経済安保のマトリョーシカ-政策・特定重要物資・特定重要技術をめぐる基本指針

特定重要技術の第一次研究開発ビジョンの原案/基本指針案について」のエントリで、政府が財政支援を行う対象を選んだ「第1次研究開発ビジョン(構想)」の原案などについてまとめました。ちょうど、政府は、経済安全保障推進法の基本方針群を決定したところですので、内容について見ていこうと思います。その前提として法の全体像を一覧しおきます。

基本方針の制定といういわば基礎の上に四本の柱が立っています。もっとも、経済安全保障の確立のためには、この四本の柱のみでは足りないわけですが、この四本の柱が重要であるということも否定できないところです。

記事としては、

があります。

閣議(令和4年9月30日)のページはこちらです

経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する基本的な方針について(決定)

1 経済安全保障法の規定

第2条は、基本方針です。

政府は、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。(2条1項)

としています。この基本方針は、

  1. 経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する基本的な事項
  2. 特定重要物資(第七条に規定する特定重要物資をいう。第六条において同じ。)の安定的な供給の確保及び特定社会基盤役務(第五十条第一項に規定する特定社会基盤役務をいう。第四十九条において同じ。)の安定的な提供の確保並びに特定重要技術(第六十一条に規定する特定重要技術をいう。第六十条において同じ。)の開発支援及び特許出願の非公開(第六十五条第一項に規定する特許出願の非公開をいう。)に関する経済施策の一体的な実施に関する基本的な事項
  3. 安全保障の確保に関し、総合的かつ効果的に推進すべき経済施策(前号に掲げるものを除く。)に関する基本的な事項
  4. 前三号に掲げるもののほか、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関し必要な事項

を定めるものとしています。まずは、「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する基本的な事項」をみていきます。

2 構成

この基本的な方針の構成は、はじめに、第1章 経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する基本的な事項、第2章 4施策の一体的な実施に関する基本的な事項、第3章 安全保障の確保に関し、総合的かつ効果的に推進すべきその他の経済施策に関する基本的な事項、第4章  経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関し必要なその他の事項からできています。

図示するとこのような形になるだろうと思われます。

基本方針自体も基礎的な事項の上に、一体的な実施・その他の事項・留意事項が記載されています。構造は、ある意味、法案と同様の形で、マトリョーシカな形になるということかできるかと思います。

 はじめに

ここでは、

本基本方針は、本法で創設された 4 つの施策を含む安全保障の確保に関する経済施策を、本法に基づき総合的かつ効果的に推進するために、これを定めるものである。

ことが明らかにされています。

 第1章 経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する基本的な事項

第1節では、基本的な考え方として、経済活動に関して行われる国家及び国民の安全を害する行為を未然に防止する重要性が増大していること、安全保障上の観点から国家として守るべき対象が経済分野にまで広く
及ぶようになり、また、安全保障を確保するための手段についても、従来の外交・防衛といった手段はもとより、経済上の措置を用いて対処することの必要性が増している、という認識が示されています。

このような認識をもとに、第2節では、「安全保障の確保に関する経済施策の実施に当たって配慮すべき事項」として(1)自由かつ公正な経済活動との両立、(2)国際協調主義、(3)事業者等との連携 があげられています。

 第2章 4施策の一体的な実施に関する基本的な事項

第 1 節 4 施策の一体的な実施に当たっての留意事項では、「4 施策が過不足なく講じられるとともに、各施策の方向性を違えることで関係する事業者等に混乱を生ずることがないように留意するなどして、施策間の一体性・整合性を確保する。」ことが強調されています。

第2節では、規制措置の実施にあたっての留意事項として、比例性、自主性の尊重、競争関係を阻害しないこと、があげられています。

第3節では、基本指針及び政省令を定めるに当たっての留意事項があげられています。そこでは、安定供給確保基本指針、特定社会基盤役務基本指針、特定重要技術研究開発基本指針、特許出願非公開基本指針(以下「基本指針」という。)を定め、又は、支援及び規制の対象等の基本的事項について定める下位法令を制定するに当たって留意することとして、広く意見・情報を募集すること、種々の審査にあたって、安全保障
を確保するために真に必要な範囲に限定するなど、事業者等の経済活動の自由を不当に阻害することのないようにすることがあげられています。

