「高まる「宇宙依存」、軍事衛星へのサイバー攻撃に英RIIAが警鐘」という記事が、MIT technology Reviewででています
記事としては、チャタムハウスの「Cybersecurity of NATO’s Space-based Strategic Assets」という報告書の要約です。
チャタムハウスとしては、ファイナルフロンティア報告書が2016年にでているのですが、今回は、NATOの戦略に集中して論じているということかと思います。
量子通信衛星の装備などの話もでてきますが、それ以外については、ファイナルフロンティア報告書でふれられた認識を、進めたものという感じのようです。
サマリーは、こんな感じです。
- すべての衛星はソフトウェア、ハードウェアおよび他のデジタルコンポーネントを含むサイバー技術に依存しています。衛星の制御システムや利用可能な帯域幅に対する脅威は、国の重要な資産にとって直接的な課題となります。
- NATOの任務と活動は、空、陸、サイバー、海事の領域で行われています。宇宙スベースのアーキテクチャは、これらの各重大な点で依存することによって、任務の保証に影響を与える過度の新しいサイバーリスクをもたらしました。すべての分野で保護を達成するためには、緩和策および軍事用宇宙システムの回復力への投資が重要です。
- 現代のほとんどすべての軍事作戦は宇宙ベースの資産に依存しています。 2003年のアメリカ主導のイラク侵攻中、68%のアメリカ軍の弾薬が宇宙ベースの手段(レーザー、赤外線、衛星誘導の弾薬を含む)を利用して誘導された。第一次湾岸戦争では、1990 – 91年の10%から急上昇した。 2001年に米国がアフガニスタンで使用した武器の60%が精密誘導弾であり、その多くは宇宙ベースの資産によって提供された情報を使用して目標を達成するための自分の位置を修正する能力を持っていました。
•NATOは衛星を所有していません。衛星通信のアンカーステーションや端末など、いくつかの地上要素を所有および運営しています。衛星偵察予告システムを介して提供される宇宙天気予報や衛星の機内報告などの製品やサービスへのアクセスを要求しますが、衛星に直接アクセスすることはできません。アクセスを許可するかどうかは、個々のNATO加盟国によって異なります。
•サイバー脆弱性は戦略的システムのパフォーマンスに対する信頼を低下させます。その結果、情報と分析における不確実性を高まることとなり、それは、抑止力と戦略的安定性の信頼性に影響を与え続けています。技術に対する信頼の喪失は、悪意のある攻撃の原因(帰属)、危機的な意思決定における戦略的な計算の決定にも影響を及ぼし、誤解の危険性を高める可能性があります。