アルテミス合意の分析(例 アルテミス合意 本文訳 (上))などについても、アクセスをいただいているブログですが、宇宙法関係では、SpaceX社の「火星は、自由な惑星」構想が注目を集めているみたいなので、ちょっとまとめてみたいと思います。
この点についての記事としては
”SpaceX wants to impose ‘own legal regime’ on Mars when it gets there”
とか、
”Law on Mars? Why Elon Musk is writing the Red Planet’s constitution”
があります。
もともとは、Starlinkという衛星インターネット構想があるわけです。
その利用条件(Starlink Beta Terms of Service)の準拠法(Governing Law)のところに
火星で提供されるサービス、またはスターシップや他の植民地化宇宙船を介して火星にトランジット中のサービスについて、当事者は、火星が自由な惑星であり、地球に本拠を置く政府が火星の活動に対して権限や主権を持っていないことを認識している。したがって、紛争は、火星の入植時に誠意をもって確立された自治原則によって解決されることになる。
という文言があります。
月の民間による開発を法的にどのように考えるのかというのが、アルテミス合意の一番の意義だったわけです(ブログのエントリは、こちら)。宇宙条約2条は、国家による取得の禁止、6条は、国家責任集中原則、11条は、情報提供を定めています。
月その他の天体を含む宇宙空間は、主権の主張、使用若しくは占拠又はその他のいかなる手段によっても国家による取得の対象とはならない。
が、民間による開発は、これとの関係をどうかんがえるのか、という問題がおきます。理屈では、地球上の政府の主権の行使としての火星開発は、宇宙条約に違反しそうです。では、SpaceXは、どうなのと。いくらテスラの車で、発射台までいってもNASAのマークついているじゃないの、ということになりそうです。国家責任理論でいうと、国のエージェントのような気がしますけどね。どちらにしても、火星開発と宇宙条約の関係についての議論が出てくるのは、興味深いです。
世界的には、火星をどう考えるのかという時代になってきているのですね。