第3章 安全保障の確保に関し、総合的かつ効果的に推進すべきその他の経済施策に関する基本的な事項

第 1 節 重要な産業が抱える脆弱性・強みについての点検・把握では、現在、政府において、国家安全保障局及び内閣府の経済安全保障推進部局が相互に協力して、情報を集約しつつ、様々なリスクシナリオを想定し、複合事態や分野間の相互依存なども意識しながら検討を行う取組を継続することが述べられています。

また、第 2 節では、 安全保障の確保に関するその他の経済施策の統一的・整合的な実施が重要であることが述べられています。

 第4章  経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関し必要なその他の事項

その他の事項としては(1)取組の評価、制度の見直し(施行後 3 年を目途とする)、(2)政府内における情報集約及び総合調整、(3)本法等に関する国民に対する周知・広報及び情報提供、(4)推進体制の構築・強化があげられています。

特定重要技術の研究開発の促進及びその成果の適切な活用に関する基本指針について(決定)

構成

特定重要技術の研究開発の促進及びその成果の適切な活用に関する基本指針 は、はじめに、第 1 章 特定重要技術の研究開発の促進及びその成果の適切な活用に関する基本的な方向に関する事項、第 2 章 協議会の組織に関する基本的な事項、第 3 章 指定基金の指定に関する基本的な事項 、第4章 調査研究の実施に関する基本的な事項 、第 5 章 特定重要技術の研究開発の促進等に当たって配慮すべき事項その他特定重要技術の研究開発の促進等に関し必要な事項からなりたっています。図示すると、このような形です。

はじめにでは、先端技術の研究開発を効果的に推進するためには、積極支援するための新たな枠組み作りが有効であり、先端的な重要技術について、諸外国と伍する形で研究開発を進めるための制度を整備する必要が生じていること、そのような認識のもと経済安全保障推進法が制定されたこと、そこで、特定重要技術を定義した上で、当該技術に関し、官民連携を通じた伴走支援のための協議会の組織(法第 62 条)、指定基金協議会の組織等による強力な支援(法第 63 条)、調査研究業務の委託(法第 64 条)を整備しており、こうした枠組みを通じて、特定重要技術の研究開発の促進とその成果の適切な活用を図ること、となっていることが触れられています。

第 1 章 特定重要技術の研究開発の促進及びその成果の適切な活用に関する基本的な方向に関する事項

ここでは、第 1 節 制度の趣旨 において、他国に優位する技術を保有し、社会実装につなげていくことは、世界が直面する様々な課題への積極的な貢献等を通じて、国際社会において我が国が不可欠性を獲得していくことにつながること、がふれられています。

第2節は、 国の施策で、法61条趣旨が協調されるとともに、必要な情報の提供、資金の確保、人材の養成及び資質の向上その他の措置がそれぞれ、分析されています。さらに、海外への技術漏えいへの対処としての

  • 安全保障貿易管理への適切な対応のための体制の整備
  • 営業秘密保護の強化
  • 研究の健全性・公正性(研究インテグリティ)の自律的な確保に向けた取組

があげられています。そして、これらは、関係行政機関は、これらの枠組みを主体的に活用するとともに、他の行政機関の取組に対し積極的に協力することが求められるとしています。

第3節  特定重要技術は、(1)特定重要技術の定義、(2)調査研究を実施する技術領域、(3)指定基金を用いて研究開発等を実施する技術領域、(4)協議会の組織が可能となる技術領域にわけて検討がなされています。これらについては、「安全・安心に関するシンクタンク機能の構築」における広範囲調査の対象領域、「研究開発ビジョン」などが参照されて議論されるものと考えられます。

