Libra(リブラ)について、「新通貨・リブラが促す中銀デジタル通貨と通貨主権の侵害」とか「G7、Facebookの仮想通貨リブラは「最高水準の規制が必要」という記事が出ています。
これらの記事で、ポイントとなるのが、リブラが国の通貨主権に対して、脅威となるということです。
とはいっても、「通貨主権」というのについての、包括的な研究というのがなされていない様な気がしています。というか,世界的にも、ほとんどない状態のようです(Zimmermannの“A Contemporary Concepts Of Monetary Sovereignty”の冒頭の用語。)
そこで、とりあえず、今のところの考えをまとめておきたいと思います。
最初は、定義です。「通貨主権」(Monetary Sovereign)は、国家が、排他的に、法的に通貨(currency)をコントロールする権能を意味している、と定義することができます。
問題は、その内容です。私としては、通貨を発行する権能、通貨を流通させる権能、決済をコントロールする権能の局面に関する種々の権能についてのアンブレラ的な考え方として整理しておきます。
これらの権能に含まれるものとしては
- 通貨の創造
- 貨幣政策の指揮の権限(マネーサプライ 準備預金制度)
- 交換レート政策の決定
- 決済に関する法的規制の権限
- 領域外に対する流通のコントロール
- 徴税・政府債の収集・支払のコントロール
- 金融規制および監督組織
などがある、ということになります。
そうすると、通貨発行益の問題(1),金融政策の問題(2)以外にも、外為法との関係(5)、強制通用力との関係の整理(6)などについてリブラは、調整をしなければならなくなりそうです。