小型無人機飛行禁止法等が、きわめて大規模に改正されているわけですが、その改正(改正は、登録制度、立替納付者、その他)にともなって、パブリックコメントがなされていました(機関としては、10月11日から11月9日まで)。
パブリックコメントのページ(「無人航空機等の飛行による危害の発生を防止するための航空法及び重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律の一部を改正する法律の施行期日を定める政令を制定する政令案」、「航空法施行規則等の一部を改正する省令案」等に関する意見募集について)はこちらです。
無人航空機登録制度の導入について
個人的には、注目すべきは、無人航空機の登録制度(ならびにリモートID制度)になります。この制度をみていきたいと思います。
導入の契機
平成27年12月7日に第一回小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会が開催されました。
「無人航空機等に係る施策について(国土交通省 航空局 令和2年3月) 」というスライドにおいて、「①無人航空機の登録制度の創設について(航空法の一部改正)」が説明されています。
これは、「無人航空機等の飛行による危害の発生を防止するための航空法及び重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律の一部を改正する法律」によってなされています。
この法律は、無人航空機の飛行の安全を確保使用とするものであって、登録制度を導入することによって登録無人航空機の事故等の発生率を2021年度)から2023年度までに半減させるようにしようということを目的としています。
上記の目標を達成するために、法は、
- ①無人航空機の登録制度の創設(航空法の一部改正)
- ②空港管理における機能確保の強化
- ③主要空港における小型無人機等の飛行禁止と違反に対する命令・措置(重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律の一部改正)
の三つの柱を準備しています。
この部分の改正は、2020年の無人航空機等の飛行による危害の発生を防止するための航空法及び重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律の一部を改正する法律案が、6月17日に参議院本会議において全会一致をもって可決され、成立(令和2年法律第 61 号)しました
この改正については、「無人航空機の登録制度の創設 ― ドローン関係法改正案に関する国会論議 ―」(小林 航 (国土交通委員会調査室))という報告があります。この報告は、JDIとサイバーセキュリティの問題についてもふれています。
具体的な条文をみていきます。
上記の法の第1条は、航空法の一部改正になります。
その中で、いままで、「「第九章 無人航空機(第132条-第132条の3)」とあるものを「 第九章 無人航空機 第一節 無人航空機の登録(第131条の3-第131条の14) 第二節 無人航空機の飛行(第132条-第132条の3)」と改正することを定めています。
これは、無人航空機の所有者等の把握、危険性を有する機体の排除等を通じて無人航空機の飛行の安全のさらなる向上をはかろうとする目的を持ちます。
具体的な条文としては、
- 所有者は、氏名・住所等や機体の情報を国土交通大臣に申請(131条の6)
- 国土交通大臣は安全が損なわれるおそれがある無人航空機の登録を拒否することができる(131条の4)
- 登録した機体については登録記号を通知する(131条の6.3項)。
- 無人航空機は登録を受け、かつ、登録記号の表示等をしなければ飛行を禁止される(131条の7)
- 安全上の問題が生じた無人航空機に対し、国土交通大臣が是正命令をなしうる(131条の11)。
- 登録事項変更時の変更届出(131条10)、登録の更新(131条の8)、不正時の取消等の制度についての整備(131条の12)
- 刑事罰も整備されている(157条の5・2号)。
などかあります。
リモートID制度
そして、この登録無人航空機の登録記号を識別するための措置として、発信を義務付けられた識別子/もしくは、その仕組みが、採用されており、それがリモート IDになります。
小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会の15回(令和2年12月3日)において、「リモートIDの導入について」の説明がなされています。また、同日、基本設計案が明らかにされています。
また、小型無人機に関する関係府省庁連絡会議(第11回)(令和2年12月10日)においても、リモートIDの導入についての説明がなされています。
では、実際の技術仕様はどうなのか、ということになりますが、小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会 (第16回)において「 リモートID技術規格書(案)」が公表されています。
政令案/省令案
「無人航空機等の飛行による危害の発生を防止するための航空法及び重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律の一部を改正する法律の施行期日を定める政令を制定する政令案」、「航空法施行規則等の一部を改正する省令案」等について(概要)は、こちらです。
どのような政令、省令が改正・制定されるのかということについては
- 期日政令の制定
- 航空法施行規則の一部改正
- 民間の能力を活用した国管理空港等の運営等に関する法律施行規則の一部改正
- 具体的な手続を定める通達等
- 航空法関連手数料令の一部改正等
- 航空法関係手数料規則の一部改正
になります。
これで、登録制度やリモートID制度に関するものをピックアップします。
期日政令の制定
無人航空機の登録の義務化期日(改正法公布後2年以内)は、令和4年6月20日とされています。
航空法施行規則の一部改正
この「I.無人航空機の登録制度」は、登録が不要なる試験飛行の要件、登録を受けることができない無人航空機の要件、無人航空機登録原簿の記載事項、通知の方法、登録記号を識別するための措置、登録の有効期間、更新の申請及び有効期間の起算日、などが定められることになっています。
特に、無人航空機登録原簿の記載事項においては「リモートID機能※の有無(リモートID機器を外付けする場合にあっては当該機器の製造者、型式及び製造番号)」がふれられています。
また、登録記号を識別するための措置としては、機体表面への物理的な表示とリモートID機能の搭載(原則リモートID機能の搭載を義務付けることとする。ただし、既存機に過度の規制とならないよう、一定の経過措置を設けることとする)とがあります。
そのほかでは、「Ⅲ.無人航空機の飛行前確認事項の追加 」において
無人航空機を飛行させる者が無人航空機を飛行させる前に確認する事項として、リモートIDの作動状況を追加することと
とされています。
具体的な手続を定める通達等の概要
リモートID技術規格
リモートID機能による遠隔識別を確実に行うため、リモートID機器の製造・開発に当たり従うべき要件について技術規格書を定める。
とされています。
また、
趣味目的のラジコン機についての登録申請に当たっての負担の軽減等について関係団体よりご要望をいただいており、この点については引き続き検討を行ってまいります。
というのは、興味深いです。