経済安全保障重要技術育成プログラム研究開発ビジョン(第一次)(令和4年9月 16 日経済安全保障推進会議・統合イノベーション戦略推進会議決定)において示されている技術が、指定基金を用いて研究開発等を実施する技術領域として適当である。

という記述もあります。これについては「特定重要技術の第一次研究開発ビジョンの原案/基本指針案について」というエントリで紹介した内容になります。図は、こちら。

第 2 章 協議会の組織に関する基本的な事項

これは、第 1 節 協議会の趣旨、第 2 節 協議会の設置、第 3 節 協議会の構成員、第 4 節 協議会の運営、第 5 節 守秘義務 第6節 協議会の解散、第7節 協議会の設置状況等の公表、第8節 指定基金協議会 から成り立っています。

第 3 章 指定基金の指定に関する基本的な事項

これは、第 1 節 指定基金の趣旨、第 2 節 指定基金の対象、第 3 節 指定基金の運営からなりたっています。第 3 節 指定基金の運営は、さらに

  • ア 基本的な意思決定の枠組み
  • イ プログラム会議の開催等
  • ウ 関係行政機関の役割
  • エ 技術流出対策・安全管理措置の実施
  • オ 戦略的な国際研究協力
  • カ その他

にわかれています。

第 4 章 調査研究の実施に関する基本的な事項

これはさらに、第 1 節 調査研究(趣旨、方法、継続性)、第 2 節 特定重要技術調査研究機関(趣旨、要件、その他)からなります。

第5章 特定重要技術の研究開発の促進等に当たって配慮すべき事項その他特定重要技術の研究開発の促進等に関し必要な事項

これは、さらに、第 1 節 政府全体の戦略・各施策との連携、第 2 節 特定重要技術の研究開発等に係る人材の養成及び資質の向上からなりたちます。

前者は、科学技術・イノベーション基本計画(令和 3 年 3 月 26 日閣議決定)や統合イノベーション戦略 2022などのもと、宇宙基本計画(令和 2 年 6 月 30 日閣議決定)、や海洋基本計画(平成 30 年 5 月 15 日閣議決定)、量子技術イノベーション戦略(令和 2 年 1 月 21 日統合イノベーション戦略推進会議決定)、などの種々の計画による研究開発の促進・成果の適切な活用・整合性の確保が唱えられています。

後者は、協議会及び指定基金協議会の組織や指定基金を用いて行われる研究開発等への参画等を通じて、人材の養成と資質の向上を図っていくこと、若手の研究者・技術者等がキャリアパスの一環として学界等で評価される環境を醸成していくこと、安全保障貿易管理や営業秘密保護に関する法令上必要な取組、研究インテグリティとして求められる取組、安全管理措置を適切に実施できる人材を養成・配置していくこと、シンクタンクが優秀な科学者・企業関係者のキャリアパスの一つとしての立場を確立していくことが重要であること、がふれられています。

特定重要物資の安定的な供給の確保に関する基本指針について(決定)

構成

「特定重要物資の安定的な供給の確保に関する基本指針について」は、はじめに、第1章  特定重要物資の安定供給確保の基本的な方向に関する事項、第 2 章 特定重要物資の安定供給確保に関し国が実施する施策に関する事項 、第 3 章 特定重要物資の指定に関する事項、第 4 章 安定供給確保取組方針を作成する際の基準となるべき事項、第 5 章 特定重要物資の安定供給確保のための取組に必要な資金の調達の円滑化の基本的な方向に関する事項 、第 6 章 安定供給確保支援業務並びに安定供給確保支援法人基金及び安定供給確保支援独立行政法人基金に関して安定供給確保支援法人及び安定供給確保支援独立行政法人が果たすべき役割に関する基本的な事項、第 7 章 特別の対策を講ずる必要のある特定重要物資の指定に関する基本的な事項 、第 8 章 特定重要物資の安定供給確保に当たって配慮すべき基本的な事項、第 9 章 その他特定重要物資の安定供給確保に関し必要な事項 からできています。

