。(講演では、この部分はなかったような気がします)
法と政策については、4つの柱(GGEによる)があり、その柱とは、(1)規範・ルール・原則 (2)信頼醸成措置 (3)国際的協力 (4)国際法の適用です(2015年の報告)。
この観点からすると、地域組織の役割とは、(法と政策の)インキュベーターであるとともに、実装者であるということなります。すなわち、国際法の適用を確かにして、情報を共有して、ひいては国家間の関係を安定化する役割になります。
実装については、相互の支援がなされており、また国際的なものと地域的なものとの協力がなされています。
実際のワークプランや地域でのロードマップが構築されており、実際にOSCE、ASEAN、OAS、EUなどが行動しています。そして、2018年のUN GGEのプロセスによると、国連軍縮部(UNODA)との協力が提案されていたというのが注目されるべきとされています。
Dr. Stefano Meleは、Carnelutti Law Firmのパートナーで、2017のCodeblueでも講演してくれました。2007の調査から、いろいろと助けてもらっています。
講演の内容は
G7の役割に触れたあと、
二国間における関係の利点について、外交関係にはいる国を選択することが可能なこと、それぞれの義務を設定するのが容易であり、秘密にもしやすいこと、より詳細なさだめをなし、また、変更も容易であること、などがあげられます。
国際的な関係や地域の関係については、国際法や欧州法の原則に基づいて抑止戦略を構築することがなされており、特に、欧州の制限措置についての決定が紹介されました。
また、2016年には、サイバー活動についてのG7原則が明らかにされています。この原則は、人権、プライバシー、データ保護についての保護を意図した原則を再確認し、テロリズムやサイバー犯罪についての闘いのための情報共有と協力を確認しています。また、サイバー攻撃が、武力の行使(use of force) 、武力攻撃(armed attack)となりえ、自衛権の行使を正当化しうるものとなりうることを明確に確認しています。
2019年には、ディナール宣言がなされています。これは、私のブログで、速報しているので、そこで。
2018年には、サイバースペースのトラストとセキュリティのためのパリ・コールがありました。全文は、こちらというのは、day2 (1)でも紹介しました。
内容としての注目点は、(1)市民・重要インフラ・サプライチェーン・投票システムを守るために、ベストプラクティスと教訓を共有すること (2)信頼醸成措置を促進し・実行すること(3)非国家行為者・民間企業によるハックバックの禁止があります。
ということで、昼間のセッションは、終了。
夕方からは、ビーチスタイルで来てくださいといわれているディナーパーティです。(でも、街中は、15度Cくらいなんですが)
でもって、場所は、テラスビーチという室内ビーチ(?)。
確かに、一歩中に入ると、中は、温かくて、半袖スタイルでした。