DAOを作る/作ってみた時の法律問題

チャットボットを作って以来、あまり、最新の技術をいじってみなかったので、遅ればせながら、DAOを作ってみましょうと思っています。

DAO というのは、Decentralized Autonomous Organizationの略です。分散的自律組織ということになります。

0 ミッション決定

もともとは、2022年6月11日に勉強会でお話しするのに、文献でお勉強していて、それで法律問題を語っても嘘くさいので、自分で、DAOを作ってみましょう、ということです。勉強会は、「DAO(Decentralized Autonomous Organization)の法規制について (日本版DAO法を考える)」です。申し込みは、こちらです。

でもって、面白そうな企画なのですが、作ることだけで満足していては、仕方がないので、

  • DAOに働いてもらこと
  • 個人は、DAOに、お金と労力を提供すること

にしました。すると、DAO自体にも目標が必要になります。

最終的なミッションは、

エストニアのタリンのスタートアップのコンファレンス(Latitude 59)に応募して、エストニア旅行をする

ということにしました。

でもって、そのためにどうするか、というと

  1. 政府機関等からのリサーチをDAOで受託して報告書をあげて、報酬をイーサで受領する
  2. その際に生じる種々の問題をDAOの解説とともに日本語で出版する
  3. 上の2の報告書をDAO上で、ネイティブチェックを募集して、英語版にして英語で出版する

というのを具体的なミッションとして設定しました。

はたして、うまく実行できるでしょうか。

——-

まずは、DAOの設立です。

このための資料になるページは、「DAO運営を簡単に実現できる「Aragon」の解説」を参考にしました。

1 アカウントの作成

DAOを作成するために「アカウント」に接続する必要があります。なので、まず、ウォレットを作成します。ここで、ウォレットの概念自体が問題になりますが、ブロックチェーンウォレットとは?種類ごとの特徴を徹底解説!」のページをみると、

ブロックチェーンにおけるウォレットとは、暗号通貨を取引するためにつかうウォレットアドレスのことを指すのが特徴です。

とされています。もっとも、暗号通貨の残高確認や送金をおこなうアプリやWEBサービスであるウォレットアプリのことも意味するということになりそうです。

このウォレットアプリのなかで、ポピュラーなのが、MetaMaskになります。この説明のページは「「MetaMask」と接続するWebでページを作る」です。

MetaMaskのページに移動しましょう

でもって、Youtubeでの説明画面はこちらです

作っていくと、こんな感じです。

まずは、開始。

ウォレットを作成です。そもそも、ブロックチェーン上のアカウントを示すアドレスがあって、それをアプリケーションで操作することになります。

そのウォレット(アプリ)を操作するための秘密鍵と、その秘密鍵を回復するためのシークレット回復フレーズがあります。これは、とても大切なので、手元に控えておきます。

 

ということで、アカウントができました。

ということで、他のネットワークと接続するのに0.2イーサの費用がかかるので、最低限は、入金しておきます。

2 Aragonとの接続

2.1テストネットワーク

まずは、DAOのの設立のために実験ということですと、テストネットワークでもって、接続することが薦められているようです。テストネットワークという言葉が出てきますが、これは、「Testnet」(DMM Bitcoin)によると別に価値を持たない擬似的なコインを本物のビットコインのように取り扱うことができるネットワークのことをいうとなります。

そこで、Ethereumネットワークは、Mainnet、Ropsten、Kovan、Rinkebyの4種類存在します。(「ブロックチェーンで動くTodoアプリを開発しよう!」による。)テストネットとして、Rinkebyをえらんで、コインをもらうことにします。

このもらい方についての記事は、ここです。が、私の場合は、Rinkebyからもらおうとしたのですが、うまくいかなかったこともあって、実際のネットワークでもって、DAOの設立を実験(?)することにしました。

2.2  Aragonで設立してみる

ということで、DAOを設立するためのプラットフォームとしては、Aragonを使うことにしました

 

これで、DAOを作成するというところをクリックするとこんな感じで、アラゴン・クライアントアラゴン・ガバーンの選択が現れます 。

でもって、それぞれ、何かということになります。

2.2.1 アラゴン・ガバーン

この考え方を示すのは、以下の図になります。キャッチフレーズは、「あなたのDAOに最適なガバナンスを」ですね

 

なので、予定実行がなされて、異議(challenged) がなさない限り、そのま実行がなされるという仕組みです。今回は、まずは、フルスケールでやってみたいので、アラゴン・クライアントを選択することにします。