この基本指針の構成を図示したのは、こちらです。

はじめに

ここでは、

  • 国民の生存に必要不可欠又は広く国民生活若しくは経済活動が依拠しているにもかかわらず外部に過度に依存し、又は依存するおそれがある物資については、安定供給確保を図るための対応を行わなければ、当該物資の供給途絶等又は供給不足(以下「供給途絶等」という。)が生じた場合、国民の生存や国民生活・経済活動に甚大な影響を及ぼす事態に至るおそれがある。
  • 将来に向けて戦略的に産業基盤を構築することが行われなければ、中長期的に、国民の生存や国民生活・経済活動に甚大な影響を及ぼす事態を生じさせるおそれもある。
  • 一部の物資についてはサプライチェーン上の脆弱性が顕在化し、国民の生存や国民生活・経済活動を脅かす事態に発展した事例も見られる

などの認識が示されています。

そこで上で述べた法 6 条第 1 項の規定及び基本方針に基づき、これを定めるということが記されています。

第 1 章 特定重要物資の安定供給確保の基本的な方向に関する事項

第 1 節 制度の基本的な考え方において、「官民の適切な役割分担の下で、特定重要物資等(特定重要物資又はその生産に必要な原材料、部品、設備、機器、装置若しくはプログラムをいう。以下同じ。)の安定供給確保」を目的とすること、政府は当該サプライチェーンが抱える国際的な競争環境・市場動向、我が国の産業競争力等に留意した上でその強靱化を図ることが不可欠であること、過度な負担とならないよう留意するとともに、民間事業者等による創意工夫を生かすことが触れられています。

また、第 2 節 関係行政機関の連携においては、物資所管大臣が複数にまたがる場合や物資所管大臣とそれ以外の大臣との間にまたがる取組が特定重要物資等の安定供給確保に不可欠な場合もあるため、こうした場合には、関係行政機関が特に緊密な連携協力を図るよう留意すること、第 3 節 民間事業者等への適切な情報提供においては、必要な情報提供及び周知・広報(以下「情報提供等」という。)を適切に行うものとすること、サプライチェーンに係る情報の収集に関し、民間事業者等からの必要な協力が得られるよう、十分配慮すること、が論じられています。

第 2 章 特定重要物資の安定供給確保に関し国が実施する施策に関する事項

第 1 節 物資の特性に応じた安定供給確保の取組の推進においては、施策への予見性を可能な限り確保するとともに、物資ごとの特性に応じ、安定供給確保の効果が高いと考えられる取組への支援を優先的に行うものとするとしており、有効な取組を絞り込み、当該取組に必要な支援措置を検討した上で、支援対象となる取組及び当該取組に関し物資所管大臣が実施する施策を安定供給確保取組方針等の形で公表するものとするとされています。また、市場環境の整備、国際的な連携等の推進に必要な措置として

  • 他国からのダンピングや不適切な市場介入等により国内産業への被害の可能性があると思料する場合において、法第 30 条の規定も活用しつつ、国際ルールに則り適切に貿易救済措置を図る
  • 物資所管大臣は、複数事業者が作成する供給確保計画の認定を行おうとする場合には、必要に応じ、公正取引委員会との連携を図り、適正な競争の確保に留意しつつ、企業の連携等の円滑化を図る

があげられています。

第 2 節 重要な物資のサプライチェーンを把握するための調査の実施においては、重要な物資のサプライチェーンの状況を的確に把握するため、必要と認めるときは、法第 48 条第 1項を活用するなどし、重要な物資のサプライチェーン把握のための調査を実施することにより、その調達及び供給の現状並びにサプライチェーンの抱える課題の把握に努めるものとすること、また、調査の実施にあたって、事業者の過度な負担とならないようにすること、民間事業者等の理解を得て、調査への協力を求めること、が論じられています。そして、安定供給確保に向けた取組に対する支援の必要性が認められるときは、特定重要物資の指定を含め、本制度による措置の必要性を検討する、とされています。

第 3 章 特定重要物資の指定に関する事項

第 1 節 基本的な考え方 では、法7条の基本的な考え方が確認されています。ということで、法7条です。

国民の生存に必要不可欠な若しくは広く国民生活若しくは経済活動が依拠している重要な物資(プログラムを含む。以下同じ。)又はその生産に必要な原材料、部品、設備、機器、装置若しくはプログラム(以下この章において「原材料等」という。)について、外部に過度に依存し、又は依存するおそれがある場合において、外部から行われる行為により国家及び国民の安全を損なう事態を未然に防止するため、当該物資若しくはその生産に必要な原材料等(以下この条において「物資等」という。)の生産基盤の整備、供給源の多様化、備蓄、生産技術の導入、開発若しくは改良その他の当該物資等の供給網を強靱じん化するための取組又は物資等の使用の合理化、代替となる物資の開発その他の当該物資等への依存を低減するための取組により、当該物資等の安定供給確保を図ることが特に必要と認められるときは、政令で、当該物資を特定重要物資として指定するものとする。

でもって、この条文の要素は、

  • 重要性
  • 外部依存性
  • 外部から行われる行為による供給途絶等の蓋然性
  • 本制度により安定供給確保のための措置を講ずる必要性

になります。

また、ここで、当該物資の
生産に必要な原材料等(原材料、部品、設備、機器、装置又はプログラムをいう。以下同じ。)が多岐にわたり、そのうち特定のものについて安定供給確保を図る必要がある場合には、当該原材料等を特定重要物資として指定することも妨げない、とされています。

第 2 節 重要性においては、(1)国民の生存に必要不可欠 というのは、事象の重大性、影響範囲及び代替が困難であることを総合的に考慮すること、(2)広く国民生活又は経済活動が依拠しているとは、事象の重大性、影響範囲及び代替が困難であることを 総合的に考慮するとされています。

第 3 節 外部依存性においては、(1)外部に過度に依存(供給が特定少数国・地域に偏っており、当該特定少数国・地域からの供給途絶等が発生した場合に甚大な影響が生じ得るものをいう。-物資ごとの特性を踏まえつつ、特定少数国・地域に依存・集中している程度、国内外からの代替供給確保の可能性及び短期的な供給途絶等への脆弱性の程度を総合的に考慮)、(2)外部に過度に依存するおそれ(我が国が措置を講じなければ将来的な外部依存のリスクの蓋然性が認められるもの-物資の重要性及び成長性、国内外の諸動向等を総合的に考慮)が論じられています。

第 4 節 外部から行われる行為による供給途絶等の蓋然性においては、国際関係等の様々な要因が影響し得るものであり、例えば、供給国・地域による輸出の停止・制限、当該供給国・地域内への優先的な供給の実施、生産抑制につながる制限の導入・強化等、外部から行われる行為により想定される供給途絶等のリスクを総合的に考慮するとされています。

第 5 節 本制度により安定供給確保のための措置を講ずる必要性においては、本制度による施策が特に必要と認められる場合に指定を行うことであるとして、従前からその安定供給確保が政策的課題であり、別途の制度的な措置を講じている場合かどうか、安定供給確保のための措置を講ずることの優先度が高く、特にその必要性が認められる場合かどうか、について検討するとされています。

第 6 節 解除の考え方では、将来の社会経済情勢や国際情勢等を見据えて安定供給確保の必要性の有無等を慎重に検討した上で、更なる安定供給確保のための措置を講ずる必要が小さくなったと考えられる場合には、その指定を解除するものとされています。

第 4 章 安定供給確保取組方針を作成する際の基準となるべき事項

第 1 節 安定供給確保取組方針を定める際の基本的な考え方においては、安定供給確保取組方針を定めるに当たっては、関係する政府の方針や国内の動向、国際的な政策の動向等を踏まえること、民間事業者、業界団体その他の関係者の意見を十分考慮し、基準を可能な限り明確に示すとともに、客観性・公平性や透明性が可能な限り確保されるよう十分留意すことがふれられています。