2.2.2 アラゴン・クライアント

これは、「あなたのガバナンスのすべてのニーズに答えるソリューション」がキャッチフレーズです。

ちなみに右上でアカウントと接続の欄がありますが、これをクリックして、上で作っていたメタマスクのアカウントと接続します。

組織の「新規作成」か「既存組織を開く」かを選択します。

テンプレートが現れます。種類は、

  • カンパニー
  • メンバーシップ
  • 評判
  • オープンエンタープライズ
  • たんぽぽ(ダンデライオン)
  • ファンドレイズ

があります。ただし、オープンエンタープライズ以降は、開発停止のようです。

それぞれ、ガバナンスの構造と組み込まれている機能が違います。カンパニーの主たる機能としては、

  • 投票
  • トークン
  • ファイナンス

になります。

が、これが、オープンエンタープライズになると

  • アドレスブック
  • アロケーション
  • ドット・ボーティング
  • プロジェクト
  • リワード

が追加されます。今回は、まず作ってみるので、カンパニーでいきます。

名前を決める

このテンプレートを使うことにするとき、最初のステップは、名前を決めることです。

ここで会社の名前をいれておきます。

次のステップは、「テンプレートの構成(Configure template)」になります。

ガバナンスの決定

一番上の「サポート」というのは、

Supportは、提案が承認されるために “Yes “の投票が必要とされるトークンの相対的な割合です。例えば、「支持率」を50%に設定した場合、議案の可決には、投票に使用されたトークンの50%以上が「はい」に投票する必要があります。

となります。

 

真ん中の

Minimum Approvalは、ある提案が承認されるまでに、トークン供給量の20%以上が “Yes “と投票する必要がある割合です。例えば、”Minimum Approval “が20%に設定されている場合、議案が可決されるには、発行済みトークン数の20%以上が “Yes “に投票する必要があります。

となります。

トークンの設定

次は、トークンの設定です。これは、トークンの名前、略称、ホルダーを決めていきます。

会社の設立発起人みたいなものです。

この設定が終わると最終確認です。

さて、DAO 設立だ-と力んだのも束の間。

「資金が不十分です」

との文字。このMetamaskのところだけを分析すると

となります。600ドル強ですか。結構、いきますね、まあ、仕方かないかと、口座残高を増やして、また日にちを変えてやった結果がこちら。

今度は、900ドル(!)。DAOひとつ作るのにも大変だなあということで、ちょっと、心が折れて一時、脱落。それは、さておき、ガス代について、もうすこし調べることにしました。

3 ガス代とDAOの設立

3.1 そもそもガス代って

ガス代というのは、イーサリアムのブロックチェーンにおける取引手数料をことになります。

詳しい説明方は、「リアルタイム】イーサリアムのガス代を確認する方法「ガス代(ネットワーク手数料)が安いのは何時(いつ)?1週間のガス代調べました」などがあります。

要するに、日によってガス代は、かなり変動すること、あと、処理速度を変更することで、低額化を図れるということでした。

3.2 再度挑戦

土曜日の朝に再度、挑戦してみました。すると、

ガス代の優先度を編集すると、0.3イーサで処理ができることになりました。なので、これを保存して、この処理を承認しました。

3.3 処理の実行とDAO設立

でもって、承認を押すと、こんな感じです。

左下のところでは、時間がかかります、このまま待つようにというコメントがでています。進捗状況とかもでないので、不安ですが、15分くらいして、DAOができました表示がでました。

でもって、DAOができましたという表示がでます。

まさに、何をしましょうか、というところです。

3.4 実際のガス代

でもって、終了後の私のアカウントのバランスは、こちらです。

もともとは、0.7イーサがはいっていたので、使ったガス代は、0.286イーサとなります(6万円強くらいでしょうか)。

基本的には、DAOの法律問題の原稿料あたりで、回収はできるかもしれませんが、本格的な調査とかを請け負わないときついです。

4 DAO設立と法律のかかわり

ということでDAOを設立したわけです。

でもって、今後、このDAOが、活動して、例えば、構成員が、DAO のためにお仕事をして、DAO がお金がたまって、配当するとか、構成員を海外出張させるとかができましたてくるわけです。

だとすると、法律との関わりが出てくるだろうなあと思います。ちょっと思いつくだけでも

  1. 法律との関わりといったって、そもそも、どこの法律なんだろう。
  2. その法律とのかかわり方で、そもそも、どのように位置づけられるの?(権利能力社団とか?)
  3. 日本で入札に参加できるのだろうか
  4. 報酬は、どうやって、もらうの?
  5. 税金ってかかるの?
  6. 投資家を集めるプラットフォームとして使えるの?
  7. ロシアの人が投資したいといってきたらどうするの?

..

などたくさんの問題がありそうです。

「DAOは、Web3.0だけでタリンにいけるか?-DAOを作ってみる/作る時の法律問題-」の講演のご案内勉強会では、上の法律問題に吉井先生・後藤先生が報告してくれる予定です。

楽しみにしましょう。って、ハードルあげている気がする。

 

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