第 2 節 安定供給確保取組方針に定めるべき事項においては、下記の事項が定められるべきとされています

  • (1)対象となる個別特定重要物資等の安定供給確保のための取組の基本的な方向に関する事項(① 現状認識、② 指定要件の該当性 、③ 特定重要物資の安定供給確保に関する目標)
  • (2)個別特定重要物資等の安定供給確保のための取組に関し主務大臣が実施する施策に関する事項(① 施策の基本的な方向、② 実施する施策、③ 施策に係る留意事項)
  • (3)個別特定重要物資等の安定供給確保のための取組の内容に関する事項及び当該取組ごとに取組を行うべき期間又は取組を行うべき期限(① 取組の対象範囲、② 安定供給確保の目標、③ 取組ごとに取組を行うべき期間又は取組を行うべき期限、④ その他必要と認める事項)
  • (4)個別特定重要物資等の安定供給確保のために安定供給確保支援業務及び安定供給確保支援法人基金又は安定供給確保支援独立行政法人基金に関して安定供給確保支援法人又は安定供給確保支援独立行政法人が果たすべき役割に関する事項
  • (5)対象となる個別の特定重要物資に係る法第 44 条第 1 項の規定による指定に関する事項
  • (6)個別特定重要物資等の安定供給確保に当たって配慮すべき事項
  • (7)(1)~(6)に掲げるもののほか、個別特定重要物資等の安定供給確保に関し必要な事項

第 5 章 特定重要物資の安定供給確保のための取組に必要な資金の調達の円滑化の基本的な方向に関する事項

この章においては、制度の運用に当たっては、特定重要物資等の安定供給確保のための取組に必要な資金の調達の円滑化に十分留意するものとするとともに、民間事業者等の自由な経済活動を極力阻害せず、民間事業者等による創意工夫を生かした形で、取組を促進していくことに十分留意するものとする。また、指定金融機関等は目利き・助言等を必要に応じ行うものとする、とされています。

第 6 章 安定供給確保支援業務並びに安定供給確保支援法人基金及び安定供給確保支援独立行政法人基金に関して安定供給確保支援法人及び安定供給確保支援独立行政法人が果たすべき役割に関する基本的な事項

第 1 節 安定供給確保支援法人又は安定供給確保支援独立行政法人の選択に関する事項、第 2 節 安定供給確保支援法人又は安定供給確保支援独立行政法人の指定に関する事項、第 3 節 安定供給確保支援業務の内容及びその実施体制に関する事項、第 4 節 安定供給確保支援法人基金及び安定供給確保支援独立行政法人基金の管理に関する事項、第 5 節 安定供給確保支援業務の情報の管理に関する事項 が論じられています。

第 7 章 特別の対策を講ずる必要のある特定重要物資の指定に関する基本的な事項

第 1 節 特別の対策を講ずる必要のある特定重要物資の指定に関する事項では、当面の間、特定重要物資の安定供給確保が困難と認められ、 特定重要物資等のうち、法第 44 条第 6 項に規定する措置(国が自ら実施する備蓄その他の措置をいう。以下同じ。)の実施を通じて、安定供給確保のための取組を図ることが特に必要と認められること、当該特定重要物資等について、民間事業者等が法第 44 条第 6 項に規定する措置を行おうとすることがその経済性に照らし困難と判断されることの場合には、法第 44 条第 1 項に基づく指定を行うことができるとされています。

また、第 2 節 指定解除の考え方、第 3 節 その他留意事項がされています。

第 8 章 特定重要物資の安定供給確保に当たって配慮すべき基本的な事項

この章においては、第 1 節 国際約束との整合性の確保に関する事項、第 2 節 経済活動における人権の尊重、第 3 節 関係者の意見の適切な考慮、施行状況の情報提供等に関する事項 が論じられています。

特定重要物資の具体的な指定について

報道によると半導体やレアアース(希土類)が指定さるものと考えられています。

 

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